「白箱」で分かるファームウェア更新の甘い罠:牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

» 2011年07月22日 08時45分 公開
[牧ノブユキ,ITmedia]

顔より大事なものがある

 製品のパッケージは、製品の「顔」そのものだ。でもPC周辺機器は、精密機器ということもあって衣類や書籍のように本体が露出した状態で売られることは少なく、パッケージに封入したまま選ぶのが常だ。ユーザーは、製品を手に触れることができないので、写真や仕様、利用イメージが端的をまとめた製品パッケージは、製品選択の材料として重要な役割をはたす。

 にもかかわらず、最近は、無地のダンボールに型番やバーコードを印刷しただけといった簡素なパッケージも増えてきている。俗に「白箱」などと呼ばれるこうしたパッケージは、製品の写真もなければ仕様の記述もなく、事前に知識がなければどんな製品なのかまったく分からない場合も少なくない。なぜ、このようなパッケージが増えつつあるのだろう。

細かい仕様を入れると、ファームウェア更新でパッケージが変更に

 こうした簡素なパッケージが増えつつある要因の1つに、事前に購入する製品を決めてから来店するユーザーが増え、製品パッケージが購入の判断材料となることが以前に比べて減ったことが挙げられる。来店するユーザーは完全な「決め撃ち」であるため、購入予定の型番と合致さえすれば、パッケージに写真があろうがなかろうが関係ない。また、人気のある製品では、パッケージの隣にモックが置かれるため、それで十分という場合も少なくない。

 要因のもう1つは、パッケージのシンプル化はコストダウンの結果で、ユーザーにもプラスであることが、この10年で広く認知されたことだ。中でもマウスパッドなどの安価なアクセサリでは、製品本体よりブリスターパッケージの製造原価が高いこともある。さらに、手触りを試してもらうためにパッケージに貼り付ける端切れでも、単価自体は安いのに貼り付けの加工賃まで含めると原価全体で相当な割合を占める。

 マウスなど、本体形状をイメージさせるために隆起のあるパッケージにすることで、コストが上昇する場合もある。こうした場合も、シンプルなビニールパッケージや白箱にしておくことで、大幅なコストダウンが見込める。メーカーは、“エコ”や“省エネ”といった世論にうまく乗ることで、こうしたパッケージのコストダウンを進めるきっかけに利用する。

 PC周辺機器業界に特有の事情として、ファームウェア更新によって製品の仕様が発売後に大幅に変わるケースが増えてきたことも、白箱パッケージが増加する理由であったりする。従来であれば、製品のパッケージに書かれた仕様や特徴を訴求するキャッチコピーは、製品が終息するまで変わることがなかった。しかし、最近では、発売後のファームウェア更新によって当初の「3大機能」が「5大機能」に増えるといった、大幅な機能追加が行なわれることも少なくない。

 こうした場合に、具体的な仕様やキャッチコピーの文章がパッケージに印刷されていると、その対策にコストが少なからずかかるようになる。簡単なところで、変更する仕様の上にシールを貼るにしても人手が必要だし、キャッチコピーそのものの変更が求められるレベルになると、パッケージの刷り直しや交換、店頭にある在庫の入れ替えに膨大なコストがかかる。であれば、最初から細かい仕様をパッケージに書くのをやめ、型番やJANコードなどの必須項目のみにとどめておいたほうが、効率的というわけだ。

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