「白箱」で分かるファームウェア更新の甘い罠:牧ノブユキの「ワークアラウンド」(2/2 ページ)

» 2011年07月22日 08時45分 公開
[牧ノブユキ,ITmedia]
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ファームウェア更新が当たり前になって変わるメーカーの意識

 そもそも、なぜファームウェア更新を行うケースが最近になって増えてきたのだろう。これは、2つの理由に大別できる。

 1つは、ファームウェア更新という行為そのものの認知度が上がり、メーカーが以前より容易にファームウェア更新を実施できるようになった事情がある。最近では、PC周辺機器に限らず、携帯電話もファームウェア更新に対応していることが多い。

 ファームウェア更新を行う理由の多くはバグフィックスだが、「ファームウェア更新で製品の機能が向上する」という事実は、PCやその周辺機器、携帯電話などのデジタル機器に詳しくないユーザーにも知られるようになってきた。そのため、メーカー側も、ファームウェア更新という専門用語を使うかは別にして、「ユーザーのメリットを訴求できるから」と、抵抗なくファームウェア更新に踏み切れるようになっている。

 もう1つの理由は、そういうユーザー側の認識の変化に便乗するような形で、一部のメーカー側が「ファームウェアは出荷時点で必ずしも完成していなくてもいい」と考えるようになっていることだ。完成版のファームウェアが初回ロットに間に合わず、発売後にファームウェアの更新が必要になる事例は以前から存在したが、最近では、初回ロットは“新製品はすぐに試したい”と思うユーザー向けの“テスト版”と割り切り、ファームウェア更新が前提の開発スケジュールのロードマップを立案するメーカーも出てきている。

 メーカーにとって、初回ロットの開発で十分なテストを実施して問題のない製品を出荷するのか理想だが(理想になっている時点で問題だが)、テスト工程に割り当てられる人の数も不足していれば、製品の複雑化、機器の多様化によって予想できない不具合が見つかるケースも増えている。であれば、“不具合に寛容なユーザー”でテストしてしまおうというのが、行為のよしあしは別にして、このような発想の根本にある。

 メーカーの意識がかなり変化してきているという見方もあるが、このようなメーカーの品質管理における善悪の感覚が、麻痺しているというのも事実だ。製品の発表会で来場した関係者に配布するサンプル製品が、こうしたバグフィックスの目的を兼ねている場合もある。

 さらに、開発リソースを削減するため、これまで年2回出していた新製品が年1回になり、ファームウェア更新で対応するケースも増えている。

パッケージの簡素化で外注費をまるまるカット

 いずれにせよ、製品のファームウェア更新の問題と、パッケージの簡素化は、密接に関係している。そして、そこに共通するのは、インターネットの普及をきっかけとした購買スタイルの変化と低価格化への“圧力”だ。ただ、低価格化の圧力は、メーカー自らが世論をうまく利用して自社のコストダウンにつなげている側面もある。

 メーカーは、パッケージ制作のために自社でデザイナーを中心とした制作部隊を抱えている場合もあれば、外注のデザイン業者に依頼している場合もある。デザインを外注しているメーカーでは、パッケージの簡素化で外注費をカットできるので、コストダウンの目標を達成する手段として使われることが多い。こうしたメーカー事情も、パッケージの簡素化と無関係ではない。

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