ビジネスプリンタの選び方――“省電力”で“安い”インクジェットプリンタ編オフィス機器購入ガイド(3/3 ページ)

» 2011年10月06日 18時30分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
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A3ノビ単機能モデルの注目機種

・タイプが違う2機種のA3単機能モデル――エプソン「PX-1200」「PX-1004」

 エプソンのA3ノビ対応インクジェットプリンタといえば、コンピュータグラフィックスや写真のプロ/セミプロが利用する「プロセレクション」ラインを思い浮かべる人も少なくないだろう。このラインは8色や10色の多色インクを用いて、非常に高精細で広色域の画像を印刷できる。

 一方、昨今ではA3カラーのビジネス文書(設計図や工程表、台割など)を印刷することが主目的のモデルも増えつつある。インクジェット方式ならば、A3カラー対応のページプリンタより、かなり低コストで導入できる点に注目したい。

 「PX-1200」はビジネス用途に特化したモデルだ。給紙容量は上下の給紙カセット合わせて500枚を確保し、自動両面印刷や有線/無線LANにも標準対応している。インクカートリッジは黒インクに大容量カートリッジが用意されており、ビジネスシーンである程度の印刷ボリュームがあっても対応できる作りだ。

 「PX-1004」は3万円を切る低価格がポイント。給紙枚数が100枚と少ないのは残念だが、CD/DVD/BDレーベル印刷まで可能なので活用の幅は広い。

「PX-1200」(写真=左)、「PX-1004」(写真=右)

・コンパクトで安価なA3カラー単機能モデル――キヤノン「PIXUS iX6530」

「PIXUS iX6530」

 キヤノンもエプソンと同様、デジタルフォト向けのA3ノビ対応インクジェットプリンタ「PIXUS Pro」シリーズをラインアップしているが、ビジネス向けのA3対応モデルも用意している。

 「PIXUS iX6530」はA3クラスとしてはコンパクトなボディを採用し、本体サイズは549(幅)×299(奥行き)×159(高さ)ミリ、重量は約7.6キロに抑えた。PC用インタフェースはUSBのみ。給紙は後トレイのみで150枚セット可能だ。インクは顔料ブラックと染料4色の5色独立タイプを採用する。

 A3ノビの写真印刷やフルHD動画プリントに対応するほか、専用Webサイトからテンプレート(POPやポスター、チラシ、ビジネス文書など)のダウンロードが行えるなど、主にSOHO環境でさまざまな用途に活用できるよう工夫している。

顔料系ながら染料系の特性も持つ“ジェルジェット”――リコー「IPSiO GX e7700」

「IPSiO GX e7700」

 一般に顔料インクは乾く速度が染料インクに比べて遅い。そのため、印刷速度を上げていくと、インクが乾かないうちに次の文書が排出されてしまい。乾いていないインクが別の用紙に移ってしまう可能性がある。そこでインクの乾く時間を考慮して排紙速度を調整したり、インクがある程度乾くまで待ってから、次の印刷を開始するなどの対応を行っている。

 しかし、2003年に投入されたリコーのジェルジェットプリンタは顔料インクベースのGELJETビスカスインクに染料インク並みの速乾性を持たせており、インクジェット系のプリンタながらビジネスユース向けの高速印刷をいち早く実現した。

 その流れをくむA3単機能モデルの「IPSiO GX e7700」は、有線LAN対応やファーストプリントの高速化、消費電力の低減などを図ったモデル。S/M/Lサイズの3種類のインクインクカートリッジを用意し、Lサイズカートリッジでは約2300ページの印刷が可能だ。給紙容量はオプション利用時で最大600枚と十分。インク節約機能「新レベルカラー印刷機能」では、自動的に原稿を判別し、インクの消費量を抑えた印刷が行える。

今回紹介したA3ノビ対応インクジェットプリンタ
メーカー名 エプソン エプソン キヤノン リコー
製品名 PX-1200 PX-1004 PIXUS iX6530 IPSiO GX e7700
最大印刷解像度 5760×1440dpi 5760×1440dpi 9600×2400dpi 3600×1200dpip相当
インクの種類と色数 顔料4色 顔料4色 顔料Bk、染料4色 顔料4色
プリント速度(モノクロ/カラー) 約15ipm/約8.0ipm 約15ipm/約5.5ipm 約11.3ipm/約8.8ipm ipm非公開(独自チャートで29ppm)
自動両面印刷 標準対応 オプション
ネットワーク対応 標準対応(有線LAN/無線LAN) オプション 標準対応(有線LAN)
給紙枚数(標準) 500枚 100枚 150枚 250枚
最大給紙枚数 500枚 100枚 150枚 600枚
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 558×414×264ミリ 616×322×214ミリ 549×299×159ミリ 540×485×259ミリ
重量 約12.3キロ(消耗品含まず) 約12キロ(消耗品含まず) 約7.6キロ(消耗品含む) 17.5キロ以下(消耗品含まず)
消費電力 約20ワット、スリープモード時約4.4ワット 約26ワット、スリープモード時約1.3ワット 約20ワット、待機時約1.3ワット 35ワット、省エネモード時約2.2ワット
実売価格 3万円前後〜3万円台半ば 2万円台半ば〜3万円前後 2万円台後半〜2万円前後 6万円前後〜7万円台前半


 今回はインクジェット方式のビジネス向けプリンタ(単機能機)をチェックした。次回はインクジェット方式のビジネス向け複合機を取り上げる。

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