これはスマートな仕事マシン──Ultrabook「dynabook R631」に近未来の夢を見る薄い、軽い、使いやすい、すこぶる高速、あとは価格だ(3/4 ページ)

» 2011年10月28日 17時00分 公開
[岩城俊介(撮影:矢野渉),ITmedia]

モバイルノートPCとして、パフォーマンスに不満はなし

photo Windowsエクスペリエンスインデックスの結果

 続いてPCとしての基本仕様をチェックしよう。

 本機はデュアルコアでHyper-Threading Technologyにより4スレッドの同時処理が行える超低電圧版Core i5-2467M(1.6GHz/最大2.3GHz)とIntel HM65 Expressチップセットの組み合わせに、4Gバイトのメインメモリ(PC3-10600対応2Gバイト+2Gバイト)、128GバイトのSSD、1366×768ドット表示対応の13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載する。グラフィックスはCPU統合のIntel HD Graphics 3000を用い、光学ドライブは非搭載。OSは64ビット版のWindows 7 Home Premium(SP1)をプリインストールする。

 CPUは同社の一般ノートPCシリーズなどと異なり、MacBook Airや他社Ultrabookと同様にインテルの超低電圧版を採用する。ちなみにCore i5-2467Mは、MacBook Air 11インチモデル(MC968J/A)にも採用されている。

 グラフィックス機能は、CPUが内蔵するIntel HD Graphics 3000を利用する。MPEG-4 AVC/H.264やMPEG-2のハードウェアデコードをサポートし、フルHDクラスの高解像度映像もほとんどCPU負荷をかけずに再生可能だ。また、H.264などのハードウェアエンコードに対応するIntel QSV(Quick Sync Video)により、QSV対応ソフトウェアで高速にエンコードも行える。


photophotophoto CPU-Z、GPU-Zで確認したシステム詳細

 さて、そのパフォーマンスはスペック通り「普段のPC作業は、困ることなくほどよく快適に行える」であろう実力を持っている。Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、プロセッサが6.3、プライマリハードディスクが6.7、総合スコアも5.6と、最新2011年PC秋冬モデルにおけるCPU統合グラフィックスのモバイルノートPCとして、値はかなり優秀だ。

photophoto Windowsエクスペリエンスインデックス(左)、PCMark 7(右)のベンチマークテスト結果

 PCMark 7では、標準電圧版Core i7-2620Mを搭載するソニー「VAIO Z」(VPCZ21オーナーメードモデル)で値を比較しよう。ちなみに、今回比較対象としたVAIO ZはディスプレイをフルHDに、CPUをCore i7-2620M、メインメモリを8Gバイト、ストレージを128GバイトSSD(64Gバイト×2 RAID 0/第3世代)にカスタマイズした構成で、グラフィックスはIntel HD Graphics 3000(CPU統合グラフィックス)を用いている。

 さて、VAIO Zにおいて普段使いとしている「放熱制御:静かさ優先モード(ファン回転数と騒音レベルを抑えるため、CPUクロックを下げて動作するモード)」と比較すると、それに匹敵するスコア、一部には上回るスコアさえあった。もちろんCPUクロックを下げない「放熱優先モード」にすれば相応の差が付いたが、スペックでかなり差があると思っていたVAIO Zも、いつの間に追いつかれ、インを狙われている──そんな錯覚に陥ったほどだ。

photophoto PCMarkVantage(左)、3DMark06(右)のベンチマークテスト結果

 続くPCMarkVantageと3DMark06のテストでは、Windows 7をインストールしたMacBook Air 11インチ(MC968J/A)の結果も含めてみる。MacBook Air 11インチとはCPUの値はほぼ同じ、HDDなどの値にやや差があり、総合スコアは誤差範囲ではあるがMacBook Air 11インチが若干上回っていた。

 一方、ストリートファイターIVベンチマークとモンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】による3Dゲームタイトルのテストでは、ストリートファイターIVベンチマークが低負荷設定で26.5fps(判定:E)、高負荷設定で15.66fps(判定:E)、モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】スコアが1921と、高パフォーマンスモードでも快適なプレイには厳しい結果となった。本機は高度な3D描画性能を望むPCではなく、こちらは仕方ない。もちろん、息抜きとして行うWebベースのカジュアルゲーム程度であれば問題なくプレイできるだろう。

photophoto ストリートファイターIVベンチマーク(左)、モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】(右)の結果

バッテリー動作時間は実動約7時間

バッテリー動作時間 dynabook R631 参考:VAIO Z(上記VPCZ21オーナーメードモデル)
電源プラン:eco 7時間3分 6時間12分(省電力)
電源プラン:高パフォーマンス 4時間7分

 バッテリー動作時間はBBench 1.01(海人氏作)の標準設定のまま、IEEE802.11g接続環境下で行った。満充電から残量2%で休止状態に移行するまで、電源プラン「eco」は約7時間3分、同「高パフォーマンス」では約4時間7分動作した。

 こちらはカタログ値の9時間にはやはり届かなかったが、一般ビジネスシーンにおいて実動7時間となれば合格点か。また、ディスプレイの輝度をより下げれば動作時間はもう少し延長できるだろう。本機の液晶バックライトはかなり明るめで、屋内蛍光灯下で使うならディスプレイの輝度を最低にしても十分内容は視認できる。

 もっと長時間を──となると、バッテリー交換ができず、VAIO Zなどに存在する追加シートバッテリーのような標準オプションがないのは悩ましいところかもしれない(14.8ボルト出力に対応するサードパーティ製外部バッテリーを用いるなど、手段はあるだろうが……)。


photo 消費電力をグラフ化し、節電状況を自身で確認できる「東芝ecoユーティリティ」

 省電力動作については、キーボード左上にある「eco」ボタンにより省電力モードで動作するecoモードのオン/オフとともに、消費電力をグラフ化して確認できる「東芝ecoユーティリティ」が起動する。

 東芝ecoユーティリティによると、アイドリング時は、ecoモードオンで6〜8ワット、オフ(電源プラン:バランス)で10〜13ワットほどで動作する。また、ワットチェッカー読みで、フルパワー動作中のベンチマークテスト実行時で約37ワット、起動時最大値で約30ワットだった。

 ちなみにWindows 7の起動は、高速なSSDをはじめとするシステムまわりとともに、東芝独自の「東芝高速スタート」機能により、コールドスタートから20秒ほどで起動が完了する。起動時に行うBIOS処理とプログラムの読み込みを最適化し、起動時間を短縮するという仕組みとなっている。

photophoto 東芝高速スタート機能は、スタートメニュー(など)にある「高速スタートモード」から電源をオフにする

 すぐ起動するが待機中に若干の電力を消費する「スリープ」、対して待機電力はほぼゼロだが機能に時間がかかる「コールドスタート(通常起動)」。東芝高速スタートは、このコールドスタートのデメリットを低減し、利便性を高めつつ、結果として待機電力の削減にもつなげようというものだ。

 利用は普段のスタートメニュー→シャットダウンの操作とはお作法が違い、スタートメニューの「高速スタートモード」で電源を切る。これにより次回の起動が東芝高速スタート機能によりやや高速になる。


“東芝高速スタート機能”で起動
(再生できない場合はこちらから)


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