これはスマートな仕事マシン──Ultrabook「dynabook R631」に近未来の夢を見る薄い、軽い、使いやすい、すこぶる高速、あとは価格だ(4/4 ページ)

» 2011年10月28日 17時00分 公開
[岩城俊介(撮影:矢野渉),ITmedia]
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夢を見るというより、「即戦力」になるモバイルノートPC

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 dynabook R631のコンシューマー向け店頭モデルは「R631/28D」の1機種のみ(2011年10月現在)で、実売15万円前後となる。他社Ultrabookには超低電圧版Core i7-2677Mを採用しつつ、より小型の11.6型モデルや1600×900ドットの高解像度ディスプレイを用意するモデルがあることを考慮すると、何らか少々寂しい気がする。

 仕様変更やカスタマイズを望むとなると、今のところビジネス向けモデルが選択肢になる。こちらはOSに32ビット/64ビットセレクタブル仕様のWindows 7 Professional(SP1)、CPUはCore i5-2467M、あるいはより上位のCore i5-2557M(1.7GHz/最大2.7GHz)を搭載する2モデル(Core i5-2557MモデルははTPMセキュリティチップも搭載)を用意し、メインメモリ容量やOfficeの有無や種類を選択できる(ただ、店頭モデルよりやや高額だ)。

 また、基本スペックや工夫されたシャシー・基板設計、プラス2万円ほどと想定するOffice Home and Business 2010が付属するのを十分考慮しつつも、15万円という想定実売価格を“初代”Ultrabookカテゴリーの製品群に含めてみると少し微妙である。2009年後半から2010年かけて流行したCULVノートPCは、当時でほぼ満足できる仕様とパフォーマンスに5〜6万円前後からとする低い価格帯、コストパフォーマンスが大きく評価されたポイントであり、以来、PCの低価格化が顕著になったが、2011年現在の15万円というPC価格は少々尻込みしてしまう。

 さらに、8万4800円のMacBook Airと価格を合わせたASUS「ZENBOOK UX21E-KX064」などと比べるとインパクトにも欠けると思う人は確かにいるだろう。コンシューマーとしては、そもそもMacBook Airのインパクトそのものこそが強烈である。


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 ただ、Windows 7で使う仕事マシンとしてdynabook R631の完成度は非常に高く、かなりバランスよくパッケージングされている。これは高く評価したい。薄型、軽量、一般ビジネス業務ではまったく困らないパフォーマンス、操作性、質感と安心感、長年モバイルノートPCを開発してきた東芝dynabookシリーズならではの質実剛健さが心地よく感じられる。

 個人ごとで恐縮だが、プライベート利用はせず、光学ドライブや外部GPU不要、その分薄く、軽く、長時間動作でワイヤレスWANを内蔵するモバイル用仕事マシンを望みVAIO Z(VPCZ21)を導入したユーザーの1人として、ディスプレイ解像度と長時間バッテリーの有無を除いて、キーボードやタッチポイントの操作性を中心にうらやましい、交換してほしいと思うポイントはかなり多く存在した。

 Ultrabookというカテゴリが定着するか、これは今後の展開次第だ。Ultrabookを提唱するインテルは、本機ら第2世代Core iシリーズ搭載モデルをまず第1段階とし、続いて第2段階で開発コード名:Ivy Bridgeと呼ばれる2012年登場予定の次世代CPU採用モデル、第3段階で2013年登場予定の同Haswell世代のCPU採用モデルと段階を経つつ、今後3〜4年間、関連技術開発への投資も行っていく。システム全体の省電力化、バッテリー技術の進歩などにて、例えば「24時間動作」も数年後には普通になっているかもしれない。

 ただ、1、2カ月から半年後ほどのごく近い未来の範囲で考えると、dynabook R631は夢見てあこがれるというより「即戦力」の現実的な仕事マシンだ。モバイル環境でPCを活用し、業務効率を高めるための即戦力としてビジネスコンシューマー層の優れた仕事道具となるはずだ。



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