世界初のシースルーHMDで「いつでもどこでも大画面」を体験した「MOVERIO」発表会(2/2 ページ)

» 2011年11月09日 22時51分 公開
[後藤治,ITmedia]
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シースルーHMDを実際に体験してみた

デモコーナーに並ぶMOVERIO BT-100を試した

 発表会場に設置された実機を試したところ、確かにHMDを通した実際の視界の中に、本体から出力された映像が浮かび上がって見えた(近未来を舞台にしたアニメやSF映画などで見覚えのある景色だ)。投射映像はちょうど視界の中央に位置しており、視線をずらせば周囲の状況も確認できる。ただし、画面の表示位置やサイズを変更することができないため、BT-100を装着したまま歩くのは危険を伴う(同社も「安全に関わる注意」で、装着したまま歩く使い方を禁止している)。

 シースルーといっても、あくまでメインの映像は投射されたほうで、実際の視界を“メインディスプレイ”、投射映像を“サブディスプレイ”として、リアルをデジタル情報で補完するといった使い方は難しいと感じた。ただ、環境光にあわせて映像の輝度や色を調整し、投射領域の周辺部のみにコンテンツを表示するようにすれば、HMDに図面を表示しながら作業する(青のコードを切れ!)、車の助手席でHMDに地図を表示しながら運転手をナビゲーションするといった使い方もできるかもしれない。

外光の透過率を調整するシェードは着脱が可能。シェードを外してハーフミラー層だけの状態にすると周囲の状況がより把握しやすい分、明るい環境では投射映像が見づらくなる(写真=左)。メガネ使用者のためのフックがある。フックの位置は3段階で調節可能(写真=中央)。ツルの部分の弾力も3段階で調節可能。側頭部に触れる部分は柔らかいパッドになっており、装着時に耳の上が痛くなりにくい(写真=右)

 映像に関しては、シースルーで周囲の景色が見える分、HMDとしての没入感はやや削がれる印象だ。逆に周囲の状況が把握できる分、屋外でHMDとイヤフォンを装着しても、従来のHMDで感じた“目隠し”されている不安感はない。

 また、装着者以外は表示映像が見えないため、スマートフォンやタブレットでは電車の中で再生するのがためらわれる種類のコンテンツでも安心して楽しめる。文字もきちんと読める表示品質で、検索の手間さえ考えなければWebブラウズも快適だ。ただ、個人差なのか映像中央部の“ゆがみ”がテキストを表示した際はやや気になった。

 なお、HMDの前面にはめ込まれた、外光の透過率を調整するためのシェードは着脱が可能で、これを外すと周囲の状況がより見えるようになる(ちょうどサングラスを外すようなもの)。ただし、日中の屋外など周囲が明るい状況では、シェードなしだと投射映像がかなり見づらくなる。

 ユーザーインタフェースは、本体側のトラックパッドや方向キーを使う仕組みだ。OSはAndroid 2.2だが、独自のホーム画面を用意しており、アプリケーションランチャーで手軽にWebブラウザやマルチメディアプレーヤーを起動できる。ただし、テキスト入力に関しては、呼び出されたソフトウェアキーボードからトラックパッドのポインタで打ち込んで行く必要がある。Webブラウズ時に検索キーワードを打ち込むだけでもかなりのストレスを感じた。できればマイクを内蔵して音声入力に対応して欲しかったところだ。

リモコンになる本体部分。上部にポインティングデバイスとしてトラックパッドがあり、その下にHOME/MENU/BACKキーが並ぶ。2D/3D切り替えや十字キー(中央が決定キー)、Brightnessキーもある。プロセッサにはデュアルコアのARMを採用する(メーカーや動作クロックは非公開)。HMD部との接続は専用ケーブルで汎用性はない。PCとの接続用にMicro USB端子がある

上面に電源スイッチ、左側面のカバー内にMicro SDカードスロット、右側面に音量調節ボタンとキーロックスイッチが並ぶ

オリジナルのホーム画面。十字キーで回転するアプリケーションランチャーになっている。ソフトウェアキーボードは、本体側のパッドでポインタを移動したあとにフリック入力する必要があるため、非常に使いづらい。キャリングケースは、ACアダプタやケーブル、交換用鼻パッドといった付属品を収納できるかなり大きめのもの。HMDとリモコンだけを持ち運ぶソフトケースのようなオプションを提供する予定はないという

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