“2画面”Androidタブレットの基礎体力は?――「Sony Tablet P」徹底検証(前編)イロモノかホンモノか(2/3 ページ)

» 2011年12月12日 18時30分 公開

実際のバッテリー駆動時間は長いのか?

 多くのタブレット端末は、内蔵バッテリーをユーザーが交換できない仕組みだが、Sony Tablet Pではモバイル利用に配慮し、バッテリーを着脱可能な構造にしているのがうれしい。この点は家庭内での利用を想定したSony Tablet Sと大きく異なる。

 内蔵のリチウムイオンバッテリーは容量が12ワットアワー(3.7ボルト、3080mAh)だ。公称のバッテリー駆動時間はスタンバイ時で約120時間、音楽再生時で約16.8時間、動画再生時で約6.5時間、無線LANによるWeb閲覧時で約6.1時間、3GによるWeb閲覧時で約4.6時間とされている。バッテリーの充電時間は約7.5時間だ。

 付属のACアダプタは突起部を除くサイズが46(幅)×76(奥行き)×22(高さ)ミリ、電源ケーブル込みでの重量が134グラム(実測値)だった。定格出力は5ボルト/2.0アンペアだ。USB充電やケーブルを巻き取る仕組みなどの工夫はないが、小型軽量で持ち運びは苦にならないだろう。

底面のカバーを外すことで、内蔵のバッテリーを交換できる(写真=左)。付属のACアダプタはシンプルな作りだが、薄型軽量で持ち運びやすい(写真=中央)。底面のカバー裏側には放熱用のシートが貼られていた。Sony Tablet SのACアダプタと並べた様子(写真=右)。Sony Tablet SのACアダプタは、突起部を除くサイズが37(幅)×92(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、電源ケーブル込みでの重量が190グラム(実測値)だったが、Sony Tablet Pはこれより小型軽量にまとまっている

 ここではSony Tablet Pのバッテリー駆動時間を2つの方法で計測してみた。1つは映画鑑賞を想定したテスト、もう1つはWebサイト閲覧を想定したテストだ。テスト結果はSony Tablet Sの駆動時間も併記した。

バッテリー駆動時間のテスト結果

 動画再生テストは、バックライト輝度を最大まで上げ、ヘッドフォンを接続して音量を50%に固定し、無線LANはオンにした状態と、かなり厳しい条件で実施した。この設定でMPEG-4 AVC/H.264のフルHD動画(映像7Mbps、Baseline Profile L4.1、音声AAC)をバッテリー切れまで再生し続けたところ、3時間43分という結果だった。液晶の輝度を下げれば、より長時間の駆動もこなせる。

 Webサイト閲覧のテストは、バックライト輝度を50%まで下げ、無線LAN経由でPC USERのトップページをバッテリー切れまで1分おきに自動でリロードし続けるという内容だ。このテストでは、公称値に近い6時間5分まで駆動時間が延びた。実際のWeb閲覧では検索して異なるサイトを頻繁に移動したり、文字入力したりといった複雑な操作が発生するため、もっと短くなる可能性はある。

 いずれもボディサイズが大きなSony Tablet Sより駆動時間が短い結果となったが、主に屋内での利用を想定したSony Tablet Sはバッテリーが交換できないため、オプションの予備バッテリー(サイズが幅53.4×奥行き107×高さ7.25ミリ、重量が約82グラム、直販価格6980円)を用意すれば、外出先での長時間バッテリー駆動にも対応できる。仮に予備バッテリーがなくても、さまざまなモバイル用途で十分使えるレベルのスタミナといえるだろう。

基本スペックとパフォーマンスはどうなっているのか?

 基本スペックは、プリインストールOSにAndroid 3.2を採用(2011年11月10日にAndroid 3.2.1アップデート済み)。CPUはデュアルコアで1.0GHz駆動のNVIDIA Tegra 2、メインメモリは1Gバイト、ストレージは4Gバイトを備えるほか、2GバイトのmicroSDメモリーカードが付属する。

 ストレージについては、アプリ各種がデフォルトでインストールされている「内部ストレージ」パーティション(1912Mバイト)のほか、本体に装着したmicroSDメモリーカードが「SDカード」パーティションとして認識され、主なデータの保存先となる(システム領域やリカバリ領域は不可視)。Sony Tablet Sと異なり、内蔵ストレージは容量が小さく、データ保存用の領域が用意されない点に注意したい。

 コンテンツのデータはmicroSDメモリーカードに保存する仕様で、カードを差し替えると、データ領域も丸ごと入れ替わる。そのため、32Gバイトなど大容量で高速なカードを別途用意したほうがよいだろう。

 基本スペックはAndroid 3.2タブレットとして標準的だが、内蔵ストレージの構成については、2画面液晶の採用によるコストアップのしわ寄せが見られる。モデルチェンジでは内蔵ストレージの大容量化を期待したいところだ。

Sony Tablet Pの内部構造(写真=左)とメインボード(写真=中央)。メインボードには、NVIDIA Tegra 2(1.0GHz)の真上に1Gバイトのメモリチップが重ねて実装されている。小型化できることに加えて、配線がほとんどゼロになるため、パフォーマンス面で有利だ。バッテリーを外したところにmicroSDメモリーカードが配置されている(写真=右)

Sony Tablet Pでユーザーが直接アクセスできるフォルダの構成
パーティション名 容量 主な用途
内部ストレージ 1912Mバイト アプリ
SDカード microSDメモリーカードの容量に依存 データ保存用

 ここではSony Tablet Pのパフォーマンスを確認するため、Android端末の総合ベンチマークテスト「Quadrant Professional 1.1.7」と「AnTuTu Benchmark 2.2」を実行してみた。Sony Tablet Pではこれらのアプリを1画面表示と2画面表示で実行できるので、両方で実行している。また、結果はSony Tablet S(SGPT112JP/S、Wi-Fi/32Gバイトモデル)のスコアも併記した。

 テスト結果は5回実行した平均値だが、特にQuadrantはかなり総合スコアやCPUスコアのバラツキが大きいので、参考程度に見てほしい。

Quadrant Professional 1.1.7のテスト結果。左が総合スコア、右が各テスト個別のスコアだ

AnTuTu Benchmark 2.2のテスト結果。左が総合スコア、右が各テスト個別のスコアだ

 テスト結果は、解像度が低くなる1画面のほうが2画面より高いスコアを獲得した。CPU上にメモリチップを積層する構造やドライバの独自チューニングによるものか、メモリやグラフィックスのテストではやや高めのスコアが見られたが、総合的なパフォーマンスではSony Tablet Sを含むほかのAndroid 3.x+Tegra 2タブレットと同レベルの結果といえる。Android 3.2の操作をサクサクこなせるはずだ。

 なお、システムに負荷をかけるベンチマークテストの終了直後でも、本体を横位置で持っている場合に右手が少し温かくなる程度(室温約22度で、ボディ底面の温度が約24.8〜29度)で、全体的な発熱は抑えられていた。もちろん、ファンレス設計でストレージにフラッシュメモリを採用しているため、動作時の騒音はない。

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