AMD FXの失速を尻目に、11月の自作PC市場をけん引したのは、インテルのハイエンドCPU「Sandy Bridge-E」だ。11月14日17時1分に、上位の「Core i7-3960X Extreme Edition」と下位の「Core i7-3930K」の発売がスタートし、対応するLGA 2011ソケット搭載の「X79」マザーも各社から次々の投入された。
Sandy Bridge-Eは、LGA 1366ソケットのCore i7(コードネーム:Bloomfield)の後継CPUで、6コア/12スレッドで動作する。DDR3-1600に対応するメモリのバンク数は8本で、クアッドチャンネルDDRが構築できるのも特徴。対応するX79マザーは、SATA 3.0をネイティブサポートするほか、PCI Expressのレーン数が最大48本となるため、SLIやCrossFireXで高い性能が期待しやすい特性も備えている。
自作PC市場全体では、Z68マザーなどのSandy Bridge系プラットフォームが主流ながら、ハイエンド志向のユーザーの多くがSandy Bridge-Eに関心を寄せ、初回から安定した支持を集めていた。ただし、CPUの供給不足が常態化しており、下位のCore i7-3930Kは年末になってもまだ潤沢とはいえない状況のままだ。
PC DIY SHOP FreeTは年末ごろに「割安感以上にパフォーマンスを求める人に支持されていますが、それでも上位のCore i7-3960X Extreme Editionは高すぎると感じる人が多いようです。4万円近く安い下位の3930Kを狙っている人が多いのですが、安定した入荷はまだ見込めそうにありません」と話していた。こうした事情から、ある程度の数量が再入荷した12月初旬以降も、「マザーとセットでのみ販売」といった条件付きで売り出す様子も見られた。
とはいえ、総合的にみるとSandy Bridge-Eが自作PC市場に与えたインパクトは大きい。CPUクーラーの水冷化と、大容量メモリを積む動きを加速させたとみるショップは少なくなかった。フェイス秋葉原本店は「AMD FXも限定版で水冷クーラーを導入しましたが、Sandy Bridge-Eはインテルが純正の水冷キットをリリースするなど、より一般路線で攻めています。実際、CPUの熱をピンポイントで外に運べる水冷クーラーを使う人は11月以降格段に増えたと思いますよ。また、メモリもクアッドチャンネルを実現すべく、4Gバイト×4枚の16Gバイト構成にする人が多いです」と語る。
ただし、メモリの大容量化については、11月以前に低価格化が進んだ背景も無視できない。次のページでHDDとともに価格動向を追っていこう。
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