“2画面”アプリは実用に足るか?――「Sony Tablet P」徹底検証(後編)汎用性と独自性のはざまで(3/5 ページ)

» 2011年12月31日 06時00分 公開

音楽再生用アプリの「ミュージックプレーヤー」

音楽再生アプリも2画面構成だ

 オーディオ面では、ソニー独自の技術を盛り込んだアプリ「ミュージックプレーヤー」を備えている。Sony Tablet Sと機能面では同じだが、こちらも2画面に最適化されているのがポイントだ。上画面にアルバムアートと再生コントトールパネル、下画面に楽曲ライブラリを配置しており、CDジャケットをちりばめたようなライブラリ表示が面白い。

 ソニーらしい工夫としては、12音解析技術による楽曲の自動分類再生「SensMe channels」に対応している。楽曲の数が多いと12音解析は何時間もかかるので、未使用時にACアダプタをつないで行うとよいだろう。解析が済めば、リラックス、アクティブ、朝/昼/夕方/夜のおすすめ、などのチャンネルを選ぶだけで、その雰囲気に合っていると思われる楽曲リストが自動的に再生される。普段聞かない楽曲が使われたり、思わぬ曲がつながって再生されたりと、意外な発見が楽しめるだろう。

 また、高音質技術「xLOUD & Clear Phase」も備えており、内蔵スピーカーの音量を割れさせずに上げるxLOUDと、低域から高域までを自然にバランス補正するClear Phaseが自動的に適用される。もっとも、Sony Tablet Pのスピーカーはモノラルの簡易的なものなので、ステレオスピーカー内蔵のSony Tablet Sほど高音質技術が効果的ではない。きちんと音楽を聴きたい場合、屋内ではThrow機能でネットワーク上のAV機器に飛ばし、外出時はヘッドフォンをつなぐのが無難だ。

「カバーアートビュー」では、下画面にちらばったジャケット画像をタッチ操作で動かしながら曲を探せる(画面=左)。実用的な機能ではないが、見た目に面白い。12音解析技術を利用した「SensMe channels」では、楽曲を自動分類してチャンネルごとに違った雰囲気の楽曲再生が楽しめる(画面=中央)。楽曲の12音解析には時間がかかるため、就寝前や空いた時間に行うのがいいだろう(画面=右)

 ちなみに、海外ではVideo Unlimitedに加えて、音楽配信サービスの「Music Unlimited」もサービス展開中だが、国内での対応は検討中とのこと。映像と音楽のコンテンツをまとめて購入、再生、管理できるサービス環境が整えば、ユーザーの利便性はもっと高まるはずだ。

懐かしの名作がタブレットでよみがえる「PlayStation Store」

 Sony Tabletはタブレット端末として初めてPlayStation Certifiedプログラムに対応し、初代プレイステーションのゲームタイトルなどをタブレット上で楽しめるのも特徴だ。

Sony Tablet Pでアクセスした「PlayStation Store」。購入できるゲームタイトルが縦一列に並んだシンプルなメニューだ

 「みんなのGOLF2」と「Pinball Heroes」がプリインストールされていることに加えて、ゲーム配信サービスの「PlayStation Store」も利用できる。「PS Store」アプリをダウンロードして導入し、PlayStation Storeにアクセスすることで、初代プレイステーションのゲームタイトルをダウンロードで購入可能だ。Video Unlimitedと共通のID(PlayStation NetworkおよびSony Entertainment Network用ID)を利用できる。

 オープン時には「XI[sai]」や「ポポロクロイス物語」、「I.Q Intelligent Qube」など18タイトル(価格は各タイトル600円)のラインアップだったが、現時点で期間限定無料のlite版も含めて26タイトルと微増している。ゲームタイトルによっては500Mバイト程度とサイズが大きいので、ストレージの容量には注意が必要だ。

 まだまだ充実した品ぞろえとはいいがたいが、今後はサードパーティの名作も含めて、数がそろってくれば、良質なゲームが遊べる端末として、PlayStation Certified非対応のAndroid端末と差異化できるのではないだろうか。誰もがタブレットでソーシャルゲームやカジュアルゲームばかりプレイしたいわけではないのだ。

購入したいゲームタイトルをタップすると、詳細情報が表示される(画面=左)。期間限定でlite版のゲームタイトルも無料配信されている(画面=中央/右)

2画面でのゲームプレイは、上画面にゲーム映像、下画面にコントローラを表示する

 もちろん、2画面構成のSony Tablet Pではゲーム画面の構成も最適化されている。基本的に上画面にゲーム映像、下画面にタッチ操作のソフトウェアコントローラを表示するレイアウトだ(L/Rボタンは上画面の左右に表示)。

 通常のタブレットで業務用/家庭向けゲームの移植タイトルをプレイすると、ソフトウェアコントローラがゲーム映像に重なってしまい、視認性が悪くなることが多いが、Sony Tabletはゲーム映像とコントローラの画面を分けることで、ゲームを遊びやすくしている。2つ折りの携帯ゲーム機に近い感覚だ(下画面はコントローラ表示だけだが)。

 実際にいくつかのゲームをプレイしたところ、最初は思わずゲーム映像のメニューボタンなどを直接タッチしそうになるが、当然反応しない。操作はコントローラで行うことを意識すれば、すぐに違和感はなくなってくる。

 ソフトウェアコントローラのタッチ操作なので、高速なレスポンスが求められるアクションゲームなどは鍛錬が必要だが、複雑な操作を必要としないゲームでは十分楽しめる印象を受けた。Sony Tablet Pのタッチパネル自体がチューニングされていて反応がよいのに加えて、コントローラの各ボタンは柔軟に位置を変えられるので、手の大きさやゲームによって微調整できるのがありがたい。

プリインストールの「みんなのGOLF2」は画面が4:3なので、ゲーム映像の表示領域は小さめだが、プレイに支障はない(画面=左)。ソフトウェアコントローラのボタン配置やカラー、デザインは設定を変更できる(画面=中央/右)

もう1つのプリインストールゲーム「Pinball Heroes」は、初代プレステ用ソフトの移植ではなく、2画面全体に美しいグラフィックスが表示され、操作はフリッパーを直接タップする(画面=左)。期間限定で配信されている「ピポサルアカデミ〜ア -サルゲ〜傑作選-」(画面=中央)と「ピヨタマ lite」(画面=右)

「Sony Tablet P」では上画面に 「みんなのGOLF2」のゲーム映像を、下画面にタッチ操作のソフトウェアコントローラを表示する

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