“2画面”アプリは実用に足るか?――「Sony Tablet P」徹底検証(後編):汎用性と独自性のはざまで(5/5 ページ)

» 2011年12月31日 06時00分 公開
前のページへ 1|2|3|4|5       

Androidの枠を超えた“使える”2画面タブレット

 以上、Sony Tablet Pを3回に渡ってじっくりチェックした。

 価格はソニーストア直販で6万2880円と安くないが、コストがかかった2画面搭載のAndroidタブレットとしては納得できる範囲だ。NTTドコモのFOMA定額データプランに契約して購入すれば、実質負担額は抑えられるが、これを指名買いするようなユーザー層であれば、既に所有しているモバイルルータと組み合わせたり、MVNOで試したいといったケースも多いだろう。

 Sony Tablet Pの折りたたみボディは、“小さく運んで、大きく使う”というコンセプトをうまく体現している。ソニーのコンテンツ配信サービスはまだまだ洗練されておらず、純正アプリはものによって操作性が大きく異なるなど課題はあるが、第1世代の製品としてはハードウェアとソフトウェアの両面をよく作り込んできた印象だ。

 これまでは2画面の携帯情報端末というと、コンセプトモデル的な部分が残ったままの製品も少なくなかった。しかし、Sony Tablet Pはきちんと各種アプリも最適化して2画面のタブレットとして成立させている。最初はクセを感じることがある純正の2画面アプリも、少し使って慣れれば便利に活用できるものが多く、総じて満足度は高い。

 不満点を挙げるならば、バッテリーの減りが結構早いことだが、バッテリーは交換式なので泊まりがけの出張などには予備を持っていくことでフォローできる。

 汎用のAndroidアプリは2画面にうまくフィットしないものもあるため、単にAndroidタブレットが欲しいという理由で選ぶのは避けたほうがいいが、明確な差異化が難しいAndroidタブレットの中にあって、これほどの独創性を備えた製品は皆無で、強烈な魅力を感じる人は決して少なくないだろう。

 携帯性に優れた2台目のタブレットや、ほかとは違ったポータブルデバイスが欲しい、といったこだわり派に強くおすすめしたい。

 そもそもSony Tablet Pは「モバイル環境で高速なデータ通信が可能になった時代に最適な携帯端末は何か」というテーマで、2007年から開発が進められてきた。Androidの採用はいわば市場動向を受けての後付けだ。

 実際、Sony Tablet Pで主に常用することになる独自の2画面アプリは、標準的なAndroidアプリとは見た目も使い勝手も異なるため、Androidアプリ互換の独自ポータブルデバイスという認識でも正しいように思う。

 ここはスタンダードなモデルのSony Tablet Sとは違う部分だが、近い将来にソニー独自のコンテンツ配信サービスがより強化されれば、Sony Tablet全体としてAndroidのオープンな世界からさらに距離を置くことになる。

 とはいえ、Androidタブレットとしての汎用性を保持することで、ユーザーの間口を広げているのも事実だ。海外では既にSony TabletのAndroid 4.0アップデートが予告されており、日本でも実施されるだろう。OSのアップデートが可能と分かれば、購入時の安心感が違ってくるはずだ。

 もっとも、最新OSへのアップデートは新機能の追加や不具合の修正といった意味で朗報だが、Sony Tablet Pの場合はAndroidであることと別のところに価値があるので、ほかのAndroidタブレットほどアップデート対応に大きな意味はないかもしれない。

 ソニーとしては今後、Android端末としての汎用性を保ちつつ、どのように独自性を追求していくのかが、Sony Tablet開発における腕の見せ所になるだろう。

 現状でのAndroidの完成度を考慮すると、開発当初に可能性としてあった別のOSという選択肢を見たかった気もするが、Androidに独自サービスをうまく載せていければ、ほかのAndroidタブレットともiPadとも違ったポジションが確立できる可能性はある。

前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月26日 更新
  1. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  2. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  3. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  4. なぜ競技用ゲーミングPCは光らない? HPSC久木留所長とマウス軣社長が語るアスリート支援の未来 (2026年09月24日)
  5. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  6. ロジクールGの新型マウス「PRO X3 SUPERSTRIKE」や8K対応キーボード「PRO X2 RAPID」を見てきた (2026年09月24日)
  7. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  8. 天空がCore Ultra 5を搭載した10.51型2in1ノート「TENKU Note Pro AI」を発売 (2026年09月24日)
  9. “AIスマホ”としての個性がより鮮明に 望遠カメラ刷新&AI処理が飛躍した「Pixel 11 Pro」 の実力とベンチマーク結果を検証 (2026年09月24日)
  10. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー