←・イロモノかホンモノか:“2画面”Androidタブレットの基礎体力は?――「Sony Tablet P」徹底検証(前編)
←・孤高のAndridタブレット:“2画面”タッチパネルの使い勝手は?――「Sony Tablet P」徹底検証(中編)
Androidタブレットといえば板状のスレート型を思い浮かべるだろうが、「Sony Tablet P」はモバイル向けの2画面折りたたみボディが目を引く1台だ。持ち運ぶときはコンパクトにたためて、使うときは大画面でタッチ操作できるという、携帯性と操作性のいいとこ取りを狙っている。
これまでに掲載したレビューの前編では、ボディデザイン、携帯性、バッテリー駆動時間、基本スペックとパフォーマンス、インタフェース類をチェックし、レビューの中編では液晶ディスプレイの表示品質やタッチパネルの使い勝手に迫った。
最終回となるレビュー後編では、Sony Tablet P向けのアプリやネットワークサービスについて見ていこう。
おさらいだが、Sony Tablet Pは1024×480ドット表示(アスペクト比16:7.5)の5.5型ワイド液晶ディスプレイを2枚搭載する。デュアルディスプレイで1024×960ドット(16:15)の縦に長い解像度と正方に近いアスペクト比は、Androidタブレットとして特殊だ。
そのため、Sony Tablet PではAndroidマーケットなどから入手した一般的なAndroidアプリを表示する場合、右下に表示される画面モード切り替えボタンを押すことで、1画面表示(左右を少し切って854×480ドット表示)か2画面表示(拡大して1024×960ドットフル表示)に切り替えて利用できる。
たいていは表示するアプリや状況に応じて、2つの画面モードを切り替えて使えば問題ないのだが、1画面表示では下画面が無駄になり、2画面表示では画像などのメインコンテンツが2つの画面に分断されて見にくくなるなど、せっかくの2画面を生かせない場面も出てくる。そこで、Sony Tablet Pにはデュアルディスプレイで操作しやすいよう2画面に最適化されたさまざまなアプリが用意されている。
その最たるものが、地図情報アプリの「PetaMap ガイド&ナビ」だ。プリインストールのアプリではなく、Androidマーケットでダウンロードする必要があるが、Sony Tablet Pの2画面専用アプリとなっている。
PetaMap ガイド&ナビは、ソニーマーケティングが運営する地図情報サービスの「PetaMap」と連動して、日本全国で約100万件のスポット情報から、グルメやレジャー、ガソリンスタンドなどのスポットを探したり、ルート検索や簡易的な行程表の作成が行えるアプリ。縦位置表示(480×1024ドットの2画面)に固定した手帳風のユーザーインタフェースを採用し、左画面に地図、右画面にスポット情報を表示するのがユニークだ。
地図上に表示されるスポット情報は、ぐるなび、グルメぴあ、ホットペッパー グルメ、るるぶトラベル、一休.com、オズモール、gogo.gs、GDO、旅の発見、日本観光振興協会など、PetaMap連携パートナーの情報に加えて、さまざまなユーザーが登録したクチコミ情報も表示できる。
機能面では、地図を表示しながら、現在地周辺や場所を指定してのスポット検索、ルート検索、連携パートナーのマップを利用した周辺スポット表示、スポットの写真表示、お気に入りスポットの登録、PetaMapにないスポットの登録、簡易的な行程表(おでかけプラン)作成などが行える。
実際に使ってみると、情報量が多すぎて戸惑うかもしれないが、独特の画面構成と操作方法を一度覚えてしまえば、外出先での強力な地図・ガイドブックになるはずだ。例えば、人気順やクーポンが使えるなどの条件で周辺スポットを検索したり、ガソリンスタンドの価格を比較するといった便利な活用ができる。
地図は電子コンパスでユーザーの向きに応じて自動回転でき、位置情報の取得も細かい(標準では10秒間隔、最短で5秒間隔)ので、本体を片手で持ちながら、ルート検索した道順を徒歩で簡単にたどれるだろう。ルート検索は徒歩かクルマを選択でき、電車などの公共機関を使う場合はGoogleマップの機能にスムーズに切り替わる仕組みだ。
2つ折りボディのSony Tablet Pを縦位置に持ってPetaMap ガイド&ナビのスポット情報を見ながら歩くのは、ポケットサイズのガイドブックを見ながら旅行先の街を散策する感覚に近く、Sony Tablet Pの高い携帯性が存分に生かせる。
スマートフォンとは比べものにならない2画面の情報量とスポット情報を組み合わせた利便性の高さ、そして本体はコンパクトと、これだけでSony Tablet Pを使いたくなるほどだ。お気に入りのスポットを登録して自分だけのガイドブックを作成したり、旅行や出張の移動プランを作成したり、と使い込むほとSony Tablet Pを常に携帯したくなるアプリといえる。
今後は画面内の情報を整理し、操作方法をより直感的に改良すれば、さらに完成度が高まるに違いない。
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