“2画面”アプリは実用に足るか?――「Sony Tablet P」徹底検証(後編)汎用性と独自性のはざまで(4/5 ページ)

» 2011年12月31日 06時00分 公開

見開き文庫本の感覚で読書できる「Reader Store」

2画面を使った2ページ見開きで電子書籍を表示できる

 Sony Tablet Pは電子書籍サービスの「Reader Store」にも対応し、見開き2画面の電子書籍リーダーとして利用できる。

 Androidマーケットからバージョン2の最新版「Reader」アプリをダウンロードすれば、対応フォーマットにXMDF、.book、EPUB 3が加わり(従来版はPDF、EPUB 2のみ対応)、Reader Storeで購入したコンテンツが閲覧可能だ。ソニーは国内事業者としては初めてEPUB 3のコンテンツ販売を開始したことになる。

 従来のReader Storeは同社のモノクロE INK採用の電子書籍リーダー「Sony Reader」向けの電子書籍ストアで、文芸書やコミックなど約3万冊を扱っていたが、Sony Tablet Pの発売とともに、雑誌や絵本といったカラーコンテンツが200タイトル以上追加され、Sony Tablet上ではカラフルな電子書籍が閲覧できるようになった。

 無論、Sony Tablet PのReaderアプリは、2画面に最適化されている。トップメニューは上画面にツールバーやReader Storeのおすすめコンテンツ、下画面に最近追加したコンテンツや読書中のコンテンツを配置したデザインだ。

「Reader」アプリを起動すると、上画面にツールバーとReader Storeのおすすめ、下画面に最近追加したコンテンツや読書中のコンテンツを表示したメニューが現れる(画面=左)。Reader Storeのおすすめコンテンツをタップした様子(画面=中央)。「この本をストアで見る」ボタンをタップすると、WebブラウザのReader Storeサイトに切り替わり、ブラウザ上で購入手続きが行える(画面=右)

 Readerアプリでコンテンツを選択すると、縦位置固定の閲覧画面に切り替わり、左右の画面に1ページずつが配置される見開き表示となる。ここでは、ブックマークの登録や文字列のハイライト表示および検索、拡大/縮小といった操作が可能だ。

 横に長い液晶ディスプレイを2枚並べているため、レイアウトが決まった電子書籍の閲覧では上下にかなり余白ができて表示領域が小さくなるが、精細な描画で視認性がよく、文芸書やビジネス書、コマ割が大きいコミックなどは初期設定のままでも読めることが多い。ただし、雑誌などの細かい文字では拡大表示が必要だった。

小学館の「偽りの学舎 前編(無料版)」(青木知己 著)を表示した例(画面=左)。標準で文字が読みやすい大きさのサイズになっている。祥伝社の「こんな話があっていいのか! [平成21年〜平成22年]無料版 4巻」(えびなみつる 著)を表示した例(画面=右)。こうした4コマやコマ割が比較的大きなコミックは、サクサクと読み進められる。Sony Tablet Pの場合、見開きのコマで左右が分断されてしまうのは少し気になるかもしれない

 ちなみに、Reader Storeの利用には「My Sony Club」のIDが必要だ。ID登録は無料だが、Video UnlimitedやPlayStation StoreのIDとは別なので、初めてサービスを利用する場合は同じような登録作業の繰り返しが少々面倒ではある。

 また、Readerアプリのトップ画面や書庫画面、Reader Storeは横位置表示のデザインに固定されている一方、閲覧画面は縦位置表示に固定されているため、ちょっと中身を確認したい場合などはボディの向きをいちいち変える必要があり、操作が煩雑に感じた。それぞれで横位置と縦位置を切り替えられるようにしてほしい。

 とはいえ、2画面を生かした2ページ見開き表示は電子書籍との相性がよく、文庫本を片手で持って読み進めるような感覚で読書できる。ボディが約372グラムと軽いので、10型クラスのタブレットで読書するより手が疲れにくいのもうれしい。

2画面を生かせる実用ツールも一通りそろう

 ここではエンターテインメント色が強く、ソニー独自のネットワークサービスと連携するアプリを中心に取り上げたが、ほかにもSony Tablet Pの2画面に最適化されたアプリは多数用意されている。

 Skypeと連動するビデオ、音声、テキストチャット用アプリの「ビデオチャット for Sony Tablet - plugged into Skype」、TwitterとFacebookのタイムラインをまとめて表示する「ソーシャルフィードリーダー」、マルチアカウントに対応して本文と受信トレイなどを別々の画面に映せる「メール」、下画面にプレビューを表示して上画面に撮影後の画像を並べた「カメラ」、GoogleカレンダーやMicrosoft Exchangeと連携する「カレンダー」、映像とテキスト情報を2画面に分けて配置した「Ustream」など、こうした実用度の高い機能は2画面をフルに活用できる。

「ソーシャルフィードリーダー」では、TwitterとFacebookのタイムラインをまとめて縦一列に表示するデザイン(画面=左)。「メール」は横位置と縦位置の表示切り替えにも対応し、横位置では2画面に本文を大きく表示することも可能だ(画面=中央)。「カメラ」は上画面に撮影した画像を並べ、下画面でプレビューや設定変更、撮影を行う(画面=右)

背面のカメラで実際に撮影した静止画のサンプル。画質はこの手の携帯端末として悪くないが、もう少し頑張ってほしいところ。内蔵カメラは前面が有効画素数30万画素、背面が有効画素数511万画素(“Exmor for mobile”CMOSセンサー搭載)だ。背面カメラは最大2592×1944ドットの静止画、最大1280×720ドット/30fpsの動画が撮影できる

 また、Sony Tabletでは目的のアプリを探しやすくする工夫もしている。デスクトップ画面の右上には「Apps」ボタンと「Favorites」ボタンがあり、それぞれ独自のアプリランチャーと、お気に入りコンテンツをまとめた専用メニューにアクセスすることが可能だ。アプリランチャーもFavoritesもユーザーがある程度カスタマイズして見やすく整理できる。

 さらに、おすすめアプリを紹介する独自サイト「Select App」へのショートカットも設けられている。Select Appは雑誌のように凝ったビジュアルでSony Tablet向けアプリを厳選して紹介するサイトだ。Androidマーケットに登録された膨大なアプリから、Sony Tablet Pの2画面で便利に使えるものを探すのはなかなか大変だが、Select Appにアクセスすれば、テーマに沿ったアプリやソニー純正のアプリをリコメンドしてくれる。怪しいアプリを導入するリスクも軽減できるだろう。

Appsボタンを押すと、アプリのアイコンを一覧できる「アプリランチャー」が起動する(画面=左)。アプリはアルファベット順や新規順に並べ替えたり、区切りを入れて整理することもできる(画面=中央)。お気に入りのコンテンツを8つのタイルに集めた独自メニューの「Favorites」(画面=右)。下画面のタイルをタップすると、上画面に該当するコンテンツが表示される仕組みだ。よく閲覧するWebページ、ソーシャルフィーダー、動画、写真、音楽、電子書籍、ゲームから8つを下画面に配置できる。コンテンツは「最近の再生」や「最近の追加」といった選択肢で、特定のコンテンツを指定してメニューを作り込むようなカスタマイズには対応しない

Sony Tablet Pにおすすめのアプリを紹介する「Select App」。2画面の見え方を大きな画像で確認できる(画面=左)。定期的に雑誌のような特集が組まれており、記事を読みながら自分に合ったアプリを探すこともできる(画面=中央/右)

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