IdeaPad Y480は、CPUに“Ivy Bridge”ことインテルの第3世代Coreプロセッサー・ファミリーの「Core i7-3610QM」(2.3GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.3GHz)を搭載する。クアッドコアを内蔵するとともにHyper-Threading Technologyで8スレッド同時処理に対応する。
評価機のシステムメモリは、PC3-12800 DDR3 SDRAM 8Gバイト(4Gバイトモジュールを2枚)載せており、グラフィックスコアにはGeForce GT 640M LEを実装する。データストレージは容量1TバイトのHDDを内蔵し、評価機では、シーゲイトの「ST1000LM024」(5400rpm)を載せている。
HDD以外にLenovo RapidDrive SSD Technologyで利用する容量32GバイトのSSDを搭載する。評価機では、サムスンの「MZMPC032HBCD-000」を載せていた。この機能は、SSDをデータストレージとしてではなく、HDDのキャッシュメモリとして扱い、HDDの(見かけ上の)転送レートを向上させるものだ。起動やシャットダウン、スリープからの復帰、アプリケーションの起動などの高速化を実現する。「IdeaPad Y480」で実測すると、起動まで約12秒、スリープからの復帰は一瞬だ。体感速度でいえば、OSレスポンスレベルでSSDと変わらない。なお、プリインストールOSは64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)だ。
最新のPCゲームタイトルの動作以外で、マシンスペックに不満を感じずに利用できる。評価作業では、Adobe Photoshopで画像を加工をしたり、Adobe Premiereで動画編集をしたりしてみたが、デスクトップPCと変わらない処理速度だったことから考えると、自宅のメインPCとしての運用も視野に入れていいだろう。
IdeaPad Y480で測定したベンチマークテストの結果は、同じカテゴリーでSandy Bridge世代のCPUを搭載したモデルに近いスコアになる。ただ、GeForce GT 640M LEを搭載したことで、グラフィックス関連テストのスコアが、統合タイプのグラフィックスコアを利用する省スペースPCなどと比べるといい結果になっている点も注目だ。
ベンチマークテストは、PCMark 7とPCMark Vantage、3DMark 11、3DMark Vantageを行い、Windowsエクスペリエンスの値も指標として用意した。また、ゲームタイトルベンチマークテストでは、ストリートファイターIV ベンチマーク、モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】に加えて、PSO2キャラクタークリエイト体験版に付属するベンチマークテストも実行した。
PCMark 7とPCMark Vantageの結果では、Lenovo RapidDrive SSD TechnologyのおかげでPCMark VantageにおけるHDDスコアが高い。一方で、PCMark 7はHDDのスコアと大差ないものになっているが、3回リトライしても同様の結果なので、Lenovo RapidDrive SSD Technologyが適応されていない可能性も高い。そのほかのスコアも高く、最新の3D多様ゲームタイトル以外ならマシンスペックに不満を感じずに利用できるだろう。
そのゲームタイトルを使ったベンチマークテストの結果では、3DMark 11、3DMark VantageにおけるPhysicsスコアの高さに注目したい。ストリートファイターIV ベンチマークは、解像度1280×720ドット、オプションはデフォルトで計測したが、ScoreとAverege FPSともに快適にプレイできる結果になった。
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】も、GeForce GT 640M LEのおかげで快適に遊べるスコアを出している。PSO2キャラクタークリエイト体験版付属ベンチは、ゲームタイトルのベンチマークテストとしては新しい。スコアで5000以上であれば、このゲームタイトルを快適に遊べ、2000を切る場合は設定の変更やPC構成の見直しが必要というのがセガの指標だ。簡易描写設定1ではプレイに支障のないスコアになったが、簡易描写設定2以降は2000を切っている。ただ、簡易描写設定1と簡易描写設定2のスコア差が大きすぎるのだが、それぞれ5回チェックしての平均値なので、ここでは掲載している。
ベンチマークテスト | スコア | |
---|---|---|
PCMark 7 | PCMarks | 2738 |
Lightweight | 2626 | |
Productivity | 2076 | |
Creativity | 3537 | |
Entertainment | 2820 | |
Computation | 4548 | |
System storage | 1939 | |
PCMark Vantage | PCMarkSuite | 12478 |
Memories | 7864 | |
TV and Movies | 5344 | |
Gaming | 10034 | |
Music | 13831 | |
Communications | 14279 | |
Productivity | 9231 | |
HDD | 10537 | |
3DMark 11 (Performance) | 3DMark | 1262 |
Graphics | 1099 | |
Physics | 7529 | |
Combined | 1115 | |
3DMark 11 (Entry) | 3DMark | 2141 |
Graphics | 1888 | |
Physics | 7509 | |
Combined | 1436 | |
3DMark Vantage (Performance) | 3DMark | 5626 |
GPU | 4544 | |
CPU | 19675 | |
ストリートファイターIV ベンチマーク | Score | 9929 |
Averege FPS | 59.27 | |
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】 | Score | 4481 |
PSO2キャラクタークリエイト体験版付属ベンチ | 簡易描画設定1 | 6028 |
簡易描画設定2 | 1407 | |
簡易描画設定3 | 1184 | |
簡易描画設定4 | 837 | |
簡易描画設定5 | 795 | |
バッテリー駆動性能は、bbench1.01(海人氏・作)で行った。キーストローク10秒、Web巡回60秒に設定した状態での結果は、電源プランをバランスにした場合で4時間15分、省電力で4時32分だった。液晶輝度をちょうど中間にした状態なので、輝度を最低にしておけば、約5時間の運用も期待できるだろう。なお、充電時間はカタログスペックで約3.1時間となっているが、実測でも同様の結果だった。
キーボード面やパームレストの温度変化もチェックした。本体左側面の巨大な排気スロットで大半の熱を逃がしているようで、排気スロット上部、キーボード左端寄りの部分は、ベンチマークテスト開始から10分ほどでほんのり暖かくなり、30分経過するとやや気になるぐらいになったが、不快な温度にまではならず、かつ、騒音もほとんどしないため、動画鑑賞でも気になることはないだろう。
なお、高負荷状態になると、キーボード左端よりの部分からも排気が行われている。感じる風量はわずかで、熱を逃がすというよりは、手の体感温度を下げる狙いがあるのではないだろうか。パームレスト側の温度変化はほとんどない。ゲームタイトルを数時間ぶっ通しで動かすという場合は全体的に熱をもつのは回避できないが、それ以外では発熱が気になることは少ないだろう。
IdeaPad Y480は、Core i7-3610QMとGeForce GT 640M LEの組み合わせで十分なスペックと性能を有し、かつ、実測で4時間以上のバッテリー駆動を実現している。重量は約2.2キロで持ち“歩く”常時携帯には厳しいが、オフィスや家庭内といった屋内移動ならば問題ないし、車で移動するケースであれば、バッテリー駆動時間からしても十分に携帯できる。そういう視点から見ていくと「IdeaPad Y480」における“汎用”としての仕上がりは、すこぶるよく、加えて実売価格10万円前後とコストパフォーマンスも高い。そろそろノートを買い替えたい人やオフィス用にパワーとパフォーマンスを兼ね備えたモデルを探しているのなら「IdeaPad Y480」は第一候補にしてもいいだろう。
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