SSDは、ファームウェア次第で性能や信頼性が大きく変わることから、バージョンアップを繰り返し行う。特に、新しいコントローラを搭載したモデルでは、こうした傾向が著しい。M5 Proシリーズも、8月13日にファームウェアが1.01にバージョンアップしている。新ファームウェアでの変更点は、特に公開しておらず、どのような変更を施したのかは不明だ。ファームウェアのアップデート作業は、メーカーが配布するisoファイルをCD-Rに焼き、CD-ROMブートから書き換える。作業自体は、数十秒で終了する。
今回は「PX-256M5P」でファームウェアを更新し、新旧で性能の違いがどの程度あるのかもチェックしている。実施したベンチマークテストと、評価作業で用意したシステムの構成テストは、これまでのSSDレビューから変更したので、過去に掲載したレビュー記事のベンチマークテストの結果とは直接比較できないが、参考としてM3 Proのレビューで測定したベンチマークテストの結果とも比較した。実施したベンチマークテストは、「CrystalDiskMark v3.0.1C」「HD Tune Pro 5.00」、「AS SSD Benchmark」だ。接続設定はすべてAHCIモードで、Serial ATA 6Gbps用インタフェースを使用している。
テストに用いたシステム構成 | |
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CPU | Core i7-3770K(3.5GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.9GHz) |
マザーボード | ASUS P8Z77-V(Intel Z77 Express チップセット) |
メモリ | Corsair Memory CMX4GX3M2A1600C9 PC3-12800(DDR3 1600MHz DDR3 SDRAM 2Gバイト×2枚) |
システムSSD | Intel SSD 330(容量128Gバイト) |
OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate SP1 |
CrystalDiskMark v3.0.1Cのテスト項目は、デフォルトの「ランダムデータ」と「0」連続して書き込む「0Fill」、書き込みデータは1000Mバイトと4000Mバイトの2種類を計測している。新旧ファームウェアの違いでは、新ファームウェアでシーケンシャルリードの性能がわずかながら向上しているほか、4K QD32でも性能の向上が確認できる。新ファームウェアとM3 Proとの参考比較では、M5 Proでシーケンシャル性能、512Kバイトの書き込み性能、そして、NCQ使用時のランダム4Kバイトの性能を調べる4K QD32性能のそれぞれで改善がみられた。特に、4K QD32(1000Mバイト デフォルト)については、「PX-256M3P」がリード306.4Mバイト/秒、ライト264.1Mバイト/秒であるのに対して、「PX-256M5P」ではリード376.7Mバイト/秒、ライト341.2Mバイト/秒と性能差が出ている。PLEXTORが示す仕様通りにランダムアクセス関連の性能が向上していることが確認できる。
HD Tune Proで気になったのは新旧ファームウェアにおける性能の違いだ。新しいファームウェアに更新すると、Benchmarkテストの64Kバイトリードの転送速度に大きなバラツキが出るようになった。更新前のファームウェア1.00では最大335.5Mバイト/秒、最小356.2Mバイト/秒、平均343.3Mバイト/秒であったのに対して、更新後では最大378.1Mバイト/秒、最小148.02Mバイト/秒、平均342.1Mバイト/秒と最大と最小の差が大きくなっている。新しいファームウェアとM3ProでIOPSの結果を比較すると、NCQ使用時のランダム4Kバイトの性能を調べる「4K random multi」とシーケンシャル時の数字は、M5 Proの新ファームウェアが上回る。
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