前回に続いて2012年のアキバを振り返っていこう。
7月。パーツショップのレジ前に「Windows 8優待プログラム」のポスターが貼られ、DSP版Windows 7限定版の最終バージョンが売り出されるなど、この時期から街全体で次世代OSの存在感が少しずつ大きくなっていった。9月後半にもなると発売直前の空気に包まれたが、それでも買い控えはほとんどみられなかったのが印象的だ。ソフマップ秋葉原リユース総合館は、当時「優待プログラムがあるので、Windows 7や7マシンを買っても1200円で8にアップグレードできます。8への期待感もありますが、7自体の完成度の高さもあって、目立った落ち込みはありません」と語っている。
そして販売解禁となったのは10月26日0時。2桁のショップが深夜販売を実施し、日本マイクロソフトもベルサール秋葉原の1階を借り切って新OSの発売を大いに盛り立てた。1000人以上集まったWindows 7の深夜販売よりもさらに大勢のユーザーが集まったといわれている。
Windows 8には「8」と「8 Pro」の2種類があり、新規イントール用のDSP版には通常版と発売記念の限定パック、さらに秋葉原と大阪日本橋用の限定パックがラインアップされた。従来のWindowsと異なり、DSP版もパーツとセットではなく単体で購入できる。このため、リテール品は8 Proアップグレード版のみとなる。
深夜販売前後は秋葉原限定パックの人気が過熱し、多くのショップに予約が殺到。まもなく在庫が途絶え、ノーマルな限定パックも売れるようになった。しかし、全体的な需要でみると、売れ筋となっているのは8 Proアップグレード版だった。1月31日までの限定で5980円の値が付けられており、通常のDSP版8 Proよりも1万円近く安く買える。ツートップ秋葉原本店は「Windows VistaやXPのライセンスを余らせている人が多いのも人気を後押ししていると思います。8は実験的な機能が多いOSなので、まずはサブ機で試してみようという需要も大きいですから」と話していた。
発売直後の熱気が落ち着いた秋以降、8についてパーツ街ではさまざまな意見が聞かれるようになっている。賛否共々熱心に語られるが、「Windows 7ほどのスタートダッシュはなかった」という認識は共通しているように思える。
12月、某ショップは「7のときはVistaからの反動という好材料があったので、あれと同じを目指すのは辛いです。ただ、8の目玉機能であるタッチ機能が使える環境がもっともそろってくれないと、本腰が入らない。早く“8ならではの自作”が楽しめる状況になってくれれば」と漏らしていた。
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