2013年3月にユニットコム系列店の統合店舗「BUY MORE」が誕生し、「ツートップ秋葉原本店」と「PC DIY SHOP FreeT」、および先だって1月に閉店した「パソコン工房秋葉原本店」と「フェイス秋葉原本店」が1店舗に同居するようになった。このとき、別の店舗のベテランスタッフは「打ち止め感があるね」とつぶやいた。これで秋葉原にあるPCパーツショップの顔並びが、ある程度固定化するとみているわけだ。
秋葉原では1990年代からPCパーツショップの栄枯盛衰があり、自作PCブームが今より数段盛況だった2000年前後でも、「Flip-Flap」や「Laser5」などの有力店が姿を消すことがたびたびあった。ただ、閉店以上のペースで新規のショップが開店しており、激しい新陳代謝の下で“自作の街・アキバ”のカラーが保たれていたところがある。
年 | 閉店 | 再編 | 開店(地域初号店) |
---|---|---|---|
2004年 | パソコンCity パーツ館 | − | ワンネス |
2005年 | OVER TOP I/II、ぷらっとホーム秋葉原店舗、パソコン工房秋葉原店(単独店舗) | − | イオシスあきはばら店、ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba |
2006年 | 俺コンハウス | ソフマップがビックカメラ傘下に | − |
2007年 | PC Success系列店、ワンネス系列店、LAOXザ・コンピュータ館、サトームセン駅前1号店 | ソフマップ系列店再編、石丸電気がエディオン傘下に | ヤマダ電機 LABI秋葉原パソコン館 |
2008年 | 高速電脳、USER'S SIDE秋葉原本店、あぷあぷ秋葉原店 | 九十九電機が事実上の倒産→ヤマダ電機傘下に | − |
2009年 | BLESS秋葉原本店、GENO工房 | − | GENO工房、パソコン工房秋葉原本店(フェイス秋葉原本店と同フロア) |
2010年 | T-ZONE.PC DIY SHOP | − | − |
2011年 | − | − | PC DIY SHOP FreeT |
2012年 | クレバリー秋葉原店 | クレバリー各店が秋葉原店に統合、石丸電気がエディオンにブランド統合 | − |
2013年 | エディオン秋葉原本店 | ユニットコム系列店がBUY MORE秋葉原本店に統合 | − |
そのバランスが崩れてきたのは2004〜5年ごろだったと先のスタッフは指摘する。アキバの姿は、駅前再開発や映画「電車男」が世間の注目を集めた時期に大きく変わり始めた。
その一方で、PCパーツ業界は全体の勢いに衰えが見えはじめ、閉店したり方向転換したりするショップのペースは変わらないまま、新規参入の気配が薄れていった。その空気感は「LAOXザ・コンピュータ館」や「PC-Success」、「高速電脳」などの老舗ショップが幕を下ろし、「九十九電機」が倒産した、閉店ラッシュの2007〜8年につながる。そしてもちろん、2013年現在のアキバの姿にも。
それでは、変化の起点ともいえる2004〜5年ごろはどんな空気が流れていたのだろうか。当時の写真をもとに、現在と違う(あるいは共通する)空気感を探ってみたい。街の動きが一段落したとみられるいま、一息入れて過去を振り返ってみる、まあ、ちょっとした道草企画だ。
2005年冬、街を行き来する人を対象に秋葉原のイメージについてアンケートをとったところ、「電気街」のポイントが最も高く、「メイドカフェ」「オタク」「パソコン・PCパーツ」「アニメ」「萌え」が続き、大きく引き離されて「家電」「IT産業の拠点」が並ぶ結果となった。観光地化が急速に進み、メイドカフェや“萌え”という言葉が新鮮に響くなかで、パソコン・PCパーツの街という印象は、ごく当たり前に浸透していたわけだ。
実際、LGA 775対応となった「Pentium 4」や、省電力性の高さが話題を読んだ「Pentium M」オンボードマザー、デュアルコアCPU時代の幕開けを告げた「Athlon X2」などが登場するたび、アキバ全体が盛り上がった。
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