G-Master Hydro-GKは、最も発熱するGPUとCPUにそれぞれ専用の水冷ユニットを設けている。水は空気よりも高い熱伝導率を持つため冷却効率が高く、CPUやGPUのリファレンスデザインで採用する空冷ユニット以上の冷却能力によって、オーバークロック設定でも安定した動作を期待できる。
こうした性能的なメリットはあるものの、水冷ユニットは、CPUやGPUに取り付ける「ヘッド」部分と冷却液を循環するための「ポンプ」、冷却液を保存しておく「タンク」、そして、冷却液で誘導した熱を冷やす「ラジエータ」といった複数のパーツで構成するため、自作PC初心者がPCケース内のレイアウトなどを考慮しながら確実に取り付けるのは難しい。G-Master Hydro-GKでは、グラフィックスカードとCPUのそれぞれに専用水冷ユニットを取り付けているが、どちらもプロのテクニックで確実に取り付けている。

2基の5.25インチオープンベイの下はすべて3.5インチシャドウベイとなっている。中央部5基と下側3基は分離して、それぞれ取り外し可能。2基の水冷ユニットで使う冷却液チューブとラジエータをケース内に収納しているが、それでも、ケース内部のスペースは十分確保できているので、システムメモリや拡張カードの増設は容易にできる(写真=左)。マザーボードプレートの裏側にはケーブル配線用の空間があり、電源ケーブルを通している(写真=右)水冷ユニットは両方とも「ASETEK」製だ。グラフィックスカードには「740GN」を取り付けている。ポンプとラジエータが一体となったモデルだ。組み込みは比較的簡単だが、それでも既存のグラフィックスカードにヘッドを取り付けるのは、すでにある空冷ユニットを外す手間が必要な上、グラフィックスメモリチップにも注意して作業をしなければならない。しかし、この面倒な作業をサイコムのプロがすでに行っているので、ユーザーは何も心配することはない。ラジエータとタンクは、PCケース背面側の12センチ径ファン取り付け部分に固定している。ラジエータ用のファンにはEnermaxの12センチ径ファン「UCTB12」を採用している。回転数は900rpmと低回転であるためファンの動作音は少ない。
CPU側の水冷ユニットは「550LC」を採用する。基本的な構造はグラフィックスカードの水冷ユニットと同じだ。こちらは本体の天板側にポンプとラジエータを取り付けている。ファンはEnermaxの12センチ径ファン「UCTB12P」で、負荷に応じて回転数を500〜1500rpmに変化するタイプで、最高の1500rpmでも静かだ。ファンは静音タイプを採用している。2台の水冷ユニットを搭載するだけに、ポンプが冷却液を送り出すための作動音がやや気になる。ただ、サイドパネルの静音対策によって、音はだいぶ抑えられている。

CPU用の水冷ユニットは「550LC」で、GPU用は「740GN」とどちらもASRTEKの一体型だ(写真=左)。なお、評価機材のマザーボードは、ASRockのIntel Z77 Expressチップセット搭載モデル「Z77 Extreme 4」を、グラフィックスカードの実装するGPUはGeForce GTX 680をそれぞれ採用する(写真=右)内部レイアウトでは、両方の水冷ユニットともケース上部に集中しているため、拡張スロットへのアクセスには影響しない。CPU側もヘッド部分がコンパクトなので、メモリの増設時の作業性もやりやすい。このように、本製品は水冷ユニットを2基も搭載しているのに非常に使い勝手のよいものとなっている。後編ではベンチマークテストによる性能評価と冷却性能を生かしたシステム温度のチェックについて紹介する予定だ。
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