Intelは、22ナノメートルプロセス世代のSoCとして、スマートフォン向けの“Merryfield”(開発コード名)や“Bay Trail”の存在を明らかにしたが、その機能の詳細は公開されなかった。しかし、同社の技術展示では、
1、CPUアーキテクチャは現行のAtomプロセッサやCoreプロセッサとも異なるまったく新しいアーキテクチャとなる
2、クアッドコアモデルが用意され、現行世代の2倍以上のパフォーマンスを実現する
3、グラフィックスコアは、Ivy Bridge世代と同じIntel HDグラフィックスベースとなり、2〜3倍の性能アップが図られる
4、I/O機能が強化される
などが明らかにされた。
ここで疑問となるのが、現在、Imagination TechnologiesのPowerVR SGX540などを採用しているグラフィックス機能を、Intel HDグラフィックスに変更することで、消費電力が増大しないかということだ。
しかし、同社でシステムエンジニアを務めるジャッキー・ロマーノ氏は、「グラフィックスコアは、一定レベル以上に周波数を上げようとすると、急激に電圧が上がるポイントがある。このしきい値をベースに、演算ユニット数を増やすなどすれば、より効率的なグラフィックスコア設計が可能になる」と説明。さらに、同社が「スライス」と呼ぶグラフィックスコア構成する演算ユニットなどの各ブロックを積極的にアイドル状態にしたり、グラフィックス機能などは専用処理ユニットを搭載するなどすることで、大幅な省電力化が図れると説明する。
同様に、CPUコアについても「クアッドコア化を図る一方で、現在AtomプロセッサがサポートしているHyper Theadingは無効化され、より細かな単位でCPUコアの電力制御が施される見通しだ」と、同社に近いOEM関係者が語っており、大幅なアーキテクチャ強化が図られる見通しだ。
さらにモバイルデバイスでは、メモリも省電力化における重要な要素となる。現在、高機能タブレットでは1080pを超える解像度をサポートする液晶ディスプレイを搭載する製品も多くなってきており、このまま高解像度液晶がスタンダードになっていけば、メモリ帯域に対する要求も大きくなる。
しかし、メモリをデュアルチャネル構成で搭載すると、それだけSoCやシステムの消費電力も大きくなり、より広帯域で低消費電力なメモリが必要とされる。このため、PC業界のみならず、モバイル機器業界でもDDR4への移行が真剣に検討されはじめており、2014年末〜2015年にはLPDDR3に変わるソリューションとしてLPDDR4が採用し始められるとみる。LPDDR4は、現在メモリの標準化団体であるJEDECで規格策定が進められているDDR4メモリの低電圧版で、1.1ボルト駆動で3200Mbps〜4266Mbpsの帯域を実現。4Kディスプレイ表示に必要な20Gbpsの帯域も1ワット以下の消費電力で実現できるという。
一方、Intelでメモリロードマップなどを見ている担当するジェフ・フィンドリー氏は、米調査会社iSupplyのデータを紹介しながら「DDR3メモリは1866MHzで頭打ちになっており、詳細な製品情報などは公開できないが、2014年にはDDR4への移行が開始されるとみられる」と語り、いよいよDDR4への移行が開始される見通しであることを明らかにした。
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