大解説! 省電力なCPUとSoCの最新事情を整理する:インテルとAMDとNVIDIAの次の一手は?(1/4 ページ)

» 2013年02月21日 16時00分 公開
[本間文,ITmedia]

主戦場はタブレットデバイスに

インテルは、7ワットのSDPを訴求する「Yシリーズ」を発表し、Ultrabookのさらなる薄型化や省電力化を可能にする

 インテルは、2013年1月上旬に開催した2013 International CESにあわせて、「Yシリーズ」と呼ぶ消費電力を従来のモデルからさらに引き下げたラインアップを第3世代Coreプロセッサ ファイリーに追加した。この新しいCPUではTDPで13ワットを実現し、CPUの最大動作温度を80度(通常は最大105度)に抑えることで、より少ない消費電力での動作を実現する「消費電力設計指標」となるSDP(Scenario Design Power:シナリオに基づいた消費電力設計)で7ワットの省電力を実現するとインテルは説明している。インテルは、このYシリーズの採用で、Ultrabookのさらなる薄型化と、よりパワフルなタブレットデバイスを実現しようとしている。

 Yシリーズは、プロセスルールの最適化や、CPUと統合するグラフィックスコアのベースクロックを引き下げることで、Ultrabook向けの「Uシリーズ」で17ワットだったTDPを13ワットに引き下げたが、それだけに、Uシリーズと比べると、性能面でやや見劣りがするのは否めない。この問題について、インテルは「競合製品となるARMベースのSoC(System on Chip)に比べれば、性能は明らかに高い。また、Windows 8のフル機能を利用できるメリットは大きい」と説明する。PCベンダーにとっても、Ultrabookやタブレットデバイスの設計に応じて、TDPの13ワット、Configuable TDPの10ワット、そしてSDPの7ワットのYシリーズを設定で使い分けることができるようになり、これが、より柔軟なシステム開発を可能にする。

UシリーズとYシリーズの仕様を比べる
主な仕様 Core i7-3689Y Core i7-3687U
CPUベースクロック 1.5GHz 2.1GHz
Turbo Boost(シングルコア) 2.6GHz 3.3GHz
Turbo Boost (デュアルコア) 2.4GHz 3.1GHz
GPU Intel HD Graphics 4000
GPUクロック 1.2GHz 850MHz

 Yシリーズは、現在開発を進めているHaswell(開発コード名)世代でさらに進化するという。インテルが「第4世代Coreプロセッサ・ファミリー」と呼ぶことにしたHaswellは、Ivy Bridge世代の第3Coreプロセッサー・ファミリーと同じ22ナノメートルプロセスルールを継承して、マイクロアーキテクチャの拡張を施しす製品となる。具体的には、命令発効ポート数を6基から8基に増やして整数演算とストアパイプを強化したほか、256ビット SIMD演算ユニットも、積和演算(Fused Multiply Add)をサポートし、AVX(Advanced Vector Extentions)も第2世代のAVX2に進化する。

 Haswellに統合するグラフィックスコアは、シェーダーコアの役割を果たす実行ユニット数を増すとともに、4Kディスプレイのサポートなどのビデオ再生支援機能も強化する。OEM関係者によれば、Haswellのグラフィックスコアの実行ユニット数は、

統合グラフィックスコアの名称 内蔵する実行ユニットの数
GT3 40ユニット
GT2 20ユニット
GT1 12ユニット

 の3種類を用意する。ただし、同じ関係者は「デスクトップPC向けはGT2のみで、40ユニットを統合するGT3はUltrabook向けの一部CPUにだけ採用する見通しだ」と指摘する。

チック・タックモデルを採用するインテルのCPUアーキテクチャ開発計画において、Haswekllは現行の第3世代Coreプロセッサー・ファミリーのIvy Bridgeと同じ22ナノメートルプロセスルールを採用するが、アーキテクチャ拡張を施すことになる(写真=左)。Haswellのグラフィックスコアは、ジェーダーユニットの役割を果たす実行ユニット数の違いで3種類を用意する(写真=右)

 インテルは、デスクトップPC向けと汎用ノートPC向けのHaswellを2013年第2四半期に投入し、第3四半期にはUltrabook向けの「Uシリーズ」と「Yシリーズ」を追加する計画だ。Haswell世代のUシリーズとYシリーズは、チップセットもCPUのパッケージに統合したSoC(System on Chip)となり、より少ない実装面積を実現できるようになる。これは、従来よりフットプリント(本体の幅と奥行きで示すUltrabookやタブレットデバイスの底面積)が小さいUltrabookやタブレットデバイスの開発が可能になることも示す。

 インテルは、Haswell世代のUltrabookにおいてタッチインタフェースの対応を必須としており、一般的なクラムシェルスタイルのノートPCとスレートスタイルのタブレットデバイスを1台のUltrabookで利用できるようにすることを目指している。さらにインテルは、これまでのタブデットデバイスに搭載してきたCPU(主にARM)と比べて優れたCoreプロセッサー・ファミリーの演算能力を生かして、音声認識やジェスチャーによる操作、顔認証など、より知覚的、かつ、直感的に操作ができるようにすることで、スマートフォンやタブレットデバイスとの差別化を図っていく意向だ。

インテルは、Haswell世代のCPUを搭載するUltrabookで、タッチインタフェースの搭載を必須とするほか、知覚的ユーザーインタフェースの実装も推奨するなど、新しいPCの利用方法の実現を急ぐ(写真=左)。2013 International CESで公開した、Haswell世代のCPUを搭載するUltrabookのリファレンスデザイン(写真=右)

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