大解説! 省電力なCPUとSoCの最新事情を整理する:インテルとAMDとNVIDIAの次の一手は?(2/4 ページ)

» 2013年02月21日 16時00分 公開
[本間文,ITmedia]

AMDの省電力APUはAシリーズで登場する

 AMDは、2013年前半に市場投入を予定している第2世代の省電力CPUコアアーキテクチャ“Jaguar”(開発コード名)を採用した“Kabini”で、AMD Aシリーズのエントリーモデルを置き換えるほか、Kabiniと半導体設計を共有する“Temash”をタブレットデバイス市場向けに投入し、製品名も従来のAMD ZシリーズからAMD Aシリーズに変更する計画だ。

 ZacateやBrazos 2.0で採用している“Bobcat”(ボブキャット)コアに代わる第2世代の省電力コアアーキテクチャとして、28ナノメートルプロセスルールで製造するJaguarでは、最大2Mバイトの共有2次キャッシュメモリを実装するとともに、パイプラインを深くすることでより高クロックの動作を可能にするなどの改良を加えている。また、整数演算ユニットに新しいハードウェア除算ユニットを採用したほか、浮動小数点演算ユニットはSIMDユニットが128ビット対応となり、2サイクルで256ビットのAVX命令も処理できるようなるなど、マイクロアーキテクチャの強化も図っている。

 KabiniとTemashは、このJaguarコアを4基搭載するクアッドコアAPUで、グラフィックスコアにはRadeon HD 7000シリーズの上位モデルで導入するGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャを採用したCU(Computing Unit)を2基(Radeon コアは128コア)を統合する。これらのアーキテクチャ強化で、“Kabini”は、Brazos 2.0に比べて50パーセント以上のパフォーマンス向上を果たすといわれている。さらに、USB 3.0やSerial ATA 6Gbpsに対応したSouth Bridge機能もワンチップに統合したSoC設計となることにも注目したい。

 消費電力も、プロセスルールが、従来の40ナノメートルから28ナノメートルに移行したことで、ノートPC向けのKabiniではクアッドコア版で15ワット、デュアルコア版では9ワットのTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)を実現する。一方、現行のAMD Zシリーズで採用する“Hondo”コアの後継となる“Temash”は、入出力インタフェースなどの機能制限や半導体の選別により、クアッドコアで9ワット以下、デュアルコアで4ワット以下のTDPを実現しながらも、グラフィックス性能はHondo比で100パーセント以上の高性能を実現するという。

ノートPC市場向けには、“Kabini”をAMD A6シリーズとA4シリーズとして投入し、エントリーモデルのクアッドコア化を加速する(写真=左)。タブレットデバイス向けSoCの“Temash”にも、AMD A6シリーズとA4シリーズの名称を与えるという(写真=右)

Temashでは、South Bridge機能もCPUと同じワンチップにまとめてしまう(写真=左)。Temashを搭載したタブレットデバイスのリファレンスデザイン(写真=右)

 AMDは、現行Aシリーズの上位モデルで性能強化を図るとともに、インテルと同様に、知覚的インタフェースのサポートを加速する。Trinityの後継として、2013年第1四半期中にも市場への投入を計画している“Richland”は、半導体設計そのものはTrinityと変わらず、Zacate(プラットフォーム名はBrazos)とBrazos 2.0の関係と同じく、Trinityのマイナーチェンジ版という位置づけだ。ただし、Richlandではより高クロックで動作できるように半導体プロセスを最適化するなどの改良で、Trinityベースの現行Aシリーズに比べて、20〜40パーセントのパフォーマンス向上ができるとAMDは説明する。

 AMDは、Richlandベースの新しいAMD A10シリーズ、そして、A8シリーズに音声認識やジェスチャー認識、顔認証といった、知覚的ユーザーインタフェースを実現するアプリケーションをバンドルする計画だ。このような新しいPCの利用手段を積極的に展開することで、タブレットデバイスに押されているPCの付加価値を高めようというのがAMDの戦略だ。

(写真=右)

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