ここ数年で、各都市の地下鉄トンネル区間の「ケータイエリア化」がグワッと進んだ。地下鉄を利用する多くの人が「おお、入るようになった。便利になった」と感じていることだろう。
UQコミュニケーションズは5月28日、同日正午より東京メトロ全線で利用可能となったWiMAXエリア化完了を受け、地下鉄駅構内におけるWiMAXアンテナ施設の説明会を実施した。
WiMAXサービスを展開するUQコミュニケーションズ、および携帯電話事業者4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス)は、2011年後半より地下鉄トンネル区間のエリア化一斉に着手。以降、これまで不感エリアだった(携帯電話、モバイル通信サービスが利用できなかった)地下鉄トンネル区間で急速に対応エリアが広がり、2013年5月現在も各都市の地下鉄駅/トンネル区間で対応が進んでいる。
WiMAXは都営地下鉄 大手町駅のエリア化を皮切りに駅構内およびトンネル区間のエリア化を推進。5月28日より東京メトロ南北線 白金高輪駅、永田町駅、および駅の一部で利用可能だった東京メトロ丸ノ内線・東西線・千代田線の大手町駅、東京メトロ日比谷線の恵比寿駅、東京メトロ有楽町線の永田町駅と豊洲駅、東京メトロ半蔵門線の永田町駅と住吉駅の各駅全域で利用可能となり、(一部他鉄道会社の管理駅/半蔵門線・副都心線の渋谷駅、南北線の目黒駅を除く)東京メトロ全線でWiMAXサービスエリア化を済ませた。
WiMAXの地下鉄駅/トンネル区間の対応は、直線距離で約500メートル電波が届く指向性アンテナをホームの進行方向先端に、半径約200メートルをカバーする無指向性アンテナを改札付近へ設置し、駅構内とトンネル区間(列車移動中)をエリア化している。ホームおよびトンネル区間は、2.5GHz帯を用いるWiMAXサービスの強い直進性を生かし、それぞれの駅両端からトンネル内部に向けて電波を発射することで直線距離約1000メートルをカバーする仕組みだ。
ホームの指向性アンテナは105(直径)×305(長さ)ミリの円柱状のデザインとなっている。カーブ/アップダウンもあるトンネル内において電波は壁に反射しながら届くが、区間によっては駅間が1000メートル以上離れている例も多い。この点は「列車は移動中のため、次の駅の電波をすぐつかむはず。ハンドオーバー技術により仮に一時的に電波が途切れてもセッションは切れない」(説明員)。
ハンドオーバーとは、携帯電話、モバイル通信機器全般に備わる、利用者の移動により基地局が変わっても通信セッションを維持する機能。仮に数秒電波が途絶えてもセッションは切れていない(別の基地局へ接続要求が維持・継承される)ので「一般利用においては、ユーザー利便性をほぼ損ねず」に自然にハンドオーバーされるだろうとしている。
では、ホームでの“電波よい場所”はどこか。「指向性アンテナのため、真下/真横ではなく、“アンテナの底面から10メートルほど離れた”あたり」(説明員)とのことである。
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