Core i7-4770Kのベンチマークでは、比較対象としてCore i7-3770Kを用意した。アンロックされた「K」プロセッサ同士の比較だが、今回は定格設定のまま行う。チップセットはIntel Z87対Z77となる。詳しい検証環境は以下の表を参考にしていただきたい。
CPUとマザーボード以外は共通で行なっている。ドライバはIntel Z87環境が評価キット用として入手したドライバを、Intel Z77は現在入手できるドライバの最新版を用いている。また、基本的に統合GPUを利用する環境でテストを行ったうえで、GeForce GTX 680搭載グラフィックスカードを搭載した状態でいくつか3D関連テストを追加している。
比較対象 | Core i7-3770K(3.5GHz) | Core i7-4770K(3.5GHz) |
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メモリ | CFD Elixer W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2) | |
マザーボード | GIGABYTE GA-Z77X-UD3H(Rev.1.0) | Intel DZ87KLT-75K |
チップセット | Intel Z77 | Intel Z87 |
GPU | Intel HD 4000 | Intel HD 4600 |
dGPU | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 680 |
グラフィックスカード | Palit GeForce GTX 680 JETSTREAM 2GB | Palit GeForce GTX 680 JETSTREAM 2GB |
ストレージ | OCZ Vector(Serial ATA 3.0、128GB) | |
OS | Windows 8 Pro 64bit | |
電源 | Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W) | |
PCMarkは、05、Vantage、7と3つ計測した。ただし、PCMark Vantageに関しては、バージョン1.2.0から、TV and Moviesの詳細テスト実行にMedia Center Packが必要となった。今回はこれを導入していないため、TV and Movieテストが「N/A(0)」となっているので、参考程度にとどめてほしい。
PCMark 05では、HDD以外の項目はすべてCore i7-4770Kが3770Kを上回った。それも明確に差が付いている。CPU関連の項目で見ると、スコアがよかったのは、File Encryption、Image Decompression、Audio Decompressionといったあたり。2/4スレッドのマルチスレッドテストは、全面的にCore i7-4770Kのほうが優れていた。
ただし、全体的に見れば、Graphics関連のスコアアップが最も大きい。それも3D関連だ。2Dに関してはほぼ同等のスコアだが、3Dに関しては3D - Polygon Throughput Multiple Lightsで、Core i7-3770Kが26ポイント程度なのに対し80ポイント、3D - Pixel Shaderに関しても3770Kが323ポイントであるのに対し418ポイント、3D - Vertex Shaderは3770Kが99ポイントであるのに対し182ポイントと大きく引き離した。
PCMark Vantageに関しては前述の通りなのであまり深くは追求しないが、Overallではより高いスコアを示している。気になるのはGamingでスコアが低い点だが、詳細を見ると、GPU関連項目はより高いものの、CPUやストレージ、メモリといった関連項目でスコアを落としていたようだ。
ただし、CPUに関してはほかの詳細テストを見ると決して3770Kには負けていない。なお、HDDが低いのは全般的に言える点でやや気になるところだが、次のPCMark 7ではほぼ同等のスコアとなっており、誤差と思われる。
PCMark 7も同様、OverallではCore i7-4770Kが350ポイント強ほど高かった。詳細テストでは主にLightweight、Productivity、Entertainmentで勝り、CreativityとComputationは誤差の範囲と言えるレベルでやや下回った。System storageはPCMark 7ではほぼ同等という結果だ。
次にSandra 2013.SP3aの結果を個別に見ていこう。「プロセッサの性能」のDhrystone、Whetstoneは、それぞれCore i7-3770Kよりやや高いスコア。「マルチメディア処理」は4項目すべてCore i7-4770Kが3770Kを大きく上回った。これはAVX2の効果と捉えることができる。
「暗号処理」「.NET演算」「.NETマルチメディア演算」は全般的にやや上回る程度で、.NET演算のWhetstone 浮動小数点はやや低い値が出ていた。メモリに関しては、「メモリーの帯域」で見るとほぼ同等だが、「メモリーのレイテンシ」で見るとL2までは同等、L3とメインメモリに関しては増えている。一方、「キャッシュとメモリー」では、2K〜256kバイトがあたりまでCore i7-4770Kが大幅に上回っており、その後はほぼ同等に落ち着くという傾向を示した。これは、昨年のIDFで示されたL1−L2キャッシュの強化という点と一致する結果だ。
実アプリケーションでのCPU性能を見るために計測したCINEBENCH R11.5では、Multi CPU、Single CPUともにCore i7-3770Kより若干高いスコアに落ち着いた。一方、「MediaEspresso 6.5」によるトランスコードテストでは、ソフトウェアエンコード時にCore i7-3770Kとの間で24秒の差がついた。また、エンコード・デコードともにハードウェアを用いた際には15秒、エンコードのみハードウェアとした際でも3秒ほどCore i7-3770Kより短時間で処理を終えた。
グラフィック関連テストに移る前にOpenCL性能を見ておきたい。CLBenchmark 1.2の結果は、全体的に見ればCore i7-4770Kが勝る部分が多いものの、一部で3770Kのほうが勝っているテスト項目もある。PCMarkで見てきたとおり、CPUとGPU個別に見ればCore i7-4770Kの圧倒的勝利が当然と思うところだが、この結果を見ると、まだグラフィックドライバ(のOpenCL関連)の最適化が進んでいないのではないだろうか。
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