←・WindowsとAndroid、デスクトップとタブレットのデュアルマシン――「TransAiO P1801」を試す(前編)
ASUSTeK Computerの液晶一体型デスクトップPC「TransAiO P1801」は、スクリーンとPCステーションの独特な合体機構に目が行きがちだが、性能の高さも特筆すべき点だ。特にPCステーションに外部GPUを搭載したところは見逃せない。後編では、PCステーションとスクリーンそれぞれの性能をベンチマークテストで確認する。
PCステーションの主なスペックは、4コア/8スレッド対応の第3世代Core i7-3770(3.4GHz/最大3.9GHz)とIntel B75 Expressチップセット、8Gバイトメモリ(PC3-12800)、2TバイトHDD(3.5インチ、7200rpm)、DVDスーパーマルチドライブを備える。グラフィックスはNVIDIA GeForce GT 730M(グラフィックスメモリ2Gバイト)を利用する。
コンパクトな液晶一体型PCはノートPC用のCPUを採用する製品も多いが、本製品は性能が高いデスクトップ向けのCPUを搭載したところは好感が持てる。一方で、グラフィックスはモバイル向けのGeForce GT 730Mを採用した。
GeForce GT 730MはKepler世代のアーキテクチャを採用しており、GPU Boost 2.0に対応し、オーバークロック機能が強化されている点が大きな特徴だ。CUDAコア数は384、最大コアクロックは719MHzとなる。CPU内蔵グラフィックスと比べて、動画編集や3Dゲームなど高い負荷がかかるアプリケーションでも、滑らかな描画が期待できる。NVIDIA Optimusテクノロジーにも対応しているため、アプリケーションによって内蔵グラフィックスと使い分けることも可能だ。
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、CPUやメモリのスコアが8.0と非常に高い。最も低かったのはストレージの5.9だったが、メインマシンとして不足がないよう、大容量のHDDを採用したため仕方がないところか。CrystalDiskMark 3.0.2のスコアもHDDとしては一般的なスコアとなったが、「高い処理能力を求めた」(同社)とうたうのであれば、キャッシュ用SSDなどを搭載してもよかったと思う。
ベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、PCMark Vantage、3D系ベンチマークテストは3DMark Vantage、ストリートファイターIV ベンチマークを実行した。参考として同社の外部GPU搭載ノートPC「S56CM」(2012年秋モデル)と外部GPU非搭載ノートPC「ZENBOOK Touch UX31A」(2013年春モデル)、「IdeaCentre A720」(2012年夏モデル)のスコアを併記する。OSが異なるマシンのスコアも並べたため、参考程度に捉えてほしい。
テストしたマシンの主なスペック | ||||
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機種 | TransAiO P1801 | S56CM | IdeaCentre A720 | ZENBOOK Touch UX31A |
OS | 64ビット版Windows 8 | 64ビット版Windows 7 | 64ビット版Windows 8 | |
CPU | Core i7-3770(3.4GHz/最大3.9GHz) | Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) | Core i7-3610QM(2.3GHz/最大3.3GHz) | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) |
メモリ | 8Gバイト(PC3-12800) | |||
ストレージ | 2TバイトHDD | 1TバイトHDD | 1TバイトHDD | 256GバイトSSD |
グラフィックス(メモリ) | GeForce GT 730M(2Gバイト) | GeForce GTX 660(1.5Gバイト) | GeForce GT 630M(1Gバイト) | Intel HD Graphics 4000 |
やはり、3D描画能力については高性能なモバイル向け外部GPUを搭載するTransAiO P1801のスコアが高い。またIvy Bridge(開発コード名)世代ながら、デスクトップ向けの4コア/8スレッド対応CPUであるCore i7-3770(3.4GHz/最大3.9GHz)を採用しているだけあって、動作はキビキビとしており、FPSのような高負荷なゲームならともかく、MMORPGや格闘ゲームは低負荷設定ならば、満足に遊べるだろう。
18.4型フルHD液晶ディスプレイを備えたスクリーン部の性能はどうか。基本スペックはNVIDIA Tegra 3(1.7GHz/クアッドコア動作時最大1.6GHz)、2Gバイトメモリ(DDR3L)、32Gバイトストレージ(eMMC)となる。こちらはQuadrant Professional Edition 2.1.1、AnTuTuベンチマーク v3.3を利用してテストを行い、スコアをASUS製の7型ワイド液晶ディスプレイを搭載したAndroidタブレット「Nexus 7」や超高解像度タブレット「Nexus 10」と比較してみた。
テストしたマシンの主なスペック | |||
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機種 | TransAiO P1801 | Nexus 10 | Nexus 7(16Gバイトモデル) |
SoC | Tegra 3(1.7GHz) | Exynos 5250(1.7GHz) | Tegra 3(1.3GHz) |
コア数 | 4コア+コンパニオンコア | 2コア | 4コア+コンパニオンコア |
メモリ | 2Gバイト | 1Gバイト | |
ストレージ | 32Gバイト | 16Gバイトor32Gバイト | 16Gバイト |
解像度 | 1920×1080ドット | 2560×1600ドット | 1280×800ドット |
画面サイズ | 18.4型ワイド | 10.1型ワイド | 7型ワイド |
グラフィックス性能はNexus 10が勝るものの、CPU性能についてはTegra 3を搭載するTransAiO P1801のスコアが高い傾向にある。タブレットとしての基本性能は上々で、ホーム画面での操作やWebブラウズやアプリの操作もストレスなく行える。
なお、スクリーンのバッテリー動作時間は約5時間としており(1920×1080ドットの動画を連続再生した場合)、実測のバッテリー動作時間を動画再生アプリ「mVideo Player」を使って計測してみた。ディスプレイの輝度は50%、Wi-Fiオン、音量50%の環境下で、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルを連続再生させたところ、満充電からバッテリーがなくなるまで約4時間30分動作した。
スクリーン部は画面サイズが18.4型ワイド、重量が約2.4キロと、Androidタブレットにしては大きく重いので、あまり持ち運ばないとは思うが、家の中で持ち歩いて使うぶんには十分なバッテリーと言える。ただ、映像コンテンツを長時間視聴するなどの使い方をする場合はACアダプタを接続するか、PCステーションにドッキングさせたほうがよいだろう。
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