本製品はスクリーン単体で使う「PADモード」と、PCステーションを合体させて液晶一体型デスクトップPCとして使う「PCモード」の2つのスタイルで楽しめるが、スクリーンからPCステーションをワイヤレスで操作する「リモートデスクトップモード」がある。
通常、スクリーンをPCステーションから取り外すと、自動的にOSがAndroidに切り替わるが、スクリーンとPCステーションを同一ネットワーク上に接続している場合、分離したスクリーンからワイヤレスでWindowsデスクトップ環境を操作できるというものだ。
設定は簡単だ。両者を同じ無線LANに接続した状態で、PCステーション側のWindowsの設定画面で無線LANのパスワードを再入力し、セキュリティコード(パスワード)を決めるだけ。スクリーンを外すとAndroidの専用アプリ(Splashtop Remote for AiO)が立ち上がり、5秒ほどでWindowsの表示に切り替わる。
右下のボタンでAndroidのメニューバーをいつでも呼び出すことができ、ホームボタンを押せばアプリが終了してAndroidの表示に切り替わる。再度リモートデスクトップモードを利用する場合は、Splashtop Remote for AiOを起動し、セキュリティコードを入力すればよい。
リモート操作ということもあり、タップやスワイプなどの操作が反映されるまで若干の遅れがあるのは気になる。特にドラッグ&ドロップ操作では顕著だ。スマートフォンのLTE回線でテザリングをして試してみたが、スワイプ操作が0.3秒ほど遅れた。スタート画面上にあるライブタイル(動的に情報を表示するタイル)の動きもやや鈍いなど、通信環境にもよるが、やや使いにくい面はある。
しかし、PCステーションから離れても大画面でWindows 8向けアプリやプリインストールされるタッチ向けコンテンツを楽しめるのは大きなメリットだ。特にASUS Vibe(コンテンツマーケットアプリ)で映画や電子書籍といったコンテンツを視聴するときは、タブレットスタイルの方が使いやすい。PC本体のDVDドライブで映画を再生し、リモートデスクトップで視聴という使い方もある。操作レスポンスに難はあるが、動画コンテンツは一度再生してしまえば、合体時と同様に視聴できる。
ASUS TransAiO P1801は、仕様だけを見るとイロモノ感が漂う製品だが、PCステーションとスクリーンそれぞれは質の高いマシンだ。同社お得意の合体機構はしっかりとした作りになっており、使い勝手は悪くない。
ネットショップなどでの実売価格は14万円前後だ。Core i3-3220(3.3GHz)、4Gバイトメモリ、1TバイトHDDといった仕様の下位モデルもある(おおよそ13万円前後)が、コストパフォーマンスに優れる上位モデルをお勧めしたい。ASUSのPCとしては高いように感じるかもしれないが、Windows 8のデスクトップと超巨大画面のAndroidタブレット両方を購入して14万円と考えれば、印象は大きく変わるはずだ。
1度に2台のマシンが手に入るとなれば、家族向けPCというコンセプトもうなずける。スクリーン部を子どもに渡しつつ、自分はPCステーションを別の外部ディスプレイ(やリビングのテレビ)に接続して作業するといった使い方がよく合いそうだ。複数人で映画を見るときはリモートデスクトップモードに変更――というシーンも容易に想像できる。
個人で使うときはPCとして、家族みんなで使うときはPCステーションから外してタブレットとして……とさまざまな利用シーンが思いつくならば、このマシンは有力な候補になるだろう。
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