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» 2013年07月08日 19時15分 公開

「Iconia W3-810」実力診断――世界初“8.1型”Windows 8タブレットは使えるか?Office付きで6万円前後(3/3 ページ)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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パフォーマンスは10型クラスのClover Trailタブレット並だが……

 Clover Trail搭載機は、SoCの仕様からほとんど基本スペックに差がつかないため、パフォーマンスも似通ったものになるが、一応ベンチマークテストで確認しておこう。

Iconia W3-810のデバイスマネージャ画面

 Windows 8標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、ASUSTeK Computerの「VivoTab Smart ME400C」や富士通の「ARROWS Tab Wi-Fi WQ1/J」など、以前にレビューしたClover Trail搭載機とほぼ同じ水準といってよいが、グラフィックスのスコアのみ少し低い。

 PCMark 7のスコアもやはりClover Trail搭載機として標準的と思われる。このテストは2013年3月にそれまでの1.0.4から1.4.0にバージョンアップし、Windows 8環境ではスコアが以前より少し低く出るようになった。2013年2月以前にレビューしたClover Trail搭載機よりもCreativityやComputationなどでスコアが低くなっているのはその影響だろう。

 3DMarkの結果は、Ice Storm、Ice Storm ExtremeともNexus 7よりも少し上のスコアだが、3DMark06については、以前にレビューしたClover Trail搭載機より明らかに低いスコアが出ている。

 具体的な発熱テストの結果は後ほど触れるが、3D描画時にはかなりボディが発熱するため、おそらく本体の放熱設計の影響で、クロックが上がり切らないのだろう。掲載したのは周辺温度を27度前後に整えて計測したスコアだが、より悪条件(周辺温度31度程度)でテストした際のスコアは、さらに10%以上低かった。温度の変化に敏感な傾向があると覚えておきたい。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア(画像=左)、CrystalDiskMark 3.0.2のスコア(5回/1000Mバイト/画像=右)
PCMark 7 1.4.0のスコア(グラフ=左 ※Iconia W3-810以外は1.0.4のスコア)。3DMark06 1.2.0のスコア(1024×768ドット/グラフ=中央)。3DMark 1.1.0のスコア(グラフ=右 ※このテストのみ、7型AndroidタブレットのNexus 7と比較)

WinSATのスコア
製品名 Iconia W3-810 VivoTab Smart ME400C ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J
CPU LZW圧縮 (MB/s) 68.7 70.55 70.65
CPU AES256暗号化 (MB/s) 22.98 23.23 23.18
CPU Vista圧縮 (MB/s) 266.1 271.33 270.94
CPU SHA1ハッシュ (MB/s) 229.28 212.25 211.91
ユニプロセッサ CPU LZW圧縮 (MB/s) 26.48 26.22 26.09
ユニプロセッサ CPU AES256暗号化 (MB/s) 7.41 7.54 7.55
ユニプロセッサ CPU Vista圧縮 (MB/s) 94.74 94.98 94.63
ユニプロセッサ CPU SHA1ハッシュ (MB/s) 80.62 85.49 85.45
メモリのパフォーマンス (MB/s) 3451.83 3418.99 3458.72
Direct 3D Batchのパフォーマンス (F/s) 45.66 45.6 45.39
Direct 3D Alpha Blendのパフォーマンス (F/s) 44.47 45.66 44.8
Direct 3D ALUのパフォーマンス (F/s) 13.21 13.19 12.89
Direct 3D Texture Loadのパフォーマンス (F/s) 8.38 8.53 8.35
Direct 3D Batchのパフォーマンス (F/s) 0 0 0
Direct 3D AlphaBlendのパフォーマンス (F/s) 0 0 0
Direct 3D ALUのパフォーマンス (F/s) 0 0 0
Direct 3D Texture Loadのパフォーマンス (F/s) 0 0 0
Direct 3D Geometryのパフォーマンス (F/s) 0 0 0
Direct 3D Geometryのパフォーマンス (F/s) 0 0 0
Direct 3D constant Bufferのパフォーマンス (F/s) 0 0 0
ビデオメモリのスループット (MB/s) 1653.34 2034.67 1952.26
Dshowビデオエンコード時間(s) 10.31083 10.29239 10.30736
メディアファンデーションデコード時間 (s) 0.52687 0.39163 0.43167
Disk Sequential 64.0 Read (MB/s) 47.11 47.14 51.33
Disk Random 16.0 Read (MB/s) 21.64 20.48 22.31

実測でのバッテリー駆動は9.5時間を記録

 バッテリーの駆動時間は、海人氏が制作したBBench 1.01を利用して測定した。無線LANでインターネットに常時接続し、Bluetoothはオンに設定、「画面の明るさを自動的に調整する」の設定はオフにし、電源プランはデフォルトの「バランス」(バッテリー駆動時のディスプレイの輝度は40%)とした。

 BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 10を指定し、タブブラウズはオフに設定している。この条件でのテスト結果は、満充電の状態から残量4%で休止状態に移行するまで、9時間30分と公称値を上回る駆動時間だった。小型のWindows 8タブレットとして満足できるスタミナだ。

室温27度の環境にて、3DMark06を実行した直後のボディ表面温度を放射温度計で測定した結果

 ほかのClover Trail搭載機と同様、冷却ファンを内蔵していないため、動作音は静粛だ。ボディの発熱については、横位置での左半分、縦位置での上半分が広範囲に熱を持つ。室温27度の環境で3DMark06を実行した際、最高温度は38.5度(電源ボタン付近)と、さほど高温でもないが、ボディの半分近くが熱くなる。動画再生程度でもしばらく見ていればはっきり発熱を感じるので、そうした場合はスタンドなどを利用したほうがよい。

 一方、横位置での右半分、縦位置での下半分は、同条件で表面温度が30〜31度程度にとどまる。縦位置ではこの部分を持つのが自然だろう。実際、縦位置で利用しているぶんには本体の発熱があまり気にならなかった。

Windows 8の新境地を切り拓く意欲作

 以上、Iconia W3-810を一通りチェックした。片手で無理なく持てるサイズ、約500グラムのボディは、小さなバッグにも無理なく入り、必要なときにサッと取り出して使える。Microsoft Officeを含め、デスクトップアプリも扱えるWindows 8マシンがこの小ささ、そしてタッチ操作で手軽で使うことができるのは、まさに画期的だ。

 気になる実売価格は6万円前後だ。Microsoft Office Home and Business 2013をプリインストールしていることを考えると、コストパフォーマンスは非常に優秀といえる。

 IPS液晶パネルの非採用は惜しまれるが、8.1型の画面サイズ、1280×800ドットの表示解像度、96dpiのスケーリングは、実にギリギリのところでバランスがとれている。バッテリー駆動時間、重量、価格も合わせて考えると、現在の技術水準ではよく考えられたトータルバランスだ。

 Nexus 7やiPad miniの登場以後、携帯性や手軽さを重視する方は7〜8型クラス、性能や機能を優先する方は10型クラスというように、タブレットユーザーの好みも分かれてきた。Iconia W3-810は、これまで10型クラス以上しか選択肢がなかったWindows 8タブレットに新たな選択肢を提供する点で意義ある存在だ。

 また、これまでのWindows 8タブレットはキーボードとセットで運用されることが多かったと思われるが、このくらいのサイズで気軽に持って使えると、キーボードなしで運用される機会も増えるのではないだろうか。そういう意味でもIconia W3-810がどのような評価を受けるのか、興味深い。

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