新鮮な気持ちで向き合った新型iPhoneの2機種は、相変わらずアップルらしい創意工夫とこだわりの仕上げが行なわれた作品で、きっとみなさんを喜ばせてくれるはずだ。
まずiPhone 5cでは、本体背面の感触を楽しんでほしい。そして、これが何の素材かを、感触から想像してみてほしい。プラスチック素材のiPhoneといえば、かつてiPhone 3Gや3GSがあったが、あれとはかなり異なっている。もし、量販店などで他社のスマートフォン売り場も近くにあるなら、ぜひ他社のスマートフォンとも触り比べてみるといい。
かつてのiPhone 3Gや3GSも含め、多くのスマートフォンが、軽量化のために薄くて頑丈なポリカーボネートを使用しているが、iPhone 5cはまったく逆のベクトルでかなり頑丈で硬く、重厚感さえある。一瞬「金属素材なのかな?」と思わせる秘密は、ここでは解説しないが、実はアップルのWebページにあるMaking of映像にヒントがある。
もちろん、本体色にあわせて、例えば1つ1つのボタンやサイレントモードスイッチの内側からSIMスロットの外側までも本体色になるこだわりはいつも通り(ヘッドフォン端子などの中は黒で統一されていた)。特に「やられた!」と思わされたのが、本体で5色のバリエーションを出すだけでなく、そこにピッタリとフィットする6色のケースを用意し(これは本当にピッタリとフィットしていた)、これらのケースに大きな穴をあけることで本体色との掛け合わせを楽しめるようにしている点だ。この工夫はかつてのiPod用ソックス(靴下)ケースやiPadのスマートカバーを連想させる楽しさが漂う。そのうえで、今や人気が出過ぎて利用者が多いiPhoneで(東京やロンドンやパリやサンフランシスコやミラノや香港や北京といったコスモポリタンは本当にiPhoneだらけだ)、これだけ個性あるバリエーションを、こんなに手軽に実現している。
逆に、これだけすごいiPhoneケースをアップルが自前で作ってしまったことは、ケースメーカーにとっては大打撃だろう。だが、iPhoneのパーツの流出情報が、これだけ出ている一因は、そうしたケースメーカーにもある(事前に新型iPhoneの寸法をもっとも必要としているのは、彼らだからだ)。もしかしたら、純正ケースの用意には、彼らの動きをけん制する狙いもあるのかもしれない。
実際に製品が発表された後であれば、iPhone 5cケースが出た後でも、純正ケースとは違った配色や、違った穴の開き方のケースなど、新しい展開のケース作りができると思う。だが、この展開を知らず、これまでの路線で流出した情報からケースを作っていたサードパーティはそれなりに打撃を受けそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.