2013年、みなさんはどのようなPCを組まれただろうか。自作PC市場は縮小傾向とも言われるが、そもそもPC自体、うかうかしているとタブレットやスマートフォンに食われるかもしれないという現在。ただ、PCこそ技術トレンドの最前線であり、今年も1年、CPUやグラフィックスカード、マザーボードといった基幹パーツはもとより、細々したPCパーツを含めれば、とにかく星の数ほど新製品が発売されている。そこで、PC USERのパーツ系レビューを担当する身から、2013年の自作PCパーツを振り返ってみた。
例年であれば、1月開催のCESにあわせてIntelが新製品をリリースするところだが、2013年はプレビューがあっても実際の製品リリースは6月のCOMPUTEXを待つ格好となった。
Coreアーキテクチャとしては第4世代、22ナノメートルプロセス製品としては第2世代のHaswellだ。ただし、高性能統合GPUや低消費電力というHaswellが本領を発揮する分野はモバイル。デスクトップPCにおいても確かに高性能なのだが、Ivy Bridgeから大きく飛躍したという印象はなかった。あわせてLGA 1155からLGA 1150へと変わったソケットによって、CPUだけでなくマザーボードも更新が必要となり、あるいは電源でもHaswell対応が求められるなど、導入にはハードウェアコストも高めだった。
ハイエンド向けのLGA 2011プラットフォームでは、Ivy Bridge-Eが登場した。コンシューマ向け6コアCPUの最上位を塗り替える製品として登場したのはCore i7-4960X。つまりメインストリームがIvy BridgeからHaswellとなった年に、ハイエンドではSandy Bridge-EからIvy Bridge-Eへと交代したことになる。
一方、AMDが2013年に投入したCPUは、とにかく高クロック。APUではRichlandが登場し、A10-6800Kでは定格4.1GHz、Turbo時で4.4GHzに達した。CPUでは、FX-9590が定格4.7GHz、Turbo時5GHzと大台にのっている。
ただし、FX-9590に関してはTDPが200ワット超の特別モデルだったため、自作PCではあまり関係がなかった。また、FX-9590とは言っても内部的にはFX-8000シリーズと同じであり、RichlandもコアレベルではTrinityと同じまま回路を改良することで高クロック化を実現しているという点で、いまひとつフレッシュ感はない。
このように、2013年のCPUは、両社ともアーキテクチャ面では小さな変更といった印象だ。もちろん、パフォーマンスや省電力性能は確かに向上しているので、その点は十分に評価できる。
「インパクト」に欠けた2013年だが、2014年は飛躍が待っている。2014年は、Intelのメインストリームプラットフォームに「Broadwell」が、AMDのAPUには「Kaveri」が投入される見込みだ。
まずBroadwellは、現在の22ナノメートルプロセスから14ナノメートルプロセスへとシュリンクが進む。ただし、14ナノメートルプロセスが素早く立ち上がるのか、歩留まりがどのくらいなのか、不確定要素はある。
一方、KaveriはCPUコアが「Steamroller」へと変わり、GPUではhUMAに対応することでCPUとGPU間のメモリを共有できるようになる。これは大きな挑戦だ。このように、2014年は、Intelが14ナノメートルプロセス、AMDがhUMAというチャレンジを行う年になるとみられる。
デスクトップPCまで枠を広げると、昨年末発表されたNUCが、1年でかなり実用度を増したのが興味深い。Intel純正のNUCでは、11月にUSB 3.0をサポートするHaswell版が登場し、内部ストレージのmSATAというハンデを、外付けドライブによって簡単にカバーできるようになった。
また、GIGABYTEからもNUCサイズのミニPC「BRIX」が登場し、こちらはIvy Bridge版からすでにUSB 3.0やGbEなど豊富なインタフェースを搭載することで本家との差別化を図っていた。なお、BRIXでは、Intel IRIS Pro Graphics搭載モデルも計画されているという。Haswellが登場し、その統合グラフィックスとしてIRISが明らかにされたが、IRISを搭載したPCはまだ少ない。小さなPCが、自作PCやデスクトップPCの概念をどのように変えていくのか、興味深く見守りたい。
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