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“脱・Windows XP”のPCを選んでみる――XPサポート終了まで3カ月SOHO/中小企業に効く「ビジネスPC」の選び方(4)(2/2 ページ)

» 2014年01月09日 21時30分 公開
[山口真弘,ITmedia]
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リファレンスとなるモデルを選定する

 それでは実際に製品の選定例を紹介しよう。前回紹介した「松」「竹」「梅」の3つのコースのうち、BTOによるカスタマイズを念頭に置いた「松」を除く、「竹」「梅」について具体的な製品を見ていく。併せて、営業など外回りのスタッフが利用する「モバイル」に適した製品についてもチェックする。

 今回は例としてNEC、エプソンダイレクト、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の3社のラインアップを対象にしているが、これ以外のメーカーの製品でも選ぶ基準は同様だ。

 なお、以下で具体的に言及しているモデルは、前ページで述べたパーツ別のチェックポイントすべてを満たしているものではない。ラインアップ上、または構成の都合で見送っている項目もある。購入にあたっては、あらかじめ注意していただきたい。

「梅」コース

 1番下の「梅」コースは、業務端末として利用するための最低限のスペックを満たしたPCということになる。社内で利用している業務用ソフトのほか、オフィススイート、グループウェアなどが一通り動作すればよいというレベルだ。

 CPUは、BTOメニューの基本となるCeleron、メモリは2Gバイト、ディスプレイは14〜15型ワイド(1366×768ドット)、HDDは500Gバイト前後というのが標準的なところだろう。価格は今ならおおむね5〜7万円台に収まるはずだ。

 NECであれば「VersaPro J タイプVF VJ19E/FW-H」、エプソンダイレクトであれば「Endeavor NJ3700E」、日本HPだと「HP ProBook 4540s/CT」あたりが該当する。光学ドライブは非搭載が望ましいが、BTOメニューによっては外せない場合もある。

左から「VersaPro J タイプVF VJ19E/FW-H」(NEC)、「Endeavor NJ3700E」(エプソンダイレクト)、「HP ProBook 4540s/CT」(日本HP)

 このクラスが難しいのは、ひとくちに業務利用といってもさまざまなケースがあることだ。例えばオフィススイートのうち、Excelのワークシートに終日向き合っているような場合は、ディスプレイの選定が作業効率に直結する。CPUのパワーはそれほど必要ないが、ディスプレイのサイズおよび解像度は重視する必要があるといったケースだ。利用するソフトウェアは同じながら、目的によってハードウェアの注力すべき点が変わってくるという典型的なパターンといえる。

 こうした場合は、もうワンランク上の「竹」をチョイスするか、あるいは「梅」のままで外部ディスプレイを追加するといった方策が必要だ。また先も述べたように、経理などで数字入力が多い場合は、テンキーが必要になるケースもよくある。このクラスのPCでは、キーボードと並んでテンキーが用意されている場合とそうでない場合があるので、あらかじめチェックしておいたほうがよいだろう。ちなみに前述の3機種は、いずれもテンキーを搭載している。

「竹」コース

 中間に位置する「竹」コースは、もうワンランク上ということで、スペックは「梅」よりも高くなる。同じモデルをベースにBTOを行う方法もあるが、ディスプレイのサイズだけはBTOで変更するわけにはいかないので、あらかじめ考慮して選ぶ必要がある。

 CPUは梅コースからワンランクアップしてCore i3、メモリは4Gバイト、ディスプレイは15〜17型ワイド(1600×900ドット〜1920×1080ドット)、HDDは変わらず500Gバイトといったところだろう。CPUのグレードが上がったことで価格もアップし、8〜12万円前後のコースになる。

 NECであれば「VersaPro J タイプVX VJ24L/X-H」、エプソンダイレクトであれば「Endeavor NJ5900E」、日本HPだと「ProBook 4740s/CT」あたりが該当する。

左から「VersaPro J タイプVX VJ24L/X-H」(NEC)、「Endeavor NJ5900E」(エプソンダイレクト)、「ProBook 4740s/CT」(日本HP)

 ディスプレイについては、「ProBook 4740s/CT」のみ17型ワイドだが解像度は1600×900ドット止まりで、逆にEndeavor NJ5900Eは15.6型ワイドだが解像度は1920×1080ドットであるなど、このクラスではディスプレイのスペックにかなりの幅が出てくる。視力が低くあまり高精細なディスプレイよりも画面が大きいほうがよい場合は前者、Excelを使うなどの理由でとにかく解像度の高いディスプレイを求めるなら後者といった具合に、利用目的で考慮するとよい。

 なお、この「竹」コースでも要求仕様に満たない場合のみ、「松」としてBTOメニューによる仕様のカスタマイズを行うことになる。仕様と価格のおおよそのバランスは、この「竹」コースの製品からうかがい知ることができるが、スペックが上がると予算も加速度的に膨らんでいくので気をつけたい。

モバイルコース

 外回りが多い営業マンなどでは、さすがに上記の「梅」「竹」コースのPCをそのまま持ち歩くのは厳しいので、別途リファレンスモデルを用意しておくとよい。選択のポイントになるのはあくまでも可搬性なので、複数のグレードを用意する必要性は低いだろう。

 モバイルユースの製品については各社の定義が大きく異なっており、かつ構成を選択する余地があまりないため、仕様および価格にかなりの開きが出る。CPUはCeleron〜Core i5、メモリは4Gバイト、ディスプレイは12.1〜14型ワイド(1366×768ドット)、HDDは500Gバイトといった構成で、価格は6〜13万円前後といったところだ。

 NECであれば「VersaPro J タイプVB VJ15E/B-G UltraLite」、エプソンダイレクトであれば「Endeavor NA601E」、日本HPだと「ProBook 4340s/CT」あたりが該当する。

左から「VersaPro J タイプVB VJ15E/B-G UltraLite」(NEC)、「Endeavor NA601E」(エプソンダイレクト)、「ProBook 4340s/CT」(日本HP)

 画面サイズについては、VPNで外出先から社内イントラネットに接続するだけならば12.1型ワイドでも大きな支障はないが、取引先で相手にプレゼンデータを見せるといった用途ではなるべく大きい画面のほうが望ましい。

 もっとも、可搬性やバッテリー駆動時間などの問題もあり、一筋縄ではいきにくいだろう。これに加えて、モバイル通信のモジュールを内蔵にするか否かといった判断や、バッテリーパックを大容量のものに換装するか否かも、別途調整が必要になる。

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