NVIDIAの最新アーキテクチャ“Maxwell”を徹底解説Keplerと何が違う?(3/3 ページ)

» 2014年02月18日 23時00分 公開
[本間文,ITmedia]
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メインストリームから新アーキテクチャを投入した理由

 NVIDIAが、新しいMaxwellアーキテクチャをメインストリーム市場向け製品で先行させたのにはワケがある。NVIDIAとAMDがGPUで採用しているTSMCの製造プロセスは2年以上、28ナノメートルプロセスで停滞し、20ナノプロセスの量産開始も遅れ気味だ。

 しかし、できるだけ大きなチップを作ることで、最大限のパフォーマンスを引きだそうとする“ビッグチップ”戦略を採ってきたNVIDIAにとって、この半導体プロセス進化の停滞は、フラグシップチップを進化させる上での足かせとなってしまった。

 また、今後の市場規模を見た場合、競争が激化するモバイルSoCに最先端のグラフィックスアーキテクチャを採用することも重要な課題となる。同社はすでに、2015年投入予定の次期Tegra“Parker”(パーカー)でGPUにMaxwellアーキテクチャを採用することを明らかにしており、このスケジュールを間に合わせるためにも、現行の28ナノメートルプロセスで新アーキテクチャを開発しなければならなくなったとみられている。

2013年3月時点のNVIDIAのGPUロードマップ

2013年3月時点のNVIDIAのSoCロードマップ。2015年にはMaxwellをGPUコアに採用した次世代Tegra“Parker”の投入が計画されており、同GPUアーキテクチャ開発を急ぐ必要性があった

年内に市場投入予定の最新SoCのTegra K1では、GPUアーキテクチャをKeplerベースに進化させた

 ウォーカー氏が、GeForce GTX 750 Tiの発表にあたって「“第1世代”のMaxwellアーキテクチャ」という言葉を多用したのも、今後ハイエンドGPUやHPC向け製品だけでなく、SoC向けにも、このMaxwellアーキテクチャを発展させていく計画があることを示すものであり、GM107はMaxwellアーキテクチャの基本構成に過ぎないと見たほうがよさそうだ。

 特にNVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、MaxwellではCPUとGPUがメモリアドレスを共有するユニファイド・ヴァーチャル・メモリに対応することも明らかにしており、MaxwellのHPC向け製品やサーバ・ワークステーション向け製品では、同機能が有効にされると予想できる。ただ、ウォーカー氏は「Maxwellのコンピューティングに関する情報は、現時点では開示できない」としており、来月米国で開催される同社のGPU Technology Conferenceまで、より詳細なアーキテクチャについては公開されない見通しだ。

 このほか、NVIDIAはGeForce GTX 750 Ti/同750の発表にあわせて、新しいフラグシップモデルとなる「GeForce GTX Titan Black」を発表した。同GPUは従来製品同様GK110コアベースながら、CUDAコアは従来の2688基から、すべてのSMXを有効にした2880基構成となり、ベースクロック889MHz、GPUブースト時980MHzに高められるなどの高性能化が果たされている。また、グラフィックスメモリも7Gbpsに高速化されている。

 むろん、GeForce Titanの特徴である倍精度演算もサポートされるが、従来製品同様、動作クロックは低速に切り換わる。なお、同社が公開した基本資料では倍精度演算性能が1.3TFLOPSとされているが、SMXが1つ増え64基の倍精度演算ユニットが増えていることから、従来製品と同じ動作クロックで動作するとしても、実際の倍精度演算性能はもっと高くなるだろう。

黒いヒートシンクをまとう新しいフラグシップモデル「GeForce GTX Titan Black」(写真=左)。GPUは、従来同様GK110ベースだが、すべてのSMXを有効にした2880 CUDAコア構成となる(写真=右)

新しいフラグシップGPUとなるGeForce GTX Titan Blackの基本仕様。倍精度演算性能値は誤植と思われる(画面=左)。現行のGeForce Titanの基本仕様(画面=右)

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