GeForce GTX 780 Tiは、GeForce GTX 780同様、GK110系のコアを用いている。GK110の系統のGeForce GTXとしては、TITAN、780そして780 Tiと3つのGPUが登場したことになる。今回登場したGeForce GTX 780 Tiは、今までのGK110が抑えていた部分を解き放ったかのようなスペックだ。
まず、GPC(Graphics Processing Clusters)は5クラスタ、そしてSM(Streaming Multiprocessors)は15とされる。GeForce GTX TITANでは、GPCは同じ5クラスタでも、SMは14と、GeForce GTX 780 TiはSMが1つぶん多くなっている。これにあわせてCUDAコアも、GeForce GTX 780 Tiでは2880基とされ、2304基のGTX 780や、2688基のTITANよりも多い。また、テクスチャユニットも240基を備え、これも192基の780や、224基のTITANを上回っている。
動作クロックも向上した。まず、GPUクロックは、875MHzに設定されており、863MHzの780や836MHzのTITANを上回る。Boostクロックも同様だ。1GHzには届かないが、928MHzに高められ、900MHzの780や876MHzのTITANよりも高い。
メモリクロックも同様だ。バス幅は同じ386ビットだが、GeForce GTX 780とTITANでは6Gbps、一方のGTX 780 Tiでは7Gbpsが採用されている。そのため、メモリ帯域幅は336Gバイト/秒に達する。
競合するRadeon R9 290Xはバス幅を512ビットに拡大した一方で、クロックを5Gbpsに抑えたため帯域幅は320Gバイト/秒となっていた。メモリ帯域幅では、GeForce GTX 780 Tiのほうが広帯域なのだ。なお、メモリ容量に関しては3Gバイトとされる。GeForce GTX TITANはこれが6Gバイトだから、この点では780 Tiは半分となる。
製品名 | GeForce GTX 780 Ti | GeForce GTX 780 | GeForce GTX TITAN | GeForce GTX 770 |
---|---|---|---|---|
GPC | 5 | 4or5 | 5 | 4 |
SM | 15 | 12 | 14 | 8 |
CUDA Core | 2880 | 2304 | 2688 | 1536 |
テクスチャユニット | 240 | 192 | 224 | 128 |
ROPユニット | 48 | 48 | 48 | 32 |
GPUクロック(MHz) | 875 | 863 | 836 | 1046 |
Boost Clock(MHz) | 928 | 900 | 876 | 1085 |
テクスチャフィルレート(GTexels/sec) | 210 | 165.7 | 187.5 | 133.9 |
メモリクロック(GHz) | 1750 | 1502 | 1502 | 1753 |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ接続バス幅(bit) | 384 | 384 | 384 | 256 |
メモリ帯域幅(GB/sec) | 336 | 288.4 | 288.4 | 224.3 |
メモリ容量(MB) | 3072 | 3072 | 6144 | 2048or4096 |
最大消費電力(TDP:W) | 250 | 250 | 250 | 230 |
補助電源レイアウト | 8+6 | 8+6 | 8+6 | 8+6 |
プロセス(nm) | 28 | 28 | 28 | 28 |
リファレンスカードのデザインは、刻印が「GTX 780 Ti」となっているほかは、GeForce GTX 780やTITANと変わらない印象だ。ディスプレイ出力端子も同様。1つよいことがあるとすれば、補助電源端子が8+6ピンのままであるという点だろう。TDPは250ワットとされており、公称ではGeForce GTX 780やTITANと同じだ。
ベンチマークテストは、これまで計測したRadeon R9 290Xのデータにあわせる形で行った。あわせて、先日正式発表されたRadeon R9 290のデータも紹介する。また、Radeon R9 290Xで一部、ドライバの調整不足が原因とみられるスコアの低下が見られたところでは、290用の最新ドライバをあてることで再計測を行った。主な使用機材は、CPUがCore i7-4770K(3.5/最大3.9GHz)、マザーボードはASUSのZ87-Pro、メモリが16Gバイト(8Gバイト×2、PC3-12800)、ストレージがOCZのVector VTR1-25SAT3-128G、電源ユニットがSeasonicのSS-1000XP(1000ワット/80PLUS Platinum)という構成で、使用カードは以下の表を参照してほしい。
GeForce GTX 780 Ti | GeForce GTX 780 | GeForce GTX 770 | Radeon R9 290X | Radeon R9 290 | Radeon R9 270X |
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リファレンス | ZOTAC GeForce GTX 780(ZT-70202-10P) | MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC | リファレンス | リファレンス | リファレンス |
3DMark 11のEntryとPerformanceを見ると、GeForce GTX 780 TiがRadeon R9 290Xと、GTX 780がR9 290と釣り合ったスコアを出している。ただし、Extremeでは、GeForce GTX 780 Tiが頭ひとつ抜け出し、Radeon R9 290XはGTX 780を少し上回る程度に収まった。
3DMarkでは、低負荷時はGeForceが有利、高負荷時はRadeonが盛り返す格好だ。Fire StrikeのExtremed見ると、GeForce GTX 780 TiのOverallは4921、Radeon R9 290Xは4910。僅差でGeForce GTX 780 Tiがトップを奪取した。ただし、グラフィックスコアで見ると、5173対5190でほぼ互角といったところだろう。
一方、GeForce GTX 780のOverallは4385で、Radeon R9 290は4592。こちらはRadeon R9 290のほうが高い。グラフィックススコアでも4542対4812で、Radeon R9 290がGTX 780を上回っている。
Unigineの2つのベンチマークでは、GeForce GTX 780 Tiが頭ひとつ抜けだしている。Radeon R9 290XはGeForce GTX 780と同等で、R9 290はその若干下となった。Radeon R9 290XとR9 290との差は小さい。もう1つのテッセレーションベンチマークであるTessMarkでは、GeForce GTXが優位である。Radeon系との差はかなり大きいことが分かる。
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