Core i3-4012Yは、第4世代Coreプロセッサーファミリーの中でも最も消費電力が低いYシリーズのモデルで、TDP(熱設計電力)は11.5ワット、SDP(特定シナリオを想定した電力指標)は4.5ワットだ。
このYシリーズのプロセッサを搭載したデバイスは、CPUのスペックから性能の推定がしにくい。それはTDPのほかにSDPという電力指標が導入されており、これらの指標の範囲内でメーカーがかなり柔軟な電力管理を行なえるためだ。
SDPとは、タブレットの利用シーンを想定した電力指標と考えてよい。ノートPCとタブレットでは利用するアプリケーションもCPUへの負荷も異なるため、タブレットデバイスの熱設計、電力管理を適切に行なうために用意された電力指標がSDPだ。
熱設計、電力管理の基準が異なればパフォーマンスも影響を受ける。同じCore i3-4012Yを搭載した製品でも、SDP4.5ワットを基準に設計されたタブレットと、TDP11.5ワットを基準に設計されたノートPCでは性能が違ってくる。タブレットであってもSDPギリギリで設計されているとも限らないようで、実際のパフォーマンスは製品ごと実際に計測してみないと分からないところがある。
今回、比較用にはCore i5-4210Y(TDP11.5ワット/SDP6.5ワット)を搭載したタブレット(Venue 11 Pro)と2-in-1デバイス(XPS 11)を用意した。Venue 11 Proはタブレットとしてはかなりパフォーマンス優先で電力管理を行っている製品であるので、そのあたりも考慮に入れつつ見てもらいたい。なお、Windowsの電源プランによって電力管理基準が変わる製品も多いため、Miix 2 11に関しては、「バランス」のほかに「高パフォーマンス」の電源プランでも測定を行なっている。
まず、CINEBENCHでCPU性能をみてみよう。R11.5とR15を実施しているが、傾向は同じだ。シングルスレッドで処理するCPU(シングルコア)のスコアはCore i5-4210Yを搭載するVenue 11 Proの8割程度、マルチスレッドで処理するCPUのスコアは7割程度だ。後者はCPUのスペック差だけ見ると少し物足りなく感じるかもしれないが、Venue 11 ProのスコアはXPS11と大差なく、タブレットとしてはかなり良いスコアなので、Miix 2 11のスコアが妥当なスコアだといえる。電源プランによる違いはまったくなかった。
SSDは、評価機ではSAMSUNGの「MZMTD128HAFV-000L1」という型番のmSATAモデルを搭載していた。CrystalDiskMarkの結果はご覧のとおり。比較用製品と比べると少し書き込み性能が低いが、タブレットに搭載されるSSDとしては悪くない性能だ。電源プランを「高パフォーマンス」にするとシーケンシャルリードや4Kのランダムリード/ライトが向上した一方、QD32 4Kリードのみ低下した。QD32のこのくらいの差はコンシューマ用途では無視していい。値が変化するのは省電力機能と関連していると思われるが、特別レスポンスを良くしたいというときは電源プランを「高パフォーマンス」にしてみてもよいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.