キヤノンは8月28日、プリンタ、複合機、スキャナの新製品を一挙に発表した。
同社が発表したのは、「PIXUS」シリーズの家庭向けA4インクジェット複合機4機種とモバイル向けA4インクジェットプリンタ1機種、新ブランドとなる「MAXIFY」シリーズのビジネス向けA4インクジェット複合機4機種とA4インクジェットプリンタ1機種、「Satera」シリーズのA4モノクロレーザー複合機5機種、「CanoScan」シリーズのA4フラットベッドスキャナと多岐に渡る。各製品の詳細は以下の囲みを参照していただきたい。
例年、8月末から9月にかけて家庭向けプリンタの発表会を開催している同社だが、1日にこれほど幅広いユーザー層へ向けた新製品群を大量に発表するのは珍しい。同日都内で開催された発表会では、PIXUSとMAXIFYにフォーカスし、市場動向や新機種の特徴、販売戦略などが語られた。
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)の調査によると、国内のインクジェットプリンタ市場はここ数年500万台強で落ち着いており、2014年は昨年並の510万台規模になる見通しだ。プリンタに接続して印刷する機器(プリントホストデバイス)の出荷台数は、PCの微減傾向に対して、スマートフォンとタブレットが伸びており、同社はスマートデバイスからの印刷機会を増やすことが、今後のプリンタ成長の鍵とみている。
こうした市場動向を背景に、キヤノンは昨年のモデルでモバイルOS用の新アプリ「PIXUS Print」とクラウドサービスとの連携機能「新PIXUSクラウドリンク」を用意した。
その結果、ユーザーのスマホからのプリント使用率が2011年の9.5%から2013年には32.3%へ、タブレットからのプリント使用率も5.9%から31.7%へと急成長し、クラウドサービスからのプリント使用率も32%まで伸びたという。ちなみに、スマートデバイスからのプリント内容については、スマホの場合は75%が写真、タブレットの場合は54%がネットのコンテンツで、後者はPCの代替として使われる例が目立つとしている。
こうしたユーザー調査の結果を紹介し、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏は「普及するスマートデバイスとクラウドサービスの利用状況に合わせて、プリンタ側も機能や仕組み、コンテンツの提供に注力していくことが、大きなチャンスになる」と、PIXUSの進化の方向性を語る。
またキヤノン取締役 インクジェット事業本部長の大塚尚次氏は「ここ数年の施策でPIXUSはスマホからも簡単に利用できるというイメージが確実に浸透したが、多様化するプリントニーズを常に捕捉し続け、“より手軽に簡単に”使えるようにするのが重要だ」と述べた。
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