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「PIXUS」と「MAXIFY」――“2つのインクジェット”でシェア1位を狙うキヤノンモバイル、クラウド、女性向けで市場活性化(1/3 ページ)

» 2014年08月29日 13時30分 公開
[ITmedia]

ホームとビジネスの両方に新ラインアップを用意

 キヤノンは8月28日、プリンタ、複合機、スキャナの新製品を一挙に発表した。

 同社が発表したのは、「PIXUS」シリーズの家庭向けA4インクジェット複合機4機種とモバイル向けA4インクジェットプリンタ1機種、新ブランドとなる「MAXIFY」シリーズのビジネス向けA4インクジェット複合機4機種とA4インクジェットプリンタ1機種、「Satera」シリーズのA4モノクロレーザー複合機5機種、「CanoScan」シリーズのA4フラットベッドスキャナと多岐に渡る。各製品の詳細は以下の囲みを参照していただきたい。

 例年、8月末から9月にかけて家庭向けプリンタの発表会を開催している同社だが、1日にこれほど幅広いユーザー層へ向けた新製品群を大量に発表するのは珍しい。同日都内で開催された発表会では、PIXUSとMAXIFYにフォーカスし、市場動向や新機種の特徴、販売戦略などが語られた。

「PIXUS」ブランドの家庭向けインクジェットプリンタ新ラインアップ
ビジネスインクジェットの新ブランド「MAXIFY」と、定番レーザー複合機「Satera MFP」の新モデル
左から発表会で販売戦略を説明した八木耕一氏(キヤノンマーケティングジャパン取締役 常務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデント)、市場動向と新製品の狙いを語った川崎正己氏(キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長)、CMキャラクターの桐谷美玲さんと石丸幹二さん、製品特徴や技術の解説を担当した大塚尚次氏(キヤノン取締役 インクジェット事業本部長)

家庭向けプリンタの鍵は「スマートデバイス」と「クラウド」

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)の調査によると、国内のインクジェットプリンタ市場はここ数年500万台強で落ち着いており、2014年は昨年並の510万台規模になる見通しだ。プリンタに接続して印刷する機器(プリントホストデバイス)の出荷台数は、PCの微減傾向に対して、スマートフォンとタブレットが伸びており、同社はスマートデバイスからの印刷機会を増やすことが、今後のプリンタ成長の鍵とみている。

 こうした市場動向を背景に、キヤノンは昨年のモデルでモバイルOS用の新アプリ「PIXUS Print」とクラウドサービスとの連携機能「新PIXUSクラウドリンク」を用意した。

 その結果、ユーザーのスマホからのプリント使用率が2011年の9.5%から2013年には32.3%へ、タブレットからのプリント使用率も5.9%から31.7%へと急成長し、クラウドサービスからのプリント使用率も32%まで伸びたという。ちなみに、スマートデバイスからのプリント内容については、スマホの場合は75%が写真、タブレットの場合は54%がネットのコンテンツで、後者はPCの代替として使われる例が目立つとしている。

 こうしたユーザー調査の結果を紹介し、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏は「普及するスマートデバイスとクラウドサービスの利用状況に合わせて、プリンタ側も機能や仕組み、コンテンツの提供に注力していくことが、大きなチャンスになる」と、PIXUSの進化の方向性を語る。

 またキヤノン取締役 インクジェット事業本部長の大塚尚次氏は「ここ数年の施策でPIXUSはスマホからも簡単に利用できるというイメージが確実に浸透したが、多様化するプリントニーズを常に捕捉し続け、“より手軽に簡単に”使えるようにするのが重要だ」と述べた。

インクジェットプリンタの国内市場動向(写真=左)。プリントホストデバイスの出荷台数推移(写真=右)
スマホとタブレットからのプリント使用率は2013年に急上昇した(写真=左)。PIXUSのブランドイメージとして、スマホやタブレット、クラウドから簡単にプリントできるという認知度も上がりつつある(写真=右)
多様化するプリントニーズを常に捕捉し続けることが重要という(写真=左)。2014年上半期の国内インクジェットプリント販売状況では、キヤノンが数量シェア1位というGfK Japanの調査データ(写真=右)
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