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“正方形”ディスプレイという新提案はアリなのか?――「FlexScan EV2730Q」徹底レビュー4Kよりコッチが欲しいかも(2/4 ページ)

» 2015年02月05日 14時30分 公開

デュアルリンクDVI/DP 1.1対応のグラフィックス環境なら問題なし

 FlexScan EV2730Qは変則的な解像度のため、特殊なグラフィックス環境が必要と思われるかもしれないが、実際はそれほど接続するPCを選ぶわけではない。

 デュアルリンクDVIかDisplayPort 1.1に対応した一般的なグラフィックスカードで使用可能だ。シングルリンクDVIの場合は、リフレッシュレートが30Hzに制限される。また、Intel GMA世代のオンボードグラフィックスはFlexScan EV2730Qの解像度に対応していない(Intel HD Graphics以降に対応)。

 映像入力は2系統とシンプルで、背面にDVI-DとDisplay Portを1つずつ装備。ステレオミニの音声入力、ヘッドフォン出力、出力1ワット+1ワットのステレオスピーカーも備えている。USB 2.0のハブ機能も搭載し、アップストリームが背面に1つ、ダウンストリームは側面に2つを用意している。スタンドの台座背面に、ケーブルを束ねてすっきり設置するためのリングがあるのは、他のEIZOディスプレイと同様だ。

電源ユニットは内蔵しており、背面には非使用時の消費電力をゼロにできる主電源スイッチも備えている(写真=左)。映像入力はDVI-DとDisplay Portを1つずつ装備し、音声入力とUSB 2.0ハブ機能のためのアップストリームポートも用意している(写真=右)
液晶パネル部の側面に2基のUSB 2.0ハブ、ヘッドフォン出力を配置(写真=左)。液晶パネル部の背面下部には、出力1ワット+1ワットのステレオスピーカーも内蔵している(写真=右)

 そのスタンドだが、可動範囲が広く、上35度/下5度のチルト、左右で計344度のスイベル、101ミリ範囲の昇降が行える。縦横比1:1の正方形画面なので、当然ながら縦回転機能は搭載していない。スタンドの台座は丸形で奥行きが245ミリにおさまっているため、26.5型という画面サイズから想像するより専有面積は狭くて済む。前述のように、横幅は497ミリと21.5型フルHD液晶ディスプレイ並なので、幅を取ることもない。

 スタンドの動作はチルトがやや硬めだが、逆に言えば、長期利用でもぐらつかない剛性と安定性が感じられる。昇降とスイベルについては、かなりスムーズに調整できる。

可動範囲の広いスタンドにより、画面の高さは設置面ギリギリまで下げられる。スタンドのアーム中ほどに設けられたヒンジ機構により、画面を下げつつ、チルト調整も行える凝った設計だ

 さて正方形・高解像度の表示は快適だったのだが、設置の段階では苦労もあった。26.5型と言っても視点を左右に大きく移動させずに済む正方形画面なので、より快適に使える自然に見下ろした姿勢で使いたかったためだ。これが縦に長い画面のせいで、なかなかしっくりこない。

 可動域が広いスタンドにより、画面を垂直に立てたままならば、パネル部の下端がスタンド台座部の上面に触れるまで下げられる(設置面から表示下端が3センチ弱の高さになる)。さらに少し上向きに傾けても、設置面ギリギリまで画面を下げることが可能だ。ただ、それでも縦1920ピクセルの解像度、約500ミリの高さだと、今まで23〜24型ワイド液晶ディスプレイを置いていた机と椅子の環境では、視線がやや上向きになる。

 背面にVESAフリーマウント用の穴(100×100ミリ)も設けられているため、こだわるならば、フレキシブルアームを用意すればよかったが、今回は短期間の試用だったことから、作業台と椅子の高さをうまく調整して見やすい環境を整えた。この辺りは個々の設置環境によって大きく異なってくるだろう。

 ちなみにボディカラーはブラックとセレーングレイの2色を用意している。狭額縁でシンプルなデザインなので、置き場所を選ばないだろう。背面には持ち運び用のハンドルが付いており、移動しやすい。

背面には持ち運び用のハンドルも用意(写真=左)。背面のデザインもすっきりとシンプルにまとまっている(写真=右)

 各種設定を行うボタン類はパネル部の下端にあるが、狭額縁設計のため、各ボタンは小さめだ。先に発売された同シリーズの「FlexScan EV2455」や「FlexScan EV2450」と異なり、ノイズレスなデザインの静電スイッチや、ボタンの直上にオーバーレイ表示される操作ガイド機能を採用していないのは惜しい。

 ボタン操作には慣れが必要だが、カラーモードや映像入力の切り替え、省電力機能には専用のボタンを用意するほか、輝度やスピーカーの音量調整はOSD操作のボタンにショートカットを割り当てており、使い勝手への配慮も見られる。Windows 7〜8.1のPCであれば、独自ソフトウェアの「ScreenManager Pro for LCD(DDC/CI)」を使うことで、PC上からディスプレイの各種設定が可能だ。こちらのほうが手っ取り早いだろう。

パネル部の下端には、右から電源ランプ、電源ボタン、上/輝度調整ボタン、下/音量調整ボタン、ENTERボタン、カラーモード切り替えボタン、入力信号切り替えボタン、省電力メニューボタン、外光センター、人感センサーが横一列で並んでいる

 ディスプレイの調整機能に不満はない。用途別のカラーモード(FineContrast機能)は、2つのユーザーモード(User1、User2)に加えて、おなじみのsRGB、Movie、Paperの各モードを備えている。Paperモードは、色温度を下げた紙に近い風合いの表示にすることで、ブルーライトをカットする機能だ。

 またエコとエルゴノミクスに配慮したPC用ディスプレイ「FlexScan EV」シリーズの一員らしく、可動域の広いスタンドやPaperモードに加えて、LEDバックライトに起因する表示のちらつきを抑えた調光方式、外光の明るさに応じて画面輝度を自動で調整する「Auto EcoView」、ユーザーの離着席を人感センサーで検知してスリープ移行/復帰が可能な「EcoView Sense」、電力削減量、CO2削減量、省エネレベルの表示機能も持つ。

 ちなみに消費電力は最大64ワット、標準25ワット、節電時および待機時0.5ワット以下だ。同シリーズの27型モデル(2560×1440)である「FlexScan EV2736W-Z」と同程度(最大67ワット、標準24ワット)となる。

 細かいところでは、色温度を4000K〜10000K(500K単位、9300K/オフも設定可能)の範囲で、ガンマを1.8、2.0、2.2の3段階で調整可能だ。きちんと数値でこれらを設定できる製品は実は少ないが、ディスプレイの知識があるユーザーにとっては安心感につながる部分として評価したい。スケーリング機能はフルスクリーン、拡大(アスペクト比維持)、ノーマル(ドットバイドット)の3種類から選択できる。

ディスプレイ本体のOSDメニュー。色温度やガンマを数値で指定できるので分かりやすい(写真=左)。省電力関連の設定は、EcoViewメニューとしてまとまっており、ワンボタンで呼び出せる(写真=右)
独自ソフトウェアの「ScreenManager Pro for LCD(DDC/CI)」を使えば、Windows上からディスプレイの設定が可能だ。任意のアプリケーション利用時に、あらかじめ割り当てておいたカラーモードを自動的に適用する「Auto FineContrast」機能が利用できる(画像=左)。複数台の同社製ディスプレイ対応機種をマルチディスプレイ環境で使っている場合、1台の調整結果を他に反映できる「Multi - Monitor Match」機能も備えている(画像=右)

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