公開計測では、測定機器を搭載したバスに乗車して、真岡市を郊外から中心部にある駅まで移動しながら、地勢の違いで変化するマルチパスの影響や基地局間の距離で異なるCAの状況を確認しながら行った。
要海氏の説明によると、低層の建物がほとんどで、かつ、郊外では建物が少ないので、マルチパスの効果が得られるのは限られるとし、かつ、測定ポイントが1メートル変わっただけで、その効果が変わると説明した。
今回の計測データでは、通常のTCP層におけるスループットの時系列変化(送受信それぞれの瞬間値と平均値)以外に、物理層における転送レートをCAで送出するプライマリセルとセカンダリセルのそれぞれで値を表示した。要海氏によると、実際に運用しているCAにおいて物理層のプライマリセルとセカンダリセルの時系列変化を公開するのは日本で初めてという。
CAでは、基地局の近くではCAが有効になって高速データ通信を利用できる一方で、データ転送のエラーが増えてきた場合は、セカンダリセルを切ってCAを無効にしたり、通信状況が改善したら、セカンダリセルを有効にしてCAを有効にしたりと動的に移行できることを、リアルタイムで示した。
移動計測中の解説では、真岡市でCA導入における帯域変更(WiMAX 2+が20MHz+20MHz、WiMAXが10MHz)作業の経緯を紹介、加えて利用帯域が10MHzになったWiMAXにおける転送レートの現状を示した。
WiMAX 10MHzとWiMAX 2+ CA移行作業では、まず、2月12日1時50分にWiMAX 10MHz移行設定を開始した後、設定作業が終了した3時30分からWiMAXの動作検証を実施し、問題がないと確認できた15時30分からようやくWiMAX 2+のCAを開始している。その検証が終わってすべての作業が終了したのは、21時30分だったという。
利用帯域10MHzに移行したWiMAXの転送レートについても、平日夜の真岡市にあるビジネスホテル客室という条件で、下りが8Mbps前後、上りが4Mbps前後だったという要海氏の測定結果を示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.