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国内販売が迫る「Windows Phone」と「Windows 10」対応で知っておきたいこと鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2015年04月03日 13時00分 公開
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Windows 10(for PC)とWindows Mobile 10は何が違うのか?

 過去の連載でも触れたように、本来であれば異なるはずの「Windows 10(for PC)」と「Windows Mobile 10」について、Microsoftではマーケティング的にわざと一緒くたに扱っているフシがある。これのよしあしはさておき、両者の違いについて改めて整理しておこう。

 Windows 10 for PCとWindows Mobile 10の最大の違いは、その上で動作可能なアプリにある。Windows 10では“レガシー”と呼ばれる「従来型のデスクトップアプリケーション」と、Modern UIアプリとも呼ばれる「ユニバーサルアプリ」の両方が動作するのに対し、Windows Mobile 10では基本的にユニバーサルアプリ(とWindows Phone 7時代のアプリ)しか動作しない。

 MicrosoftはWinHEC 2015の資料で、ユニバーサルアプリについて「Windowsアプリ(Windows apps)」の名称で呼んでいるが、これは従来型のデスクトップアプリケーションとは大きく違う。動作するプラットフォームの違いはもちろんのこと、アクセス可能なAPIの制限(例えばWindowsアプリではWin32 APIのサブセットにしかアクセスできない)や、アプリの配布方法、実行環境に至るまで、細かい差異が存在するのだ。

「ユニバーサルアプリ(Universal apps)」こと「Windowsアプリ(Windows apps)」と、「従来型のデスクトップアプリケーション(Windows desktop application)」との違い

 従来型デスクトップアプリケーションは必要なファイルをフォルダ内に展開し、「EXE形式」の実行ファイルを呼び出して生プロセスが常駐する実行形態となる。一方でWindowsアプリは「パッケージ」という形で単一のファイルが配布され、これがOS上で厳密にプロセス管理される形で実行が行われる仕組みだ。また、デスクトップアプリケーションではユーザーごとの情報管理もアプリケーション依存だが、Windowsアプリではユーザーごとのプロファイルが完全に分離、管理され、きちんとサンドボックス化されている。

 このパッケージ配信の仕組みは、以前のユニバーサルアプリに関する解説記事を参照いただきたいが、よりスマートフォンアプリの流儀に沿ったものとなっている。Windowsアプリのプラットフォームごとの挙動の違いや開発環境については、今後のリポートの中でまとめていく予定だ。

 次に、Windows 10(for PC)とWindows Mobile 10で共通している点と異なる点に注目したい。

「Windows(for PC)」と「Windows Mobile」で共通している点
「Windows(for PC)」と「Windows Mobile」で異なる点

 両者はWindows 10の世代で、ある程度ユーザーインタフェースと基本アーキテクチャ、ドライバモデルが共通化され、Windowsアプリ側から見た最大の違いはディスプレイサイズと操作環境(タッチUIが中心かどうか)にある。Windows Mobile 10に「デスクトップ」「コマンドプロンプト」「デバイスマネージャ」などが存在しないのは、予想の範囲内だ。

 OEM的の事情では「カスタマイズの許容度」「携帯キャリアへの依存度」といった問題もあるが、これは製品を提供する側の事情であってエンドユーザーが直接的に影響を受けるものではない。

 その意味では、大小さまざまなディスプレイサイズに最適化されたWindowsアプリが提供される限り、ユーザーは用途に応じて最適なデバイスを選べるということになる。

 端的な例でいえば、Windows Phoneの地図サービスが挙げられる。Windows Phone 7/8/8.1に標準で提供されている地図アプリには、日本のデータがほとんど入っておらず、東京の地図でさえ海と陸の境界がおおざっぱな直線で区切られているだけのシンプルな状態だ。

 ところが、こうした情報もしっかり載せているWindows 10の地図アプリがユニバーサルアプリ(Windowsアプリ)としてWindows Mobile 10に提供されれば、物足りない地図アプリが国内で実用できるものになるだろう。

 もちろん不十分な部分もあるが、少しずつユーザーや開発者が増えることで、これまで日本でほぼ存在しなかったWindows Phoneの利用環境を作り上げていくことが可能になる。この辺りは非常に楽しみだ。

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