OCZから、ハイエンドSSDの新モデル「Vector 180」が登場した。OCZにおけるコンシューマ向けSSDのラインアップは、エントリーが「Arc」、ミドルレンジが「Vertex」、ゲーミング向けが「Radeon R7」、そしてハイエンド(エンスージアスト)向けが「Vector」を擁する。このほか、パワーユーザー向けにPCI Express接続のRevoDriveもあるが、Vector以下のモデルはすべてSerial ATA 6Gbps接続のモデルだ。Vector 180は、同じVector 150の後継モデルになる。
Vector 180のコントローラは、OCZ傘下のIndilinx「Barefoot 3 M00」で、Vector 150やAMD Radeon R7 SSDと同じだ。一方、NANDフラッシュメモリは、OCZの親会社である東芝製で、Vector 180はA19ナノメートルプロセスルールのMLCチップを採用している。Vector 150は東芝の第1世代19ナノメートルプロセスルールMLC、AMD Radeon R7 SSDはVector 180と同じ東芝A19ナノメートルプロセスルールMLCだ。コントローラとNANDチップの組み合わせを見れば、AMD Radeon R7 SSDと共通する。
シリーズ名 | Vector 180 | Vactor 150 | |||||
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容量 | 120 GB | 240 GB | 480 GB | 960 GB | 120 GB | 240 GB | 480 GB |
コントローラ | Barefoot 3 M00 | ||||||
NANDフラッシュメモリ | 東芝A19nm MLC | 東芝19nm MLC | |||||
最大リード | 550 GB/sec | 550 GB/sec | 550 GB/sec | 550 GB/sec | 550 GB/sec | 550 GB/sec | 550 GB/sec |
最大ライト | 450 GB/sec | 530 GB/sec | 530 GB/sec | 530 GB/sec | 450 GB/sec | 530 GB/sec | 530 GB/sec |
4Kリード | 85,000 IOPS | 95,000 IOPS | 100,000 IOPS | 100,000 IOPS | 80,000 IOPS | 90,000 IOPS | 100,000 IOPS |
4Kライト | 90,000 IOPS | 90,000 IOPS | 95,000 IOPS | 95,000 IOPS | 95,000 IOPS | 95,000 IOPS | 95,000 IOPS |
ダーティライト | 12,000 IOPS | 20,000 IOPS | 23,000 IOPS | 20,000 IOPS | 12,000 IOPS | 21,000 IOPS | 26,000 IOPS |
耐久性 | 50GB/日(5年) | ||||||
アイドル電力 | 0.85ワット | 0.55ワット | |||||
アクティブ電力 | 3.7ワット | 2.5ワット | |||||
重量 | 115グラム | ||||||
データ保護機能 | PFM+ | − | |||||
保証期間(国内代理店) | 3年 | ||||||
Vector 180では、Vector 150になかった容量960Gバイトモデルを追加している。OCZのコンシューマ向け2.5インチSSDでは、これまで480Gバイトが最大容量だったが、この上が登場したことになる。なお、Vector 180では容量の異なる120/240/480/960Gバイトの4モデルをそろえている。
Vector 180では、新機能として「OCZ Power Failure Management Plus」(PFM+)が加わった。これは、停電などの予期しない供給電力の瞬断が発生しても、データを保護する機能だ。SSDでは、データを一度高速なキャッシュメモリに格納し、順次MANDフラッシュメモリに書き込んでいく。キャッシュメモリは通常のDRAMを用いているため、書き込み処理の途中で電源が落ちてしまうとデータを損失してしまうが、PFM+ではPC本体の電源が落ちても、キャッシュメモリに格納したデータに関しては、コンデンサを電源として書き込み処理を継続できる。
240Gバイトモデルのパフォーマンスで比較をすると、Vector 180、Vector 150、AMD Radeon R7 SSDはともに、最大リード550Mバイト/秒、最大ライト530Mバイト/秒で同じだ。4K IOPSで比較をすると、480Gバイトモデル以上でリードが100000 IOPS、ライトが95000 IOPSと、こちらもVector 150とほぼ同じ値を示す。
通常、SSDを長期間使用していくとパフォーマンスが低下するが、その状態における(エージングを済ませた状態)パフォーマンスを示す値がダーティライトだ。OCZの製品は、“経年変化”による性能低下が競合するSSDと比べて少なく、長期間使用してもパフォーマンスが高いことをアピールするために、OCZはダーティライトの値を公開している。とはいえ、比較対象がないので、OCZ製品のなかで比較することになる。Vector 150と比べると、ダーティライトは大容量モデルを中心に低い。一方、AMD Radeon R7 SSDとは同じ傾向にあるようだ。この違いは、採用しているNANDフラッシュメモリチップの特性といえるのではないだろうか。
消費電力は、アイドル状態、アクティブ状態ともやや大きい。Vertex 460AやArc 100などを含めると、東芝19ナノメートルプロセスルールMLCを採用しているモデルが最も低く、東芝A19ナノメートルプロセスルールMLCを採用しているモデルはそれよりやや大きくなるようで、これにPFM+を追加したVector 180はさらに消費電力が増えている。アクティブ状態で3.7ワットは、SSDとしては大きいが、OCZの2.5インチSSD製品はVector 150の2.5ワットを除けば3ワット台なので、Indilinxコントローラの影響が大きいのではないかと思われる。
Vector 180ではSSD管理ユーティリティとして「SSD Guru」を用意した。従来の「SSD Toolbox」と比べ、機能を追加しており、UIも一新している。
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