MLCで960Gバイト!──OCZのハイエンドSSD「OCZ Vector 180」を試す東芝A19ナノプロセスMLCの実力は?(1/4 ページ)

» 2015年05月21日 17時51分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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A19ナノプロセスMLCチップ採用のハイエンドSSD

 OCZから、ハイエンドSSDの新モデル「Vector 180」が登場した。OCZにおけるコンシューマ向けSSDのラインアップは、エントリーが「Arc」、ミドルレンジが「Vertex」、ゲーミング向けが「Radeon R7」、そしてハイエンド(エンスージアスト)向けが「Vector」を擁する。このほか、パワーユーザー向けにPCI Express接続のRevoDriveもあるが、Vector以下のモデルはすべてSerial ATA 6Gbps接続のモデルだ。Vector 180は、同じVector 150の後継モデルになる。

OCZの2.5インチタイプSSDハイエンドラインアップの新製品として登場したVector 180シリーズ

 Vector 180のコントローラは、OCZ傘下のIndilinx「Barefoot 3 M00」で、Vector 150やAMD Radeon R7 SSDと同じだ。一方、NANDフラッシュメモリは、OCZの親会社である東芝製で、Vector 180はA19ナノメートルプロセスルールのMLCチップを採用している。Vector 150は東芝の第1世代19ナノメートルプロセスルールMLC、AMD Radeon R7 SSDはVector 180と同じ東芝A19ナノメートルプロセスルールMLCだ。コントローラとNANDチップの組み合わせを見れば、AMD Radeon R7 SSDと共通する。

CrystalDiskInfoで確認したOCZ Vector 180 960Gバイトモデルの仕様

シリーズ名 Vector 180 Vactor 150
容量 120 GB 240 GB 480 GB 960 GB 120 GB 240 GB 480 GB
コントローラ Barefoot 3 M00
NANDフラッシュメモリ 東芝A19nm MLC 東芝19nm MLC
最大リード 550 GB/sec 550 GB/sec 550 GB/sec 550 GB/sec 550 GB/sec 550 GB/sec 550 GB/sec
最大ライト 450 GB/sec 530 GB/sec 530 GB/sec 530 GB/sec 450 GB/sec 530 GB/sec 530 GB/sec
4Kリード 85,000 IOPS 95,000 IOPS 100,000 IOPS 100,000 IOPS 80,000 IOPS 90,000 IOPS 100,000 IOPS
4Kライト 90,000 IOPS 90,000 IOPS 95,000 IOPS 95,000 IOPS 95,000 IOPS 95,000 IOPS 95,000 IOPS
ダーティライト 12,000 IOPS 20,000 IOPS 23,000 IOPS 20,000 IOPS 12,000 IOPS 21,000 IOPS 26,000 IOPS
耐久性 50GB/日(5年)
アイドル電力 0.85ワット 0.55ワット
アクティブ電力 3.7ワット 2.5ワット
重量 115グラム
データ保護機能 PFM+
保証期間(国内代理店) 3年

 Vector 180では、Vector 150になかった容量960Gバイトモデルを追加している。OCZのコンシューマ向け2.5インチSSDでは、これまで480Gバイトが最大容量だったが、この上が登場したことになる。なお、Vector 180では容量の異なる120/240/480/960Gバイトの4モデルをそろえている。

 Vector 180では、新機能として「OCZ Power Failure Management Plus」(PFM+)が加わった。これは、停電などの予期しない供給電力の瞬断が発生しても、データを保護する機能だ。SSDでは、データを一度高速なキャッシュメモリに格納し、順次MANDフラッシュメモリに書き込んでいく。キャッシュメモリは通常のDRAMを用いているため、書き込み処理の途中で電源が落ちてしまうとデータを損失してしまうが、PFM+ではPC本体の電源が落ちても、キャッシュメモリに格納したデータに関しては、コンデンサを電源として書き込み処理を継続できる。

 240Gバイトモデルのパフォーマンスで比較をすると、Vector 180、Vector 150、AMD Radeon R7 SSDはともに、最大リード550Mバイト/秒、最大ライト530Mバイト/秒で同じだ。4K IOPSで比較をすると、480Gバイトモデル以上でリードが100000 IOPS、ライトが95000 IOPSと、こちらもVector 150とほぼ同じ値を示す。

 通常、SSDを長期間使用していくとパフォーマンスが低下するが、その状態における(エージングを済ませた状態)パフォーマンスを示す値がダーティライトだ。OCZの製品は、“経年変化”による性能低下が競合するSSDと比べて少なく、長期間使用してもパフォーマンスが高いことをアピールするために、OCZはダーティライトの値を公開している。とはいえ、比較対象がないので、OCZ製品のなかで比較することになる。Vector 150と比べると、ダーティライトは大容量モデルを中心に低い。一方、AMD Radeon R7 SSDとは同じ傾向にあるようだ。この違いは、採用しているNANDフラッシュメモリチップの特性といえるのではないだろうか。

 消費電力は、アイドル状態、アクティブ状態ともやや大きい。Vertex 460AやArc 100などを含めると、東芝19ナノメートルプロセスルールMLCを採用しているモデルが最も低く、東芝A19ナノメートルプロセスルールMLCを採用しているモデルはそれよりやや大きくなるようで、これにPFM+を追加したVector 180はさらに消費電力が増えている。アクティブ状態で3.7ワットは、SSDとしては大きいが、OCZの2.5インチSSD製品はVector 150の2.5ワットを除けば3ワット台なので、Indilinxコントローラの影響が大きいのではないかと思われる。

 Vector 180ではSSD管理ユーティリティとして「SSD Guru」を用意した。従来の「SSD Toolbox」と比べ、機能を追加しており、UIも一新している。

UIを一新したユーティリティ「SSD Guru」。「SSD Toolbox」より機能が多く、変わったところではパフォーマンス向上や寿命を伸ばす「Over Proviisioning」(一定の領域を追加のオーバープロビジョニング領域として確保する)機能を導入している

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