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わずか1キロなのにマグネシウムリチウム&カーボンで頑丈な「HP EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition」徹底チェック(後編)薄型軽量金属ボディで気になる表面温度は?(2/2 ページ)

» 2015年06月22日 12時00分 公開
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パフォーマンスは控えめなれど表面温度に問題なし

 薄型ボディだけに、TDP(熱設計電力)が4.5ワット、SDP(Scenario Design Power:シナリオに基づいた消費電力設計)が3.5ワットと低く、消費電力と発熱を抑えたCore M-5Y51の処理能力が気になるところだが、Folio 1020 G1 SEではどうなのだろうか。

 CPU性能を評価するCINEBENCH R11.5のCPU(マルチスレッド対応)スコアは、1.13ptsと控えめな結果だ。動作クロックは最大2.6GHzとなっており、CPU(シングルコア)スコアでは、0.80ptsとやや挽回した。

CINEBENCH R11.5

 ストレージ性能の計測はCrystalDiskMark 3.0.3を使っている。M.2(Serial ATA 6Gbps)接続のSSDとしては良いほうのスコアだ。評価機が搭載するストレージデバイスはMicronの「MTFDDAV256MAZ-1AE1ZABHA」だった。これをSerial ATA 6Gbps対応のM.2に接続している。

CrystalDiskMark 3.0.3

 実際のアプリケーション動作からシステム全体のパフォーマンスを評価するPCMark 7の総合スコアは3439だ。この結果は、第4世代CoreプロセッサーファミリーのCore i5-4300Uを搭載するSurface Pro 3に比べて約70%、Core M-5Y71搭載の「ASUS TransBook T300 Chi」と比較して約80%のスコアに相当する。また、Atom Z3775を搭載するTransBook T100 Chiに対しては約128%と大きく上回る。ビジネス利用がメインになるノートPCだが、参考までに3D描画能力も3DMarkでチェックした。

PCMark 7 1.4.0

3DMark 1.2.362

 Webブラウズとテキスト入力を想定したBBench 1.01におけるバッテリー駆動時間の計測では、満充電から残り5%で休止状態に入るまで、5時間53分動作した。スペック上は、4セルのリチウムポリマーバッテリー搭載で36ワットアワー。約1000回の充放電サイクルを設計寿命とする「高耐久性」バッテリーを採用している。ハードウェア調査ツール「HWiNFO32」で調べてみても、Designed Capacityは、36336ミリワットアワーと同等だった。

 1.57ミリの薄型本体にファンレスボディということで気になるのは、やはり“発熱”だ。検証作業では、室温24.6度でファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークを2回実行して時点において放射温度計で各部を計測した。最高温度となった部分は、本体背面の中央で40.5度だった。

 また、同じ条件でHWiNFO32が示すCPUの温度は、CPUパッケージで最高59.0度だった。Core M-5Y51の最高動作温度(Tjunction)は95度なので、高負荷の状態でもまだ十分に余裕がある。

 Folio 1020 SEは、パフォーマンスが控えめな一方、省電力の面でメリットがあり、バッテリー駆動時間、静音性、放熱性については満足できる結果を得た。

Folio 1020 G1 SEの表面温度はシンワの放射温度計で計測している

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークを2回実行して時点においてHWiNFO32でCPU温度(コア温度とパッケージ温度)を確認した

ボディ表面温度の計測結果(FF14ベンチ2回以上実行)
本体の底面
計測部 左上 中央上 右上 中央左 中央 中央右 左下 中央下 右下
計測値 33.6度 34.1度 28.2度 40.5度 34.1度 27.5度 32.0度 29.7度 26.3度
キーボード/パームレストの表面
計測部 左上 中央上 右上 中央左 中央 中央右 左下 中央下 右下
計測値 29.4度 33.4度 35.9度 27.6度 31.3度 26.6度 28.6度 29.2度 32.8度
液晶の表面
計測部 左上 中央上 右上 中央左 中央 中央右 左下 中央下 右下
計測値 27.1度 26.8度 26.4度 27.1度 27.8度 27.5度 28.4度 29.4度 29.0度

ベンチマークテストの概要

  • バッテリー駆動時間テスト
    1. BBench 1.01

※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測

  • 発熱テスト
    • シンワ製放射温度計でボディ表面温度を実測(室温24.6度)

名機の素質を持つノートPC誕生か

 Folio 1020 SEは、1キロと軽量で最厚部が15.7ミリと薄型ながら、米軍調達基準「MIL-STD-810G」もクリアした堅牢なボディを実現した。これは、マグネシウムリチウム合金を天板やパームレストへ採用したことが大きい。マグネシウムリチウム合金といえば、NECの第1世代、第2世代のLaVie Zですら底面部分でしか使っていない。天板への採用は、第3世代(2015 International CESで参考展示したLaVie Hybrid ZERO HZ750/AA)に入ってからだ。HPは、加工が難しいこの素材を、いきなり天板に採用しただけでなく、キーボードやタッチパッドなどほかの素材と取り付けが必要で、加工が多いパームレスト(C面)にまで導入してみせた。

 Folio 1020 SEは、中国生産と刻印があるものの、東京都昭島市にある日本HP昭島工場でカスタマイズと最終検査を行って出荷をしている。日本HPもこの東京出荷を品質を訴求するキーワードとして使っている。

 サポート面でも、ビジネスノートPCであるFolio 1020 SEは、日本HPによる延長保証サービスを最長5年まで延長できる(同社の個人向けノートPCは最長3年までのサポートまでしか提供していない)。サービスパーツなどの保守用部材の供給期間が長くなることも“安心”といえるだろう。

 PCを絶対的な性能や価格でななく、バランスのとれた総合力で選ぶユーザーに勧めたい1台だ。

デバイスマネージャーで確認した評価機材のハードウェア構成
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