今回、検証に使う機材のシステム構成は、これまでのCPU検証作業からほとんど変更を加えていないが、統合グラフィックスコア、および、キャッシュメモリの傾向を確認するためベンチマークテストを追加している。また、メモリの特性がどのように変わるのか、DDR3-2133のオーバークロックメモリによる検証も追加してみた。
比較対象はCore i7-4790Kを用意している。LGA1150ソケットの第4世代Coreプロセッサー・ファミリーにおける最上位モデルだ。また、統合グラフィックスコアのベンチマークテストでは、AMDのA10-7870K(DDR3-1600、および、サポート内で最高のDDR3-2400で計測)を追加した。A10-7870Kにおいては、CPU性能に関してターゲットレンジが異なるため、ベンチマークテストのスコアを比較していない。グラフィックス性能を訴求するAMDのAPUとIntel Iris Pro搭載Coreという比較で考察する。
検証に使ったシステム構成 | |
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CPU | Core i7-5775C |
システムメモリ(速度) | CFD Elixer W3U1600HQ-8G(PC3-12800 DDR3 SDRAM、8Gバイト2枚) |
マザーボード | MSI Z97M GAMING |
チップセット | Intel Z97 Express |
ストレージ | Crucial BX100 CT500BX100SSD1(Serial ATA 6Gbps、MLC、500Gバイト) |
OS | 64ビット版 Windows 8.1 Pro Update |
電源 | Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000ワット) |
PCMark 8(OpenCL有効)では、Home、Creativeというグラフィックス性能も影響するテストでCore i7-5775CがCore i7-4790Kのスコアを上回った。一方、グラフィックス性能の影響が少ないWorkテストでは、CPUの動作クロックの高いCore i7-4790Kのスコアが高い。
CINEBENCH R15では、GPUが関連するOpenGLに関してはCore i7-4790Kから大幅にスコアが向上し、CPUが関連するMulti CPUとSingle CPUはともにスコアを落としている。なお、オーバークロック設定のシステムメモリを用いると、Multi CPUでスコアが向上するが、その向上幅はCore i7-4790Kが30ポイントなのに対し、Core i7-5775Cは3ポイント程度にとどまった。
MaxxMEM2 v2.01を用いてメモリの特性を確認した。Memory-Copy、Memory-Readの両テストはCore i7-5775CがCore i7-4790Kを上回ったが、Memory-Writeに関しては下回った。Memory-Copyではメモリ内で完結することとキャッシュヒット率の関係で向上したものと見られる。Memory-Readも同様だろう。一方でMemory-Writeは、レイテンシが大きくなっていることが影響している。Memory-LatencyテストによるとCore i7-4790Kが61.2nsだったのに対し、Core i7-5775Cは150nsと2倍以上かかっている。これによって相殺されてしまったのではないだろうか。
Sandra 2015.SP2b 21.42では、CPUの性能、マルチメディア処理、暗号処理、.NET 演算、.NET マルチメディア演算といったCPUに関連するテストは、CPUの動作クロックが低い分、Core i7-4790Kからスコアが低くなる。ただ、ハードウェアを用いる暗号処理の暗号化と復号のパフォーマンスを測定するAES256-ECB AESはほぼ互角だった。
以上、統合ベンチマークテストとCPUを重視したベンチマークテストによる主にCPUとしての処理能力と、メモリの傾向を中心に検証した。後編では、デスクトップPC向けBroadwellで実装した4次キャッシュメモリの影響、そして、Iris Pro 6200で大幅に向上したというグラフィックス描画処理能力を検証する。
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