既報の通り、「DSP版Windows 10」は2015年8月1日0時から売り出されている。既にPCパーツショップの店頭には普通に並んでおり、上位の「Windows 10 Pro」も下位の「Windows 10 Home」もPCパーツとのセット販売で買える。USBカードなど、最廉価なパーツとのセット価格はWindows 10 Proが2万3000円前後から2万5000円弱、Windows 10 Homeが1万4000円以下から1万6000円前後となる(税込)。
各ショップで新OSを盛り立てているが、Windows 8/8.1のときのような発売記念限定パックは作られず、過去のWindows OS発売時と比較すると控えめに置かれている印象を受ける。それでも、Windows 7以来のヒットを期待する声は多い。某ショップは「8はぜいたくな宣伝だけで空回りしていた感がすごくありましたが、10は何もしなくてもよく売れると思います。マイクロソフトも分かっているんでしょうね」とシニカルに笑っていた。
かといってWindows 10の登場で今後のPC自作市場を楽観視する声は聞かない。代わりによく耳にする懸念は、市場の縮小が加速することだ。
あるベテラン店員さんは「10自体は優秀ですし、旧OSからの乗り換え需要を促進すると思います。ただ、新規のユーザーをこの業界に呼び込むかというと話は別になります。ライト層向けには安価なタブレットや小型PCがありますし、『10があるからPCを自作しよう』というふうにはならない。ゲームなりハイスペックな処理が必要なキラーコンテンツがたくさん出てこないと」と話していた。
そうした流れがWindows 10発売後に促進されると不安視するコメントも聞いた。「もうしばらくしたら他のOSパック(ダウンロードタイプやUSBメモリタイプ)も出てきますが、価格や使用範囲の面でDSP版とどうすみ分けられるか不透明です。場合によってはDSP版を脅かしかねません。すると、自作PCにおけるOSの位置付けが揺らいで、コアな従来ユーザーだけが守り続ける世界になっていくかも」(匿名)
Windows 10のフタを開けたら自作街がどんな姿になるのか。その結果を知るには、もう少し時間が必要なようだ。
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