第6世代Coreプロセッサこと「Skylake」が登場した。第5世代のBroadwellなど、ここのところ、インテルの新世代CPUはモバイルを先行してリリースすることが多かったが、Skylakeはいきなりデスクトップ向けCPUがやってくる。そのSkylakeでは大きな変革を伴う。大きな変革とはプラットフォームが変わることだ。プラットフォームの変更を伴うために、デスクトップPCが先行することとなる。この記事では、Skylakeの第1弾モデル「Core i7-6700K」と、これをサポートする「Intel Z170 Express」チップセットを搭載するマザーボードとしてMSIの「Z170A GAMING M7」を使ってSkylake世代のプラットフォームが発揮するパフォーマンスを、それ以前の世代のメインストリーム向けと比較してみよう。
Skylakeは、14ナノメートルプロセスルールを採用した2世代目の製品だ。デスクトップPCでは、14ナノメートルプロセスルールの第1世代「Broadwell」の登場が2015年6月まで遅れたため、わずか2カ月の間に世代が新しくなったことになる。ただし、デスクトップPC向け(LGA1150対応)Broadwellは、従来のプラットフォームで統合グラフィックスコアを大幅に強化した製品という位置づけ、Skylakeは新しいプラットフォームで新しい規格を採用するパフォーマンス志向の製品という位置づけとなる。
プラットフォームの変更という観点で、Skylakeは新たにLGA1151ソケットに対応した。従来のLGA1150ソケットとは互換性がない。これは、先にエンスージアスト向けに登場したLGA2011-v3ソケットと同様だ。LGA2011-v3の場合、ピン数は変わらなかったが、それ以前のLGA2011とは互換性を失っている。LGA2011-v3では、DDR4メモリを導入した。
Skylake、および、LGA1151でもDDR4メモリをサポートする。Skylakeへの移行ではメインストリームでもDDR3からDDR4への移行が必要になる。DDR4メモリの駆動電圧は、DDR3メモリよりも低くく、より高クロックでの動作を実現した。電力効率も向上する。ただ、SkylakeではDDR4メモリだけでなくDDR3Lメモリもサポートする。メインストリーム向けであるため、LGA2011-v3のようにDDR3をすっぱり切り捨てるわけにはいかなかった。
ここで、DDR3Lメモリと書いたことに注意したい。インテルの公式資料を見る限り、DDR3ではなくDDR3Lとなっている。DDR3とDDR3Lは同じような名前でも異なる。Haswell世代のNUCが、DDR3をサポートせず、DDR3Lのみをサポートしていたように、Skylake世代ではDDR3メモリが利用できない可能性がある。評価作業の時点でインテルの公式な見解は確認できていないので断言できないが、自作PCにおける「パーツの使い回し」で問題となるかもしれない。
マザーボードメーカーの動向を見ると、エントリー向けにDDR3L対応モデルを用意するが、主力となるのはDDR4メモリ対応モデルのようだ。ある意味、DDR3メモリを使い続けるのであれば、Broadwell世代やHaswell世代にIntel 9シリーズチップセット搭載マザーボードの組み合わせでよいという考えがあるのかもしれない。デスクトップPC向けBroadwellが登場してまだ間もないこともあり、Intel 9シリーズチップセット搭載マザーボードがすぐに終息となることはないだろう。この点で、Skylakeはメインストリームのなかでも新しい規格とパフォーマンスを求めるユーザー向けのCPUといえる。
CPUについて仕様を確認していこう。今回評価するCore i7-6700Kは、Hyper-Threading Technologyに対応しており、従来のCore i7と同様、4コア8スレッドのCPUだ。動作クロックは定格が4GHz、Turbo Boostにより最大4.2GHzまで引き上げられる。定格の動作クロックに関しては、Core i7-4790Kと同じだが、一方でTurbo Boostの最大クロックは低く設定してある。なお、末尾に「K」の付くモデルなので、Intel Z170 Expressチップセット搭載マザーボードであれば倍率変更によるオーバークロックに対応している。
製品名 | Core i7-6700K | Core i7-5775C | Core i7-4790K | Core i7-4770K |
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コードネーム | Skylake | Broadwell | Devil's Canyon | Haswell |
コア数 | 4 | 4 | 4 | 4 |
スレッド数 | 8 | 8 | 8 | 8 |
定格クロック(GHz) | 4 | 3.3 | 4 | 3.5 |
ターボ時クロック(GHz) | 4.2 | 3.7 | 4.4 | 3.9 |
L3キャッシュ(MB) | 8 | 6 | 8 | 8 |
L4キャッシュ(MB) | - | 128 | - | - |
製造プロセス | 14 | 14 | 22 | 22 |
TDP(W) | 91 | 65 | 88 | 84 |
メモリ | DDR4-2133/DDR3L-1600 | DDR3/3L-1600 | DDR3-1600 | DDR3/3L-1600 |
チャネル数 | 2 | 2 | 2 | 2 |
グラフィックス | Intel HD 530 | Intel Iris Pro 6200 | Intel HD 4600 | Intel HD 4600 |
EU数 | 24 | 48 | 20 | 20 |
GPUコア周波数(MHz) | 350 | 300 | 350 | 350 |
GPUコア最大周波数(MHz) | 1150 | 1150 | 1250 | 1250 |
DirectXバージョン | 12 | 11.2 | 11.2 | 11.2 |
H/Wデコーダー | 搭載(H.265対応) | Intel Clear Video HD | Intel Clear Video HD | Intel Clear Video HD |
H/Wエンコーダー | Quick Sync Video(H.265対応) | Quick Sync Video | Quick Sync Video 2.0 | Quick Sync Video 2.0 |
ソケット | LGA1151 | LGA1150 | LGA1150 | LGA1150 |
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