最後になったが、このリモートアクセス機能の設定方法についてまとめておこう。一般的に、ルーターを超えて自宅内のNASに外部からアクセスする場合には、ルーターのポートを開ける必要がある。
また、個人がプロバイダと契約しているインターネット接続プランの多くは、接続し直すたびに異なるグローバルIPアドレスが与えられるので、グローバルIPアドレスが書き換わっても継続してアクセスできるよう、ダイナミックDNSという機能を使って、一意のホスト名をつけてやる必要がある――という説明を読んでも、意味がよく理解できない、ネットワークはどうにも苦手だ、という人も少なくないだろう。
だが心配しなくても大丈夫だ。Synologyの「QuickConnect」という機能を使えば、こうしたややこしい問題を一挙に解決できる。上の説明で何を言っているのかまったく理解できなくても、今回紹介したように外出先から自宅のNASにアクセスしてログインし、ファイルを見たり、取り出せるようになるのだ。
この「QuickConnect」は、SynologyのNASをセットアップする際にあわせて設定できるようになっているが、本連載の第1回で紹介した手順ではこのプロセスはあえて飛ばしているので、以下に具体的な手順を紹介しよう。すでに自力でセットアップしたもののうまく動作しないという人も参考にしてほしい。
まずはWebブラウザからNASにログインし、「コントロールパネル」→「QuickConnect」を開く。「QuickConnect」を設定するための画面が表示されるので、「QuickConnect ID」と書かれた欄に、アドレスとして使う適当な文字列を入力する。ほかのユーザと重複していた場合はエラーが表示されるので、別の文字列を入力しよう。要はメールアドレスを取得する際の手順と同じだ。
ここで取得した文字列=QuickConnect IDが仮に「abc」だったとすると、外部からアクセスする際は「http://QuickConnect.to/abc」となる。設定が完了したら、スマホなどでLTE/3G回線を使って、このURLにアクセスしてみよう。
すると、さきほど紹介したスマホに最適化された設定画面(DSM mobile)が表示されるはずだ。たったこれだけの作業で、外出先から自宅のNASにアクセスできるようになる。
きちんと設定したはずなのにうまくリモートアクセスできない原因は、おおむねいくつかのパターンに分けられる。
1つはネットワーク環境そのものが特殊であること。今回は自宅内に設置したルーターにNASを接続し、そこから光ファイバー回線などを経由してネットに接続するという典型的な環境を想定しているが、間にルーターを2台経由させている場合など、ネットワーク環境が特殊な場合は、接続できないことがある。
また、LAN上に同じポートを使っている機器がある場合も接続が行えない。例えば、このSynologyのNASが自宅内に2台あった場合、どちらも初期設定ではポート5000番を使おうとする。この場合は、一方のポートを、5010番など別のポートに変えてやればOKだ。
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