世界で反響 “俺の嫁”を具現化する「Gatebox」に注ぐ情熱コンセプトモデルの実物を見てきた(3/3 ページ)

» 2016年02月10日 08時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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「そこにいる」リアリティにこだわる

 既に述べたように、Gateboxでは、ボタンに類する操作方法は採用しない。理想は音声で全てコミュニケーションできることだ。

 「雑談を話して、それに答えてくれるようになれば」という。音声認識などのエンジンは、他社から供給をうけたものをチューニングして使う予定だ。だが、それでも完璧な認識ができるとは限らない。

 「問題はコミュニケーションの精度です。精度が低いと期待値を超えられない可能性もあります。理想的には話してコミュニケーションができればいいのですが、他のやり方、例えば画像認識なども併用できないか検討しています」

 開発陣がこだわっているのが、「そこにいる」というリアリティだ。例えば、キャラクターとしてコミュニケーションをする場合、15センチのフィギュアの「表情」を読み取るのは難しい。ゲームならば、ウィンドウをオーバーラップし、表情の拡大を見せるところだが、その種のことは「絶対にしない」という。「ウィンドウを出すと“画面感”が出るじゃないですか。自社で取り組んでいるのは、非言語でのコミュニケーション。うなずきや笑顔、しぐさといったものを大切にしています」

 コンセプトモデルでは、コナミで「ラブプラス」のキャラクターデザインを務めた箕星太朗さんにデザインを依頼した「逢妻(あづま)ヒカリ」をキャラクターとして採用した。コンセプトはズバリ「未来の嫁感」。エプロン姿で薬指には指輪、まさに「嫁」だ。「箕星太朗さんには、こちらの要望以上のものを作っていただけました。もう全く、直すところもなく……」と武地さんは笑う。

逢妻ヒカリ 未来の嫁感というコンセプトでデザインされたオリジナルキャラクターの「逢妻ヒカリ」
MacBook 武地さんのMacBookは天板にGateboxのロゴとデフォルメされた逢妻ヒカリのステッカーが貼られていた

 逢妻ヒカリはGateboxのメインキャラクターだが、このキャラクターだけでビジネスを進めるわけではない。将来的には、好きなキャラクターに置き換えられるようにする予定で、現在はそのためのソフトウェアプラットフォームを作っている最中だ。逢妻ヒカリはモデルキャラクターでもある。身振り手振りやうなずきなどの「非言語コミュニケーション」の使い方も、ここで実践していく。「今は“嫁”を作っていますが、もちろん“婿”でもいいんですよ。そのためにプラットフォーム整備を進めているところ」という。

 現在、Gateboxはコンセプトモデルの段階だ。きちんと動作するものになっているが、全ての機能がまとまっているわけではないし、投写方式も含め、最終的な姿ではない。最終的な製品のクオリティーはもっと上を目指しており、「今の段階で品質を評価されたくない」との考えから、コンセプトモデルの撮影は許可されなかった。今彼らは、作り込みに力を注いでいる。

 「社内的には、かわいさ追求、かわいさ正義でやっています。実は、開発スタッフは全員独身なんですよ。そういう意味では、リアル嫁のよさは分かりません(笑)。でも、理想的に、自分達が暮らしたい“俺の嫁”を作り上げたい、と思っているんです」と武地さんは語る。

 現在のめどとして、価格は「なんとか10万円台」には収める予定だ。2016年秋にはクラウドファンディングを開始し、2017年春には出資者の手に届くようにしたい、という。

パネル ウィンクルのオフィスには、逢妻ヒカリのパネルが置かれていた
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