街中ロストガジェット:昭和の時の中で 空き缶を食べ続ける「くうかん鳥」(2/2 ページ)

» 2016年04月05日 06時00分 公開
[赤祖父ITmedia]
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 寅さん記念館の館長、小嶋さんにお話を伺った。

 くうかん鳥の設置はほぼ開館当初からで、空き缶の回収は自販機業者に委託しているとのこと。ほとんどもう見かけないけれどメリットがあるのかという問いには「単純に空き缶が結構たくさん入りますね」ということで、今回特別に筺体の中を見せていただいた。

 構造としては比較的シンプルで、入れられた空き缶をプレスする機械があり、そのまま下の回収箱に落ちるだけだ。取材時にはカウンターは500ほどを示していたが、1000本分ほどは入りそうだった。筐体のサイズは大きいが、それ以上に缶を圧縮してくれるメリットはありそうだ。なお写真は貼らないが、飲みかけのジュースなどのせいで内部はかなり汚れていたので、きちんと飲み干して捨てるように心掛けたい。

 またこちらのくうかん鳥には、内部的にもお金をキャッシュバックしてくれたりポイントなどのチケットをくれたりする機能はそもそもないように見えた。

20年以上前に販売終了

 くうかん鳥が世に出たのは1980年代後半のこと。もともと開発・販売を手掛けていた芝浦製作所の分社化に伴い、グループ会社の芝浦自販機が事業を引き継いだ。主な販売先は自治体や学校で、飲料メーカーが自販機の営業とセットで納入していくケースも多かったそうだ。

 筆者の記憶にあった通り、当時は缶を入れると10円が戻ってくるデポジット機能を搭載していたり、出てくるシールを集めて台紙に貼って送ると図書券がもらえたりと、空き缶回収率を上げるためにさまざまな工夫がされていた。「子どもが空き缶を拾って集めるでしょ。そうすると大人もポイ捨てしなくなるんですよね」(芝浦自販機)

 その後は筺体維持費用の見直しや、その他の回収法が一般的になってきたこともあり、徐々に需要は減少。90年代半ば過ぎに販売を終了したという。つまり、今設置されているくうかん鳥は、どれも20年以上前の筺体ということになる。

 余談だが、くうかん鳥の次世代版とでも言うべきペットボトル自動回収機も存在している。nanacoにポイントをためる特典もありとても現代的だが、くうかん鳥のようなキャラクターや愛称がないのが寂しい。

寅さん記念館にて

 なお記事の本題から逸れるが、寅さん記念館の内部も取材させていただいた。映画の舞台である古い昭和のロケセットなどが再現されているので、特に本連載をご覧の方などの関心をひく点をご紹介したい。

葛飾柴又寅さん記念館 (C)松竹提供

 こちらは、映画の舞台になる台所の再現。冷蔵庫の取っ手のデザインや花柄の鍋などが今逆に新鮮に見える。

葛飾柴又寅さん記念館 (C)松竹提供

 こちらは旧型の電子レンジと、米びつを備えたレンジ棚。現在もカタログ通販サイトなどで米びつ付きレンジ棚は販売しているようで、それなりのニーズがあるのだろうと思われる。

葛飾柴又寅さん記念館 (C)松竹提供

 このような展示品や映像に多数触れることができ、昭和好きであれば「寅さん」を見たことのない人でも楽しめる「寅さん記念館」に是非足を運んでみていただきたい。

 くうかん鳥も待っている。



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