あやふやな知識で「スタイルシート」や「CGI」と格闘していた頃のこと

» 2016年11月04日 06時00分 公開
[上田啓太ITmedia]
オレの知ってるネットと違う

 あやふやな知識でなんとかする。

 1999年に最初のホームページを作って以来、私は基本的にこのスタンスでやっていた。細かい意味は知らなくていい。「その場しのぎ」を積み重ねて、最終的に意図が達成されればいい。趣味のページ制作だからできたことだろう。

 今回は当時のページ制作であやふやな知識のままやっていたことを書こうと思う。具体的には「スタイルシート」と「CGI」の話である。

過去の“ホームページ”に関する話

ライター:上田啓太

上田啓太

1984年生まれのブロガー。京都在住。15歳のときにネットに出会い、人生の半分以上をネットとともに過ごしてきた男。

個人ブログ:真顔日記 Twitter:@ueda_keita


スタイルシートの存在を知る

 「最近はスタイルシートというものを使うらしいぞ」

 2002年、友人とチャットしているときにいわれた。同じ時期にページ作りをはじめた友人だった。その友人にスタイルシートの存在を教えられた。2人ともページ制作をはじめて3年目だった。

 友人も知識レベルは似たようなものだった。だから「らしいぞ」と伝聞で来る。伝言ゲームのようなものだ。まずはプロのWebデザイナーが最新の技術を導入する。徐々にわれわれのような趣味の制作者に伝わってくる。われわれは伝言ゲームの最後尾にいた。偉そうに言うことじゃないが。

 HTMLでは構造だけを記述し、デザインはスタイルシートで別に指定する。これからのページ作りはそうなっていく。「フレームタグ」や「テーブルタグ」は古くなりつつある。そんなことを知った。もちろん、「俺もスタイルシートを導入したい!」と興奮した。単純な生き物である。

 私はスタイルシートを使いはじめた。イチから学ぶのではなく、ほかのページをまねる。最初に実装したのは、カーソルを置くと背景色が変わるボタンだった。非常にうれしかった。これは「ギミック病」の名残だろう。素人ページ制作者はとにかく動くものに弱い。結果が分かりやすいからである。

「段組」に苦労していた

 スタイルシートで苦労したのは「段組」だった。例えば、ページ左に幅200ピクセルのメニューを配置し、右にメインコンテンツを表示する。よくあるデザインだが、はじめは実現に苦労した。うまく左右に配置されず、片方のボックスが下にずり落ちてしまうのである。俗に「カラム落ち」といわれる現象だ。

 スタイルシートを覚えたての頃、とにかく段組はひんぱんに崩れていた。なで肩の人間がリュックを背負うようなもので、初心者がスタイルシートを使えば、ボックスはずり落ちるのだ。これは宿命だった。季節はめぐる。人心は変わる。段組は崩れる。これが真理なのである。

 なんだかばかみたいな文章になってきたが、似た経験をした人がたくさんいたと私は信じている。スタイルシートをいじったことのある人は誰でも、段組を崩した経験があるのではないか。覚えてないとは言わせない。この中で一度も段組を崩したことのない者だけが、私に石を投げなさい。

CGIを設置する

 スタイルシート以上にあやふやな知識でやっていたことがある。「CGIの設置」である。

 当時のホームページによくあったように、私もページに「掲示板」を置いていた。最初はレンタルサービスを利用していた。しかし制作に凝りはじめると細部まで設定したくなる。するとレンタルでは物足りなくなる。これも同じ友人に教えられた。

 「CGIというのを使えばいいらしいぞ」

 とにかく末尾に「らしいぞ」と付く。伝言ゲームのつらいところである。しかしCGIを設置できればかなりうれしい。掲示板以外にも、チャットやアクセスカウンタやアクセス解析を自分で設置できるようになる。基本的にページ制作は「うれしさ」を糧にやっているものだから、私は早速食いついた。

 自作のCGIを無料で配布している人がいた。設置の仕方も丁寧に説明してくれている。それを参考にやっていた。いろいろといじれば「なんとか動く」のだ。これが感動的だった。しかし仕組みは知らなかった。用語の意味も分からなかった。その分からなさはスタイルシートの比ではなかった。

 いまでも覚えているのは「パーミッション」という言葉である。パーミッションは3つの数字だ。例えば「755」とか「666」というふうに設定する。この設定を間違えればCGIは機能しない。細かい理屈は知らなかった。「とにかくこの数字の設定が重要だ」とだけ覚えていた。だから伝言ゲームの最後のほうで起こる支離滅裂な会話が生まれていた。

 「とにかくパーミッションに気を付けろ」

 「パーミッションって何なんだ?」

 「パーミッションはパーミッションだ」

 「パーミッションはパーミッションか」

 「とにかく気を付けるんだ、パーミッションに」

 友人も意味をしっかりと理解していない。だからこんな会話になる。ボケとボケの会話である。まさに「意味は分からずにやる」の真骨頂だ。

 「Internal Server Errorって出たぞ」

 「パーミッションのせいだ」

 「パーミッションのせいか」

 妖怪におびえる昔の人間と大差ない会話だった。ネットの話なのに、世界観は山奥の小さな村である。CGIの挙動がおかしければパーミッションのせい。こうなるとパーミッションは山に住む妖怪のようなものである。えたいの知れない存在としてのパーミッション、古くから村に伝わるおそろしい妖怪としてのパーミッションだ。パーミッションの怒りを買えば、CGIという村は動かない。

 「おまえはパーミッションの数字を間違えたのじゃ……終わりじゃ……。パーミッション様がお怒りじゃ……」

 村の長老にいわれてしまうことだろう。

 「この村はInternal Server Errorじゃ……」

 いよいよ何のこっちゃ分からない文章になってきたので、このへんで終了するが、あの頃の私はマジでこれくらいの理解でやっていた。非常にあやふやだった。それでもなんとかなるのが、ページ制作の楽しいところだったんだろう。

オレの知ってるネットと違う

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