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残り8カ月とタイムリミットが迫る「Windows 7 EOS」を考察する鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)

» 2019年05月07日 08時00分 公開
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中小企業向けの対策

 では、中小企業向けにこれら製品のEOSをどのように周知していくのだろうか。

 まずは周知で、その次に予算化を促しつつ、どのような形で移行計画を打ち立てるかの作戦会議となる。方策はいくつかあり、Office製品はOffice 365やMicrosoft 365のような選択肢を提示しつつ、クラウドも含めた提案が有力になるだろう。

 またWindows Server 2008の用途として、その25%はファイルサーバだというのが実際だ。次いで内向きのWebサーバやアプリケーションサーバ(LoB)が52%で過半数を占める。

Windows 7 Windows Server 2008の用途別シェア

 ケースバイケースだが、Windows Server 2008系列を使うユーザーが次のサーバとしてオンプレミス環境で選ぶのはWindows Server 2012や同2012 R2あるいはWindows Server 2016だという。Windows Server 2019は大きく環境が変わるため、中短期的な暫定移行環境としては既存ライセンスを生かして「サポート延長」を主眼にした環境を選ぶケースが多いとみられる。

 その一方で、Windows Server 2008やSQL Server 2008のEOSが近づいたのを機に、2018年夏頃に「Microsoft AzureのIaaS環境にそのまま移行すれば無償でパッチを提供します」というキャンペーンを展開したところ、2割程度がそのままオンプレミスからクラウド環境へと移行したという。

 IaaSであれば、実質的にオンプレミスのサーバOS環境をそのままクラウド上へと移行できるため、前述の無償パッチ提供も合わせ、Amazon.comのAWSユーザーの引き抜きも行ったようだ。

 IaaSへの移行では実質的に古いシステムを「塩漬けのまま使い続ける」ことに等しいため、このケースはあくまで暫定措置ということで、将来的にPaaSのように“クラウド・ネイティブ”な環境へのシフトを目標に数年間の移行期間ということで、AzureでのIaaSを選ぶユーザーもいるようだ。また選択肢として、SaaSのようなアプリケーションを別途選ぶユーザーもいるかもしれない。

 また、ファイルサーバをクラウドにする場合、単純にAzure Storageを契約してファイルサーバ的に利用する方法も考えられるが、全国展開する中小企業では全ての拠点に適切な高速回線を用意できないケースもあると思われる。

 2019年第1四半期に、それまで日本リージョンでは展開されていなかったオフラインでのデータアップロードサービス「Azure Data Box」と、キャッシュサーバ的に機能して高速回線がなくてもファイルサーバ環境を快適に利用できる「Azure File Sync」の2つが提供されている。

 あくまでオンプレミス以外の選択肢としてのクラウド環境だが、イニシャルコストはサーバそのものを買い換えるより安価に収まるケースも少なからずあると思われ、これを機会に検討してみるのも手だろう。

 中小企業においてはEOSを迎えるWindows 7を一斉に買い換えたり、リースアップのタイミングを待ったりするだけでなく、「Device as a Service(DaaS)」のような仕組みを使ってPCハードウェア込みで月額課金のサブスクリプションを利用するケースも考えられるだろう。組織の規模やランニングコストを鑑みつつ、来るべきEOSに備えていきたい。

Windows 7 Azureクラウドをファイルサーバとして活用するためのサービスが、日本リージョンでも展開済み
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