基調講演の後に別室で行われたLundell氏のセッションから、興味深いトピックをいくつかピックアップして紹介する。
まず、Intelが2018年第4四半期にリリースしたIntel 660Pについて。この製品はQLC NANDのメモリセルをSLC相当(1セルあたり1bit記録)で動作させたSLCキャッシュを利用することで、QLCメモリセルのデメリットである書き込み性能の遅さを「隠蔽」し、実用十分な性能を確保している。
SLCキャッシュは空き容量に応じて減っていくが、最大容量は2TBモデルで280GB、1TBモデルで140GBとなっている。容量を75%まで使うと、それぞれ最小で24GB、12GBまで減ってしまう。
このSLCキャッシュの容量を超過した連続書き込みを行うと、QLC SSDは極端にパフォーマンスが低下する。しかし、同社が2018年に行った調査によると、全PCユーザーの50%は、実際に234GB以下のストレージ容量しか使用していないという。
そして、234GBデータを記録した状態での最大SLCキャッシュ容量は、2TBモデルで280GB、1TBモデルで140GB。つまりパフォーマンスの低下なしに使えている。要するに、Intel 660Pは少なくとも全PCユーザーの50%を満足させられる仕様であるのだ。
Intel 660Pは、あくまでもライトユースやエントリーユーザーが想定ターゲット。このターゲットに限定すれば、従来のTLC SSDと変わらず快適に利用できる。
また、クライアントPCにおけるワークロードの90%は「QD1」または「QD2」という低QD(Queue Depth)環境であるという調査結果を示した。検証方法についても、ストレージのシーケンシャルやランダムのリード/ライトといったローレベルの評価をする「Synthetic(人工的な)」ベンチマークだけでなく、アプリケーションの起動やプロジェクトファイルのロード時間計測をマルチタスク環境で行うなど、実際のユーザーの使用シーンを再現した「Real-World」のテストを取り入れることが望ましいとした。
なお、Intelが推奨する具体的な評価方法については、「Optane Memory Evaluation Guide」として公開されており、誰でも見られるようになっている。
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