最後に設置方法について見ていこう。サブディスプレイは一般的にノートPCの横に並べて使うが、本製品の場合、ノートPCのディスプレイの左右に本製品を直接取り付けた、観音開きのような装着方法がメーカーサイトやクラウドファンディングのページに掲載されており、この使い方を想定している人も多いはずだ。
しかし実際に試した限り、これはあまり現実的ではない。1つめの理由はボディーサイズで、15.6型もの大きさがあると、本製品が宙に浮くような取り付け方ができるノートPC自体が限られてくる。今回試用している14.1型のノートだと、上端をそろえて取り付けた時に宙に浮く余地がない。実質17型クラスのノートに限られるだろう。
もう1つは重量だ。本製品はいかに軽いとはいえ、625.9gという、初代iPad並みの重量がある。600gオーバーの製品をノートPCの横に取り付けたとして、倒れずにバランスを取るには、ノートPCが最低3kg程度なくてはならない。左右に1台ずつ取り付けてバランスを取る方法もあるが、そうなると自重が1.3kgにもなり、ノートPCのヒンジへの負荷が心配になる。
そして何より問題なのは、取り付けに使用するオプションのクリップ(税別1980円)の強度だ。このクリップは、Ten One Designというメーカーの「Mountie」のOEM品のようだが、以前これを試したことのある筆者に言わせると、耐えられるのはせいぜい500g以下のタブレットまでで、しかも縦向きに装着した場合のみだ(同製品は公式ページに耐荷重を公開していない)。
クリップの幅もわずか3cmほどしかない簡素な仕様で、600gを超える本製品を横向きに固定するには無理があり、狭額縁ゆえ強く締め付けることで液晶パネルの破損も懸念される。OEM元はこうした事情ゆえ、10型前後のタブレット向けにクリップを2つに増やした姉妹品「Mountie+」を既にリリースしているほどで、本製品での利用には難があるというのが率直な感想だ。
そのため、もし観音開きスタイルを実現したい場合、重量3kgを超える17型以上のノートPCを用意するのはもちろんのこと、クリップについては別製品を自前で調達した方がよい。ただ、その場合もノートPCのヒンジ強度の問題は残る他、観音開きといっても開閉できる構造があるわけではないので、総合的に考慮すると、やはり付属のスタンド兼用カバーで横並びに設置した方がよいだろう。
以上のように、取り付け方については一考を要するが、フルHD対応の15.6型でタッチ対応、かつUSB Type-CとHDMIに両対応しつつ、この重量を実現した製品はなかなかない。他社製品には、USB Type-Cで映像信号の伝送ができず、電源供給でのみ使用する「なんちゃってType-Cディスプレイ」もあるので、そうした意味でも好印象だ。
他製品にはできて本製品にできないこととしては、高さ調節ができないこと、また縦向きでの設置が想定されていないことくらいだろうか。VESAマウントを搭載していないためアームにネジ止めできない点も、用途によっては注意点だろう。観音開きでの取り付け例はともかく、単体で立てて使う分には優れた製品だと言えそうだ。
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