ジャイアントキリングが起きた2019年――アキバの1年を振り返る【前編】2019年のアキバまとめ前編(3/4 ページ)

» 2019年12月30日 12時15分 公開
[古田雄介ITmedia]

第3世代Ryzen大ヒットの影で、DDR4メモリが品薄&高騰

 第3世代Ryzenのヒットは、さまざまなパーツに影響を与えている。典型例はX570マザーから対応が始まった「Wi-Fi 6」対応ルーターと、PCIe 4.0対応のM.2 NVMe SSDだ。いずれも第3世代Ryzenの登場を機に売れ行きを伸ばしている。その中で、偶然が重なり混乱を招いてしまったのがDDR4メモリだ。

 上半期のDDR4メモリは値下がりが顕著で、週末特価の目玉になることが多かった。新生活準備シーズンには「今はDDR4メモリが買いやすく、DDR4-2666でも2万円あれば32GBが狙えます。ゲームマシンを新調するなら絶好のタイミングです」(ドスパラ秋葉原本店)とプッシュする声をよく聞いている。

ASUSTeKのWi-Fi 6対応ルーター「ROG Rapture GT-AX11000」(6月7日、TSUKUMO eX.)
ギガバイトのPCIe 4.0 SSD「AORUS NVMe Gen4 SSD」シリーズ(7月8日、ドスパラ秋葉原本店)
パソコンSHOPアークの週末特価POP。1万円切りの16GBキットが人気を集めた(4月5日、パソコンSHOPアーク)

 様子がおかしくなったのは7月中旬。第3世代Ryzenと組み合わせられるDDR4-3600以上の高クロックメモリの人気が高まる中で、生産環境からくる供給不足ではなく、国際情勢から入手を心配する空気がショップにまん延するようになった。当時、某ショップは「日韓関係の悪化から、サムスンやHynixなどの韓国企業系のメモリが入りにくくなると不安がる空気が強まっています。それによる供給不足や価格の高騰が起きるんじゃないかと急いで購入する人もいました」と話していた。

 その後、不安視した通りにDDR4-3600以上の在庫は街全体で薄くなり、値上がりはDDR4メモリ全体で見られるようになった。この時期は一部のショップでは「同型番は1人4点まで」といった購入制限をつけている。この混乱はお盆を越えた頃に落ち着きだし、秋には元に戻った。ただ、特価の目玉は税込み1万円切りの1TB SSDなどに奪われた感がある。

DDR4,DDR4メモリの購入制限がみられた(7月19日、TSUKUMO eX.)
10月には1枚32GBのDDR4-2666モジュールも登場した。写真はTeam「ELITE TED432G2666C1901」と「同TED464G2666C19DC01」(10月25日、パソコンSHOPアーク)
外付けケース付きで1万円切りの2.5インチSSD「SSD 860 QVO 1TB」10〜11月の週末に注目を集めた(11月27日、オリオスペック)

 新型GPUを搭載した新製品も続々と登場した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  5. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  10. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー