いよいよベンチマークテストに入ろう。まずは、3つのグラフィックスカードの標準的なパフォーマンスを解像度ごとに確認する。
モンスターハンターワールド:アイスボーンの設定は、DirectX 12を有効化し、画質プリセット“最高”を選択。解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)、WQHD(2560×1440ピクセル)、4K(3840×2160ピクセル)の3パターンで、ゲーム内フィールド「渡りの凍て地」の一定コースを移動した際の1分間のフレームレートを計測ツール「OCAT」で取得した。
本作の最高画質設定はかなり負荷が重めだが、フルHD解像度では、RX 5700 XTとRX 5600 XTの平均フレームレートが目安となる60fpsを超えているのが分かる。RX 5700 XTでの描画が滑らかなのはもちろん、RX 5600 XTでは最小フレームレートが60fpsを若干下回ってしまうものの、それほど神経質にならなければ画面のカクつきは気にならない。
一方で、RX 5500 XTは平均フレームレートが47、最小フレームレートが39と、他のGPUに比べれば厳しめの結果となった。一応これでもPlayStation 4版の標準フレームレートである30fpsよりは健闘しているのだが、より滑らかな描画を体感するのなら画質調整が必要だろう。
WQHD解像度では一気にフレームレートが落ち、全てのGPUで平均フレームレートが60fpsを下回ってしまう。RX 5700 XTは平均フレームレートが60近くあるため、描画はまだ滑らかに見えるが、RX 5600 XTとRX 5500 XTでは場面によりコマ落ち感が激しくなる。
両者は元々対象とする解像度がフルHD止まりなので、画質を調整せずにWQHD以上の解像度でプレイするのは避ける方がベターと言えそうだ。逆に言えば、どちらのGPUも調整次第でそこそこ戦っていけるだけのポテンシャルは備えているのだが、これについては後述する。
最大解像度である4K設定では、RX 5700 XTがギリギリPlayStation 4レベルの滑らかさを保っているものの、RX 5600 XTとRX 5500 XTでのプレイは非常に厳しいと言わざるを得ない。ゲーム内の解像度を4Kに上げて画質を下げるのは本末転倒であり、グラフィックスメモリの使用量も大きくなってしまうため、基本的にはこれらのGPUでは推奨できない設定だ。
テスト結果はおおむねAMDの推奨する通りで、RX 5700 XTはWQHD、RX 5600 XTおよびRX 5500 XTはフルHDでの使用が適していると言っていいだろう。ただし、RX 5600 XTの場合は少し工夫すればWQHD解像度でも無理のないバランスを取れそうなポテンシャルがあるため、ここはプレイ時の肌感覚や画質と相談してみる必要があるだろう。
ちなみに、画質プリセットで「最高」を選んだ場合、テクスチャ品質は標準での最高状態である「FULL」に設定される。追加でダウンロード可能な高解像度テクスチャパック「High Resolution Texture Pack」は手動で設定する必要があるが、これがプレイ時のフレームレートにどの程度影響を与えるかを見てみよう。計測条件はこれまでのテストと同じだが、ここではRX 5700 XTでのみ行っている。
全ての解像度で平均/最小フレームレートを計測してみたが、テクスチャパック適用時は若干だが低い値が出るものの、フレームレートが低下してもその差は5%未満にとどまる。フレームレートを上げたい場合は利用すべきではないが、少なくともGPU性能を理由に導入を諦める必要はなさそうだ。
ただし、導入には注意も必要になる。テスト中にHigh Resolution Texture Packを適用したところ、上記画像のようにテクスチャの表示に不具合が出て、場合によってはゲームがクラッシュするようなシーンが確認できた。Radeonのドライバの問題か、あるいはゲーム内の問題かは不明だが、どうも現時点で動作が安定しない部分があるようだ。導入にあたっては、モンスターの狩りに出る前に、一度自分の環境でフィールドを移動してみるなどのテストを行っておく方が無難だろう。
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