以下は筆者の推測だが、前述の仕様のせいで、本製品をThinkPadに接続すると、低出力の電源アダプターが接続されたと勘違いしてType-Cポートごと給電をシャットアウトしているように見える。その結果、映像信号までもが流れなくなっているというわけだ。
ただしACアダプターが先に接続されていれば、2つのポートから同時に給電できない仕様上、Type-Cポートの接続先が電源なのか否かというチェックは行われず、映像信号は正常に出力される。こう考えれば、ACアダプター接続時だけきちんと動作するという状況と一致する(繰り返すがあくまで筆者の推測である)。
いずれにせよ、ThinkPadにACアダプターを接続していればこういった問題は起こらないので、常にACアダプターを使えばよいだけでは……と思えるが、モバイルユースでは必ずしもACアダプターから給電できるわけではないし、バッテリーを内蔵する本製品のメリットも生かせない。結論としては、ThinkPadとの組み合わせは(少なくともType-Cでの接続は)積極的にお勧めしにくい。メーカー側も、USB Type-C接続で動作が不安定な場合はmini HDMIでの接続を推奨している。
また、AppleのMacBook Air(2019)でも、ケーブルをつなぐ順序によっては、画面が映らず、バッテリーだけが減っていく(MacBook Airに給電される)場合があるなど、他のUSB Type-Cサブディスプレイでは見られない挙動がある。これもやはり、本製品がバッテリー内蔵であること、かつ前述の、映像信号の伝送に使うUSB Type-CポートでのPCからの給電を受け付けない仕様が関係しているように見える。
以下に、編集部が調べたUSB Type-C接続の一覧をまとめたので、参考にしてほしい。
編集部が調べたPCなどの一覧 | ||
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製品名 | 端子名 | 接続可否 |
GPD2 Pocket | USB Type-C | ○ |
GPD P2 Max | USB Type-C | ×(ブラックアウトのまま) |
MacBook Pro(2018) | Thunderbolt 3 | ○ |
Razer Blade Stealth(2017) | Thunderbolt 3 | ○ |
ASUS ZenBook UX434F | USB Type-C | ×(ブラックアウトのまま) |
ASUS ROG G513G | USB Type-C | ×(汎用USBハブとして認識) |
Galaxy Note 10+ | USB Type-C | ○(DeXとして機能) |
Nintendo Switch | USB Type-C | ○ |
ここまで見てきた本製品の挙動は、バッテリーを内蔵していることがかえってマイナスに働いた例だが、もちろんプラスの面もある。それはHDMIケーブルで接続した場合も、外部からの電源供給なしで駆動できることだ。
HDMI接続であっても、バッテリー駆動によりケーブル1本でのマルチディスプレイ環境が構築できるのは、その仕組みを知らなければまるで魔法のようだ。それゆえ本製品は、USB Type-Cを搭載していない従来のHDMI出力搭載ノートPCと組み合わせれば、モバイルユースで絶大な威力を発揮する。前述のType-C接続時の問題も、HDMI接続では当然発生しない。
バッテリーは、HDMI接続では6時間以上、USB Type-C接続では5時間持つとされており、実際にHDMIで輝度50、音量ゼロに設定して動画を連続再生したところ、バッテリーが尽きるまで約6時間30分を要した。終日使うのは無理としても、外出先での2〜3時間の作業であれば心配は不要だ。さすがに1万800mAhもの容量だけのことはある。
またタッチ操作も快適だ。こちらはHDMI接続だけでは不可能で、USB Type-Cケーブルの接続が必須、かつiOSとiPadOSには非対応だが、WindowsおよびAndroidなどでは、本製品で快適なタッチ操作が行える。
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